“恐怖の大王„ 3
思考面ばっかり書くの直さないとな…
アンゴルモアは、これまでの生物活動において恐怖などという感情を抱いた事も無かった。
それどころか、そもそも感情自体から無縁な生活を送っていた。
食べた物を分解して活動エネルギーに変換するという機体性能上、何か食物が必要であれば何処かの惑星の生物を適当に食らって生きてきた為、生物との関わりなど持つことも無かったからだ。
そんな彼が唯一感情を抱いた瞬間は、誰かと戦う時。
一対一のぶつかり合い、殴り合い、殺し合い、戦っているその瞬間、実の父親に全身改造を行われて生体変化型機械生命体サイボーグになったこの身に既に無い心臓の高鳴りを心で感じたのだ。
それに気づいてからは食物の摂取など関係無く原生生物との戦闘を積極的に行うようになり、様々な惑星の生命体を根絶やしにしてきた。そして、いつの間にか“恐怖の大王„等という呼び名までついて、生まれ育った銀河系では名の知れた存在となってしまった。
惑星に降り立ってもすぐさまそこの生命体に白旗を上げられて戦いを行えない日常。そんなとき、この銀河系で戦えないのなら、自身を知らない別の銀河系へ向かえばいいのだと理解した。
思い立てば即座に行動、適当な遠く離れた生命体が住まう惑星に行き先を定めて休憩状態に移行、到着までの間消費するエネルギーを最低限にまで引き落として活動を一時休止したのだ。
――――そしてその1999年後、彼はこの星に到着した。
当然最初はここで殺戮の限りを尽くそうとしていた。しかし、彼は到着して最初に発見した原生生物に驚愕したのだ。
二足で地面を踏みしめ二つの腕を持ち、尻尾は存在せず身体には薄橙色の皮膚が張った生物…まるで改造を受ける前の自分のようだった。
彼は即座にそれを捕獲し、残しておいた自身の肉の細胞との類似性を調べて見ると……9割が一致した。間違いない、自身の一族と同型だ。生活環境の違いから多少なり変化や進化の違いはあるだろうが、ここまで一致して全く違う生物な訳が無い。
この時彼は決めた『この星に移住しよう』と。
しかし、移住しようと決めたはいいが、この惑星の生物は同型であるにも関わらず質が低かった。
機械を見ても「なんだこれは!?」と驚愕し続けるばかり、気になって機械を見たことが無いのかと聞けばこんなもの無いと返された。
これは不味い。同型は機械すら作れない無能…これではこれから共に住む我々の知性まで危ぶまれてしまう。
そこでアンゴルモアは考えた。『この星に住まう同型を子供以外完全に滅ぼして、機械に関する知識を身に付けさせた同型のみで世界を再建させよう』と。
しかし、流石にそれには手が足りない。その為に『XX』シリーズを用意して、さぁこれから世界征服を始めよう……そう考えていたときに、ヤツは来た。
―――なんだ、この心のどよめきは!?心の動きは!?
防御の姿勢を取ってルイの攻撃を受け続けるアンゴルモア。
その戦闘行動はあまりにも読み易い、あまりにも稚拙。
しかしそれ以上に速く、強い!!
そして、
豪々と煮え滾るような激しい気配、オーラッ!!
なんと凄まじい事か、なんと恐ろしい物か―――
――――恐ろしい?恐ろしいのか?我が?
「『突脚』ッッ!!」
『ッぐ、かはぁ…ッ…!!』
感情の乱れから防御が崩れ、腹に一撃を叩き込まれた。
しかし、痛みの感情より何より気付きへの驚きの方が大きかった。
――――我は恐怖しているのか…?この原生生物風情に…?
「『脚潰』ッ!!」
『ぐ、ぬぅ…!!』
否、認めない。認めない認めない認めないッ!!!認めてなるものか!!!!
――――我は、恐怖を与える者…“恐怖の大王„だ――――――――ッ!!!
彼は、死ぬまで気付かないであろう。
自分のしてきた行動の間違いに、思考と行動が噛み合っていなかった事に。
次回、決着




