5.初狩
プロットがある分は出来るだけ毎日更新にできるように頑張りたい……。
投稿の時間帯は朝か夜。多分夜の8時前後が多くなるかなって思います。
朝食は、昨晩の賄いもやしと違って、まぁまぁしっかりした内容だった。
パンとベーコンと卵焼き。ベーシックな朝食と言えよう。
そして、朝食を終えたシュンは、チュートリアルの言ったように『狩りに行くか』と席をたつと。
『まずは街を出ましょう』
チュートリアルの声が脳内に響く。
シュンが『狩りに行くか』と思考したのに合わせるように響いた声に従いシュンは街の外壁へと向かった。
ここはゲーム的にチュートリアルに従うことにしたのだ。
今朝、現実的に行くと決意しておいて、結局すぐにゲーム的に行動することになってしまい、どっち近づな感じになってしまっているが、ここは仕方ないと割り切ろうした。
早々に街の外に出たシュンはチュートリアルが続いて告げるポイントまで向かう。
そこに獲物がいるらしい。
「これがモンスターってやつかな?」
目の前には角の生えたウサギがいた。
その角で刺されたら居たそうだが、器用に角を突き出すより、かみついた方が早いんでない? と思ってしまうような長さしかない角だった。
「ほぼウサギだねぇ。チュートリアルは倒せって言ってるけど。どうしたもんかなぁ」
そういって、辺りを見回すシュン。
「まあ、これでいっか」
そう言って、手に取ったのは道端の小石。
小石といっても、こぶし大はある。
投げつけても当てられる自信もないし、大したダメージにもならないだろうからと、シュンはそれを持って直接ウサギへと殴りつけた。
アンダースロー気味の軌道で石はウサギの腹部に直撃する。
息を詰まらせたのか、ウサギは吹っ飛んでいった先で身動きが出来ないでいるようだ。
「んー。現実よりもちょっと力が強くなってるのかな?」
シュンが言う通り、現実のシュンではここまでウサギを吹っ飛ばせないだろうという距離を吹き飛ばしている。
「とりあえず、逃げる前に追い打ちをかけておかなきゃね」
すたたと近づき、今度は石を上から振り下ろして脳天へと強打させる。
強打する。
強打する。
強打する。
強打する。
強打する。
5発も殴ると、ウサギはピクリとも動かなくなっていた。
この辺はゲーム的なのかリアルなのかシュンにも判断できない。
『現実で動物を殴り殺したことなんてないからなー』とシュンは当然のことを思う。
『獲物はギルドで売却しましょう』
チュートリアルの脳内放送だ。
「ギルドってのがこれを買い取ってくれるってことか」
手に持った死骸を眺めても、これがほんとに買い取ってもらえるのか少し不安になってくる。
「まあ、角は綺麗に残ってるし、何とかなるかなぁ? でも一匹じゃ大した金額にならないだろうし、もう少しは買っていくかな。来たばっかだし」
そう言って、シュンは次の獲物を探しにうろつくのだった。
その後、2匹を新たに仕留めて街へと戻った。
獲物は、腕に抱えるしかなく、今後はこのあたりも改善していかなくてはと考える。
『まずは、入れ物かな。リュックみたいなのがあれば良いんだけど』
『あと、武器は必要だなー。ウサギぐらいなら石でも行けるけど、刃物があったほうが楽そうではあるし』
とかとか、考えているうちに気づけば外壁の門を潜りぬけていた。
『ギルドってどこなんだろう? 聞いてみればいっか』
「あのー」
とシュンが声をかけたのは、門番をしている衛兵だった。
「なんですか?」
「この街のギルドってどこかなーって。あるよね? ギルド」
後半不安になって聞き直してしまう。
「あー。はい。ギルドね。この先の、酒場のさらに先の右だよ」
門番はシュンの手荷物に目を向けて事情を察知したのか、あっさりと教えてくれた。
説明内容もあっさり味だが、まあ構うまい。
「ありがとうございます。助かりました」
そういって、その場を後にした。
門番の案内の通りにギルドを見つけた頃には、日は高く昇っており、お昼時を少し過ぎたころ合いだった。
「すみませーん。これ買い取ってほしいんですけどー」
ギルドの受付らしところで、声をかけてみた。
