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ようこそテング・ファミリーへ


「つまり、さまざまな亜人種族のファミリーがこの世界にはあって、プレイヤーたちはそこに所属することによってお金やデータチップを得ることができるって訳ですね」


「そ。それで当たり前だけどそれぞれのファミリーにはそれぞれの拠点があって、今私達が向かってるところもとあるファミリーの拠点なの」


「なるほど。でもここに本当にそんな拠点があるんですか。建物どころかプレイヤーも亜人もいませんけど」


「大丈夫大丈夫。そろそろだから」


 僕たちはさっきまでいた大通りから外れ、どこかの裏路地に来ていた。人一人通れるかくらいの狭い路地だ。本当にこんなところにそのファミリーの拠点とやらはあるのだろうか。まさかリンさんは僕を騙したのではなかろうか。いや、まだ会って間もないがリンさんは信用できる人だと思う。あまり人付き合いが得意ではない僕だが、なんとなくそう思うのだ。もちろん確証はないが。うーん、やはりアナライズしておくべきか。


「ここよ」


「え」


 曲がりくねった狭い路地を抜け、僕たちは少し開けた場所に出た。


 そして、そこには一軒のボロ小屋があった。


 唖然とする僕をおいてリンさんは小屋へと入っていく。慌てて僕も後に続き、小屋へと入る。


「戻ったわよー」


「お邪魔します」


 横開きのドアを抜けた先は外見と同じように薄汚れた室内だった。


 ガタガタ!!


「ぬぬぬ!! お待ちしてましたよリンさん!! それで頼んでたご依頼の方は」


「ふっふーん。聞いて驚きなさい!! この通り、新しいメンバーをお連れしたわ!!」


「お、おーー!!!! よろしくです!! オイラはドキって言いますー!!」


 そう言って僕の手を両手で掴んできたのは真っ赤な顔の長鼻で、住職のような格好をして下駄を履いた、120cmくらいの男の子(?)だった。


「天狗?」


 そう、まるで日本でも昔から有名なかの伝説的な存在、天狗のような出で立ちをしていたのだ。


「そ。その子は天狗のドキ。ここのファミリーのシンボル(象徴)よ。あ、シンボルっていうのは種族のリーダーってことね。ま、リーダーって言ってもそもそもこの子一人なんだけど」


「よろしくですよろしくですー!!」


 リンさんが紹介してくれた件のドキは、僕の手を未だ掴んで上下に振っていた。


「ということは、ここは天狗のファミリーの拠点、っていうことですか?」


「そ。と、いうわけで、ドキ!!」


「はいー!!」


 突然、リンさんとドキは僕から数歩離れ、二人並んで両手を大きく広げた。


「「ようこそ、テング・ファミリーへ!!!!」」



 ◇◆◇◆◇◆◇◆



「つまり、リンさんが僕に協力してほしいことっていうのは、このテング・ファミリーに入ることっていうことですか?」


「そ。今このファミリーのメンバーは、私とドキだけなの。だからぜひめガね君にも入って欲しいわけ」


「オイラからもお願いしますー!!」


 僕たちはテング・ファミリーの拠点であるボロ小屋の中で一番大きな部屋にある机を囲んで座っていた。


「別に構いませんよ」


「「ほんと!?」ですかー!?」


「は、はい」


 本当なので二人ともそんな顔近づけないでください。


「だって、ファミリーに入らないとお金を稼げないんですよね? だったら入らないという選択肢はないですよ」


 むしろこうしてファミリーに入る機会を与えてもらえているのだからありがたいくらいだ。


「まぁ、絶対に稼げないってことはないけど、入った方が効率が良いのは確実ね」


「なら、当然返事ははい、ですよね」


 ファミリーに入ることはプラスでしかない。このゲーム情報との交換条件という話だったが、僕は得しかしていない気がする。


「うん、その返事はとてもありがたいのだけれど」


 ん? リンさんはあまり良い表情ではない。あれ? 今の断った方がいいところだったのか?



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