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異世界リベンジャーズ  作者: 達磨法師
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指名手配

私達は、またあの酒場に顔を出した。


福田はキョロキョロと辺りを見回し店の奥へと進んでゆく。

そして何やら、一点を見つめた後青ざめた顔をして戻ってきた。


「花形‥店を出るぞ」


「えっなんで?オジサン探すんじゃなかったの?」



「オジサンよりも先に凄いもの見つけちまったんだよ!」



「‥‥」ん?と首を傾げていると、


「おいお前‥ハナガタとかいう娘だよな?」といかにもガラの悪そうな青年が話しかけてきた。


「そうだけど」と私が言い切る前に、福田が、

青年の顎に膝蹴りをいれた。


「な‥何してんの?」

福田は無言で私の手を取り店の外に出る。


「なになに?」


「お前指名手配されてるぞ‥」


‥‥マジ?


「私なんかしたっけ?」


「心当たり無いのか!」


「心当たりしか無いよ‥」


はあぁーと福田がため息をつく‥


「箔が付いたね」


「アホか!」



困ったな‥自分の身は守れるとして‥これじゃあ身動き取れないよ‥


そもそもに魔王討伐軍が悪いのに‥アイツらが

マキちゃんに乱暴するから‥どうしても許せなかったんだ‥元より私は札付きで生きてきたのに‥


どうしてだろう‥


「花形‥お前‥泣いてんの?」

へ‥?


気付かぬ間に頬を涙が伝っていた‥


「な‥泣いてないよ」言葉と裏腹に涙が止まらなかった‥


はあぁーと福田がまたため息をつく‥


「分かったよ取り敢えず戻るぞ」


「‥‥」ングっと涙を堪え歩き出す。


何度も袋叩きに有った、裏切られたり闇討ちされたり‥そんなの生きてたうちはザラに有った‥でも、これ程に悔しいのは初めてだ‥


歩きながら「やっぱなんか理由有ったんだな」と福田が聞いてきた。


「うん‥」


「まあ言わなくていい、それが分かれば別に理由なんて言わなくていい」  



私達が根城にしてた小屋に戻ったとき、マキちゃんが「キャッ」と呟いた


「二人ともなんで手繋いでんの?なんで花形さん泣いてんの?」

 

気付かなかった‥福田のやつずっと私の手を引いてたのか‥


「泣き上戸なんだよ多分な」


「えええ‥で‥なんか分かったのか?」


「分かんなかった‥オヤジも見つかんなかったしな‥まあ出たとこ勝負で行こう」


「出たとこ勝負ねぇ」とセイレーンが呟く。

彼はデカ目のナイフを研ぎながら、見たことも無いような酒を呑んでいる。


「まあ人魚ごときには負けねぇだろうけど‥本当にあんなゴミ捨て場に居るのかねぇ‥人魚どころか‥あんなの害虫すら居ないんじゃあ無いか」


「セイレーン‥エンドの街に行った事あんのか?」


「ん‥まあな‥生憎人魚とやらは見かけなかったけどな」


「でもオヤジは見たって言ってたしな‥取り敢えず行ってみるか?一日歩けば着くだろ?」


「ん?歩いて行くつもりか?」


「そんだけ金持ってんなら馬車出せるだろ‥」


馬車‥そんなのあったんすね‥二人が話してるのを聞いてたら涙も止まっていた‥



「福田‥」


「あ?」


「ごめん‥」


「ありがとう」



「気にすんな」

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