やってきたのは眼鏡のおねぇさんで、美人でもなく不細工でも無くといった没個性的な女性だった。
余計な情報だが、まあ、シュンから見ておねぇさんなら、アラフォーに近いだろう。
「ポイントカードはお持ちですか?」
「ポイントカード??」
そんなやり取りの後、受付のおねぇさんがポイントカードの説明をしてくれた。
ついでに、ギルドの利用が初めてだというと、簡単なギルドの説明も行ってくれる。
その説明によると、ギルドでは特に登録などをする必要はなく、誰でも利用可能とのこと。
モンスターの素材や薬草などの買い取りを常に行っており、これらの納品物によってポイントカードのポイントが溜まるらしい。
また特定のモンスターの討伐依頼や、行商人の護衛依頼などの斡旋も行っており、こちらの依頼の達成でもポイントは加算される。
ポイントは買い物で使うなどは出来ないそうだが、貯めていくと最初のノーマルカードから、ブロンズカード⇒シルバーカード⇒ゴールドカード⇒プラチナカードとランクが上がっていくシステムで、カードの見た目もランクに合わせて豪華なものに交換されていくとのこと。
そして、ランクが上がると信頼度が上がり、受けられる依頼の種類が増えたり、素材の買取金額が少し加算されたりするらしい。
まあ、すぐに役に立つ要素はないが、後々にお得であるとの認識をシュンは持った。
持っておいて損はないかなぁぐらいである。
「それでは買取はあちらのカウンターで査定を行いますので、こちらの札を持ってお並びください」
説明が終わってから、木札を受け取った。
買取のカウンターには数人並んでいるようだ。
シュンは大人しく列に並んで順番を待った。
特に誰かに絡まれるということもなく、すぐに順番はやってきた。
「はい。角ウサギ3匹ね。こりゃ、皮の状態が良くねーな。角は問題ないから査定額は少しだけマイナスで、銅貨2枚ずつだな」
買取の査定を行ってくれているのは、ガタイのいいおっさんだ。
ぱぱっと手際がいい。
「それで大丈夫です。お願いします」
査定の良し悪しなど分からないシュンは、そう即答する。
「はいよ。じゃ、これお代」
「ありがとうございます」
銅貨6枚を受け取る。
「おっと、忘れるとこだった。ポイントカードはあるかい? なければ発行するよ」
「あ、無いです。発行をお願いできますか」
「あいよ」
おっさんは引き出しから、紙のカードを取り出すと、スタンプをポンと一度ついてから手渡してくれる。
受け取ったカードには『3pt』と大きく書かれていた。
とてもシンプルなポイントカードだ。
これで次回以降はどうやってポイントの加算を行うんだろう??
「これって次回はまた新しくカードと交換するとかですか?」
シュンにはそんな方法位しか思いつかなかった。
「あん? んなわきゃないだろ。そんな面倒なことしねーよ。次からはそのカードの上からもう一度ポンとこいつを付くだけさ」
おっさんはそう言ってスタンプをついていた大きな判子を持ち上げる。
「??」
それだとスタンプが重なって見にくくなるんじゃないかと、疑問に思っていると。
「こいつは魔法の判子だからな、内容を上書きできるんだよ。まあよくわからなきゃ、次回に実際に見てみな」
察しの良いおっさんはそう補足してくれた。
「そうなんですね。そうしてみます」
「あいよ。じゃ、また待ってんよ」
こうやって一先ず、初めての(ゲーム内での)お金稼ぎに成功した。
銅貨6枚。今止まっている宿で、食事なしなら2泊もできる金額だ。
『現実の安宿で換算すると、6000円から8000円ぐらいだろうか?』
とあまり外泊をしないために相場観がいまいちだが、シュンなりに想像してみた。
一日、それも午前中だけの稼ぎとしてみるなら、一般的なバイトなどよりも遥かに、稼ぎは良いことになりそうだ。
ほっと一息つき、お腹の空いたシュンは宿へと向かった。
移動しながら、手元のポイントカードを改めて見る。
「ウサギ1匹で1ptかぁ。まあ弱かったしこんなもんかな」
―現在のポイント 3pt
ポイントと言えば、この下にもポイントが……。
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