エンドの街2
全く何なんだよこのゴミの量は、下手に靴に穴でも開けたら、感染症になりそうだ‥
「おい福田‥生命の泉ってのは仏を捨ててたアレ‥で間違いは無いんだよな‥」
「ああ、オッサンの話じゃあそうみたいだな」
「だったら‥アレが生命の泉だな」
やはり土地勘が有るのか、セイレーンは木々を分けて、最短距離で泉に到着した。
「ああ懐かしいな」
「なあ‥セイレーン‥お前なんでこの街の事こんなに詳しいんだ?それに懐かしいって」
セイレーンはぶっきらぼうに呟く
「昔住んでたのさ‥」
「こんなゴミの掃き溜めにか?」
「昔はもう少しマシだった‥まだ食料とかも取れてたしな‥でもこうなったら‥」俺達は泉の中を覗き込みながら話していた‥話の途中でセイレーンが喋らなくなったのは、泉の中に異変を感じたからだ‥
ゴミと油が浮いた湖の中‥仏像の周りを
大きな魚のようなものが群れをなして泳いでいた‥
「でも‥魚はいるんだな」
「居ない‥この湖に魚は居ない‥そもそもにこんな湖二魚が住めるわけ無いだろ‥」
「え‥だったら‥」とそこで歌が聞こえて来た
その歌は小さな女の子のような声で、心の中心を突き刺すようなメロディだった。
聞いていてとても心地よく、次第にその歌は
声に声が重なるような感じで、大勢で歌っているように聞こえだした‥その辺りからだろうか‥俺はあまりの心地よさに。意識を失ってしまった。
薄れてゆく意識の中で誰かの声を聞いた‥
「お…おい…嘘だろ…何で確かにコイツは死んだんじゃ…」
何だ…ここは…何処だよ…体中が痛ぇ
「んだ?てめぇ?」
「おいおい嘘だろ…拘束だお前達こいつを拘束しろ!!」
何だ…これは?
手足を縛られ暫くして、軍服に身を包んだ恰幅のいい男が部屋に入ってきた…
「誰だよお前」
男が口を開く
「驚いた…噂には聞いていたが…これ程までか…軍曹フクダ」
まさか…俺は…元いた世界に戻ったのか…
「よう久しぶりだな…痛かったぜ…これ」と俺は自分の顎を指差して笑ってやった
「お前達…彼に最高の治療をそれと、日本の侍に最大限の敬意を示せ」
何だ…
「何だそれ…」
「舐めんのも大概にしとけやアメ公が!!解けや
今ここで全員皆殺しにしてやる!!」
捕虜にされた上に治療だと…ふざけるなよ。
俺が侍だってんなら今ここで全員殺して、俺自身も腹切って死んでやる…
「恐ろしい目だ…死にかけの人間…いや…さっきまで死んでた人間の目ではないな…彼の拘束をキツくしておけ…でないと、我々はこの男に壊滅させられるぞ」
それから数日ほど尋問のような事をされた…3日もすれば拘束は大分緩くなっていた。
俺はその隙を付いて、抜け出した…どうやら俺が閉じ込められていたのは、敵の屯所だったらしい…
まあ、見つかるよね…でも関係無いよな。
俺は地面に落ちていた、銃を拾い(弾は入っていない)敵兵に、投げつけた。
銃は真っ直ぐ飛び敵兵3名の頭を貫いた、一列にだ。
さて、俺は連中の懐から銃火器の類を全て奪い取り火薬を抜いた。そしてそのまま、弾薬庫に忍び込み、
弾薬庫に火を付けた。強烈な閃光と爆音が辺りを包み
俺の意識はまだ遠くなった…
そして目を覚ました時…
「よかった…よかったよぉ」と見慣れた少女が抱きついて来た。
「おはよう花形」
「ばかやろぉー」
花形がボロボロと泣いていた。
「やっぱり泣いてるな…」
「泣いてねーよ馬鹿野郎…」
どうも俺は少しの間、呼吸と心臓が止まっていたらしい…あの時…俺は人魚の歌を聞き魂を奪われたんだと…
事の次第はセイレーンが教えてくれた…
ヤツの歌に聞き入り、俺は意識を失った…そこで、奴らが泉から這い出て来たんだと…それで俺を連れて逝こうとしたのを見てセイレーンは、
ヤバいと思って急いで俺を背負ってここまで逃げて来たらしいが、その時には俺は既に息をしていなかったんだと…それで出来る限りの治療はしてみたが…どれも意味は無く、諦めかけた矢先俺が目を覚ました…と
そういう事らしい…
花形は俺が目を覚ましてからずっと俺の側にいた…
てか、何だ…花形の側に有る肉塊は…まさか俺にしか見えていないのか…やべーよ怖すぎるだろう。
戦場でもここまでのモノはなかなか見なかったぞ…吐きそう。
「なあ花形…」
「ん?」俺の膝に顔を埋めながら彼女は聞き返す。
「何だ…そこの化け物は…」
「え?…ああコレ?」と彼女は肉塊をペチペチと叩きながら言った。
「人魚」