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異世界リベンジャーズ  作者: 達磨法師
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夢の続きと

あれから何度も目になるだろうか。

私は、明け方目を冷ましたとき、全身に嫌な汗を掻いていた。またあの日の夢を見ていた。


この世界の来てから何度も見る夢。私が死んだ日の夢‥私には信頼していた弟分がいた。  


「兄貴!兄貴!」と何時も私のそばを付いて来ていた可愛い奴だ。


ある日突然のことだった‥いや、前兆は有ったのかもしれないな。それを見落としていたのは私だ‥


誰が悪い訳ではない。誰も悪くなんてない。


でも、あの日の事はどうしても心の何処かでつっかえてる。



もっと早くアイツの異変に気付いていたなら‥私はアイツの力になれたのかもしれない。


この世界に来た当初は、私も憎しみや恨みに取り憑かれたものだった‥でも、今になってみると、


一番辛かったのはアイツ自身なのだと思う。


どうもこの体になってから、気持ちが落ち着いて来たような気がする‥あれ程憎かった事もすんなりと受け入れることが出来たと言うのも、私自身にとって、

救いになった。


だから、私が見ている悪夢はきっと、あの日アイツの事に気付けなかったという自責の念なのだと思う。



「おーい花形!花形!!」


「え‥ああ福田‥」


「風呂入って来いよ‥すげー汗かいてるぞ‥」


「‥‥」


「お前も見てたのか?昔の夢‥」


「‥‥」

私は驚いて福田の事を見た。


「まあ、拭えねぇよな‥戻れる訳でもないし」


確かにそうだ‥過去に戻れない以上、現在で取り戻すしかないのだ‥


「分かった‥お風呂入ってくる」


「うん‥そうしな」


こういう時、福田はやけに気が利く‥時折全てを見透かしたような目をする。これも戦場で身についたものなのだろうか‥いや、戦場でそんなもの身につくわけがない‥これは、彼の元来の気質なのだろう‥



「おーいマキー!花形起きたぞ‥」


「風呂‥マキと一緒でいいだろ」


「ん、いいよ」


「なあ花形‥」


「うん?」


福田は何やら言いかけて、やっぱり何でもないと言った。



次の日、私達は人魚狩りに向けて、体制を整え始めた。人魚ごとき身一つで充分な気もするが、

福田は、銃弾を買っていた。

彼の戦闘は元より、戦場でのものだ‥装備を整えると言うのは、彼にとっては大切な事なのだろう。


(因みに私のステゴロというのは素手一丁という意味で、喧嘩に武器を使用しないというものだ)


私は武器の類より、酒とタバコが欲しい所だ‥

この世界に来て、酒は浴びるほど飲んだが、タバコというものを目にしていない‥ひょっとしたら、タバコなんてものはこの世界には存在しないのだろうか?


「準備万端って感じか?」とセイレーンが声をかけてきた‥

「人魚狩り‥俺も同行させて貰う事にした‥」


「人魚ってやつを見てみたいからな」と彼はニヤっと笑う。


セイレーンという男はどうにも読めない奴だ‥何が目的なのかも分からないか上に、彼の身の上話はやけにぶっ飛んでいて、本当なのだろうけど、どうにも目的と行動が一致していないような節がある。



「これやるよ」と福田が何やら私に渡してきた。

それは、小刀のようなナイフだった。正直、私には必要の無いものだが、友からの贈り物だ‥有り難く貰っておく事にしよう。


それと、もう一つ、福田が酒場で話していたオジサン、人魚について何やら知っているようだった‥

オジサンに会って一度人魚について詳しく聞いておいた方がいいかもしれない‥念の為に‥


福田は「案内人にマキも連れてゆく」と言っていたので、もし何かあったら大変だ‥


まあ、私と福田が居れば大丈夫‥だと思うのだが

念には念を入れておいたほうが得策な気がしなくもない。



これから先マキちゃんも私達と共に行動すると言うならなおさらだ。

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