9.ステータス
毎日更新きつい;;
すこし間が空いてしまいました;
執筆環境が整えられなかっただけだったのに……。
環境って大事なんだね……。
武器屋に入るときにすれ違うように出ていく人物が気になった。
なぜなら、ローバンだったからだ。
キャミーの兄が、武器屋になんの様だろうか?
やっぱり、冒険者になる夢を諦めきれず、武器を買ったのだろうか。
冒険者というのは、ギルドで生計を立てる人たちの通称だと、キャミーから聞いている。
つまりシュンは冒険者と言えるかもしれない。
ローバンはその中でもシルバーランクやゴールドランクの高位冒険者になることを夢見ていたのだと言う。
武器屋でローバンと会ったと話したら、キャミーは喜ぶかもしれない。
次に会うことがあれば、話してみようかとシュンはそう思った。
それはそうと、今はお買い物である。
何を買おうかと、ワクワクしながら武器屋へと入っていった。
大したものを買えるほどの金額を持っているわけではないのだが……。
色々物色してみたものの、所持金では対して買える物もなく、結局今持っているナイフと同じものを予備として購入して、あと煙球というのがあったのでそれも買ってみた。
ナイフ用の鞘も購入したので、合わせて銅貨13枚の支払いとなる。
これで手持ちはまた銅貨一枚となってしまった。
「ほれ、これはサービスだ。使いな」
武器屋の店主がそう言って手渡してくれたのは、麻で出来た袋だった。
そんなに大きくはないが、背に書っておくには丁度いいだろう。
「ありがとうございます!」
シュンはさっそく袋に煙球と予備のナイフ、それと持ち歩いていた魔術書(宿に置いておくのも不安だったため)をしまうと、店を後にして、外壁へと走っていった。
街を出るとさっそく、ウサギを探して狩りを開始する。
今まで、大体1時間に1匹は見つけることができ、今日も変わらず見つけることに成功していた。
ゲーム的に言えばランダムエンカウントでもしているのだろうか。
逆に、1時間に1匹にしか出会えないのはゲームとしてどうなのかとも思える無いようではあるが……。
狩りを始めてから3匹目を狩ることが出来たその時。
”ぽこん”
例の音が鳴った。
チュートリアルの音だ。
『レベルがあがりました。現在のレベルは2です』
レベルが上がったらしい。
シュンは周りの人たちとの会話や、モンスターの挙動などから、この世界が正直ゲームだなんて思えなくなっていたのだが、ここにきてこれまでにないほどのゲーム的展開である。
シュンはちょっとした混乱状態だ。
ゲームなの? 現実なの? どっちなの? と言いたいが、どっちとも言えないというのが、率直な思いだ。
「とにかく、今はレベルが上がったことを喜んでおくべきかな?」
そう呟いて、何か変化はあったのか体を動かしてみたりしている。
多少体が軽くなったような気もしていた時、ふと目の端に見慣れないものがあることに気づいた。
視界の隅にあるそれは、半透明のボタンの様であり、タブにも見える。
実にデジタル的な表示のそれは、シュンがどこを向こうが視界の隅を動かずついて来た。
試しに、視界の隅に指を合わせてスライドする動作をしてみた。
VRのシステム画面ならこんな操作が出来そうだよなという、シュンの間隔から起こした動作だった。
「おお!?」
その動作によって、視界の隅にあったタブは、大きく広がり正面を覆うほどの大きさとなる。
デジタル的で、ホログラムのように展開するそれには、ステータスと銘打たれ、名前やレベル、それと簡単な能力値が羅列していた。
実際にはこんな感じである。
〇 ステータス 〇
シュン (佐々木 春)
レベル2
ちから 4
かしこさ 4
すばやさ 5
スタミナ 4
◇スキル◇
魔法習得(序)
比較対象が無いことから、このステータス値が高いのか低いのかわからないが、印象的にはとても低そうだった。
それから、気になるのはスキルである。
『魔法習得(序)』とあるこれはどんな効果があるのか。
文字をタップしたらなにか説明が出ないものかと、タッチしてみると案の定ポップアップが表示された。
『魔法習得(序)』
魔法を学び始めた証。まだ始まりに過ぎないが、魔術の素養があることを保証し、習熟度により基礎魔術が使用可能になる。
ポップアップにはそう書かれていた。
ここに書かれている通りであれば、シュンが買った魔術書を読んでいたからこそ、現れたスキルなのだろう。
あれによって、シュンは”魔術を学んだ”のだから。
「なるほど。やっぱりゲームってことでいいのかな? それとも、ステータスがあるのが普通の異世界とかか? ってそりゃないか、流石にねぇ」
言いつつ、ホログラムの右上にある×印をタップして表示を消す。
ステータス値に対しては実感もわかないが、スキルに関しては良い収穫だったと思えた。
少なくとも魔法が使えるのだと保証されたようなものだからだ。
シュンは狩りをいったん中止して、背負った袋から魔術書を取り出して読み直していく。
実際に魔法を試してみようと思ったため、その復習である。
「こんな感じかな?」
本片手に、シュンは右手を正面へと突き出す。
そして、体の節々からエネルギーが右手に集中するイメージで力を込める。
また、イメージの中に熱さと炎を織り交ぜていく。
最後に。
「ファイアー」
宣言と共に”ボッ”と手のひらから炎が立ち上った。
「ッ! 驚いた。ほんとに出たよ」
眼前で立ち上った炎はすぐに消えてしまう。
手のひらに熱さは感じられなかった。
「あ、消えちゃったな……。そっか。飛んでくイメージをしていなかったからか」
シュンは魔術書を読み直しつつ、失敗点を見つけた。
「あと何回か、試しておきたいけど、狩りもしないと泊まるところが無くなっちゃうからなぁ」
「仕方ない。ウサギ探しに戻るかな」
そうつぶやきつつ、狩りを再会するのだった。
ウサギ狩りは難航していた。
というのも、単純にウサギが見つからないのだ。
宿代を稼ぐには最低でも後2匹は欲しいシュンであるが、その為に多少の焦りがあった。
そんな焦りからか、気づけば、平原の深くへと進んでしまっている。
気づいたときには、遅かった。
”ガサガサッ”
「!!」
後ろからの物音に、勢いよく振り向く。
「ぶもっ」
茂みから現れたのは、忘れもしない平らな鼻だった。
そう、装甲を纏ったイノシシである。
『まずい』そう思った時には、イノシシは突進準備の姿勢に入っている。
シュンは慌てた――。