“恐怖の大王„ 1
日刊ランキング60位記念感謝の深夜投稿ーーッ!!
※開幕してなかった
――――バコンッッ!!!!
突如響いた爆音が部屋を木霊し、鼓膜を…否、脳を、身体を激しく揺らした。
なっ…んだ、これ…!?
脳が揺れる、それも激しくだ。このゲームには脳震盪などという状態異常は存在しないが、体内器官は完全に再現されている。
現実再現設定を最大にした状態で死なない程度に身体を裂けば内臓を見れたし、頭を輪切りにして肉体が粒子となって消える前瞬時に確認すれば脳までもが再現されていたと検証班のプレイヤーがwikiに書き込んでいた。
それを今、身をもって体感している。
――――バコンッッ!!!!バコンッッ!!!!バコンッッ!!!!
またしても轟音、更に連続。
痛い痛い気持ちが悪い吐き気がする等々の突発的な感情が思考を巡る。しかしこの痛みの中も思考は絶さない、絶やせば死ぬ。
ゲームプレイヤーとしての彼は僅かな思考可能な脳で思考を続けた。
この音は何なのか?明白、何かが潰れたり膨張したりを繰り返す音だ。では何がそれをしている?アンゴルモアの体内器官だろう、それ以外には何も思い付かない。
潰れたり膨張したりを繰り返す体内器官?なんだ?なんだ??なんだ???あーもう頭が痛い!!!
――――バコンバコンバコンバコンバコンバコンバコンッッ!!!!
煽るように鳴り響く爆音。
彼は平静を保とうと表面上を取り繕っているが、思考の大半はぐちゃぐちゃだ。先程も記した通り、吐き気や頭痛に加えて鳴り響く爆音、それによって発生する立つこともままならない衝撃波を全身に浴びてまともな思考を行える一般人という方が異常性が高い。
『――…――――ッ!!!―――!―――!!――――ッ!!!――――――――――っ―、―――――――――――――――――ッッ!!!!』
アンゴルモアが何かを言うが何も聞こえない。しかし、不味い事であろうと言うのは理解出来る。すぐに回避行動をと思考を回した次の瞬間、腹に突き刺さったのは赫熱した膝!!
「――ッは!?」
『どうした!?反応すら出来ぬのか!?』
―――バコンバコンバコンバコンッッ!!!!!
瞬間は耐えるも、持続し続ける熱性を持つ膝に護身の流星は容易く溶かされてしまう。そして爆音の発信源が近寄った事によって、更に激しい轟音となってそれは脳を揺らした!!
――――死ぬ?
ふと、一瞬無となった脳にそんな言葉が響く。
すぐに感情の波が押し寄せてそれを飲み込むが、思考回路にそれは強く焼き付いた。
蹴り上げられたルイの身体を休ませる事など無く、同等以上の高度まで飛び上がったアンゴルモアによってルイは地面に叩きつけられた……HP大幅に減少。
『どうした!?何かして見せろ!?我の本気を見せているのだぞ!?』
「がっ…!!ぐ…ッ!!!」
赫熱するアンゴルモアの脚に踏みつけられ、背中に激しい火傷を負う。痛み、苦しみ、嘆き…諸々の薄い感情は苦悶の声となって漏れ出るが、思考回路はその一切を抱かない。
ただ漠然とした死への思い。
ゲームの中とは言え、死は死。苦痛を伴わないとは言え、死は死。それらが変わる事は決して無い。
死ぬ、それは生命が終わる事。終わりは嫌いだ。ゲームのエンディングなんて見たくない…だからと言ってクリアをしないのは嫌だ。だからクリアをしてきた。
ずっと楽しい場所にいたい。安心できる場所にいたい。
魔王を倒したらハイさよなら、もう物語は終わりです…なんて、現実は見たくない。
――――死にたくない。
強い思いが芽生えた。
なんで終わらないといけない?なんで続きを見せる権利を失わせる?この物語は俺だけの物の筈だ。
勝手に襲ってきた侵略者だかなんだか知らないが、俺の見る夢を、果てなく続く物語を邪魔をするのは許さないと今決めた。
身体を踏みつけにしたアンゴルモアの脚を掴み、身体への影響を完全に無視して無理矢理投げ飛ばす!!
『ヌオゥ!?…呵呵呵呵ッ!!漸く動き出したか!!』
「あー、なんか言ってるみたいだがすまねぇな」
血塗れの人差し指で自身の…いましがたその指を無理矢理に突っ込んだソコを指して笑顔で一言
「お前の心臓の音に腹立って耳ぶっ潰したから何も聞こえねぇわ!!」
『ーーーーーッ…!!呵呵呵呵ッ!呵呵呵呵ッ!!そうかそうか!!聞こえ無いか!!そしてこれも聞こえぬのか!!呵呵呵呵ッ!!なんと愉快な事よ!!そこまで殺し合いに本気になってくれるとは!!!』
胸を張りながら大笑いするアンゴルモア。それをにこやかに微笑みながら見つめるルイ。二人ともただ笑っている訳ではない、戦闘の場を整えているのだ。
そして、内心に積もる全ての感情を吐き出した時―――
「―――――行くぞ」
『応。』
一対一、最初で最後の殺し合い本番戦が開幕した!!!
今度こそ開幕ッ!!!




