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プロローグ


「"クロスワールド計画"への協力、感謝するよ()()()君」


 白衣を着た老人がそう僕に語りかける。めガね君とは僕、田地崎千次(たちさきせんじ)のこと。このゲーム、『クロスワールド』での僕の名前だ。


 勉強が生きがいで、今まで勉強しかして来ず、ゲームとは無縁の人生を送ってきたこの僕がなぜゲームをしているのか、その理由はこの僕にできた唯一の友人、北浜廉造(きたはまれんぞう)の「勉強ばっかしてて、生きてるの楽しいか?」という一言による。


 その言葉にムカついた僕は廉造に勉強の重要性とやらを心底丁寧に教えてやった。それを廉造の奴は、はいはい、と適当に流しやがったうえに訳のわからない提案をしてきやがった。


「勉強以外の生きがいを見つけるという意味でもとりあえずゲームしてみないか?」


 そしてあいつは「誕生日プレゼントだ、受け取れ」とゲームのパッケージをポンと手渡してきたのだ。


 誕生日はまだ3ヶ月先だとか、ここは学校だ、とか思わなくも無かったがだが実際、周りが高校生という青春を謳歌している中、日々勉強という人生を送っているのもどうなのかと思ったことがあるのも事実であったし、最近多くの若者が熱を上げているVRゲームというのが気になっていたのも事実であった。


 そんないい加減な誘いで僕はこのゲーム、『クロスワールド』を始めてしまった。


 VRゲームどころかゲーム全般をやって来なかった僕にとっては初めてプレイするゲーム。如何なる事態にも迅速な対応を心がけゲームの世界へといざ行かん。


「この度は本作、『クロスワールド』をご購入いただきありがとうございます」


 そんなアナウンスが脳内に流れる。僕が購入したわけではないのでなんか申し訳ない。


「『クロスワールド』におけるあなたの名前を登録してください。本名、又はそれが特定されやすいもの、公共の場に相応しくない用語はお控えください」


 名前、か。本名はダメだというのは個人情報の問題ってところか。公共の場に相応しくないってのはまあ当然だろう。


 どうするか。安直にイニシャルというのもまずいだろうか。うーん。よし、僕もお世話になっている"眼鏡"にしよう。そのまま漢字にするのも安直だろう。平仮名とカタカナを混ぜて"めガねにしよう。


「プレイヤーネーム、めガね。登録完了。次に、ステータスの振り分けをしてください」


 ステータス? ATKやらVITやら何かよく分からない言葉が並んでいる。このステータスポイントとやらを振り分けるということか? なんかよく分からんから均等に分ければいいだろう。


「ステータス設定完了。それではチュートリアルを開始します」


 そんなアナウンスが流れ、周りの風景が切り替わる。ん? ここは、研究所か?


「お? 新入りかの?」


 気がつけば目の前に椅子に座ったおじいちゃんがいた。白衣を着ているのを見ると研究者だろうか。


「えーっと君の名前は、めガね君、か。うん、いい名前じゃな」


 どこがだろうか。おそらくこの人の感性は狂っているのだろう。なんかマッドサイエンティストっぽいし。


「"クロスワールド計画"への協力、感謝するよめガね君」


 クロスワールド計画? 


「クロスワールド計画? といった顔をしているね」


 お!? 何だこのゲーム人の思考を読み取るのか? まさかどのゲームでもそうなのか?


「単純に君の顔がわかりやすいだけだよ」


 なんだ顔に出ていただけか。てか、しれっとまた思考を読みやがったこいつ。


「それじゃあ"クロスワールド計画"について説明しようかのう。


 君は並行世界、いわゆるパラレルワールドというのを知っているかね?


 とある分岐点で分かれた今とは違う別の世界。わしは今までその研究をしてきた。


 その結果、わしは並行世界の観測に成功したんじゃ。そして、わしはその世界を研究するため、調査員を動員した。それが君たちじゃ。君たちには今の時点で観測できておる3つの世界の調査をしてほしい。


 それぞれの世界でとある条件を満たすとデータチップというものが入手できる。それを君たち調査員に集めてもらいたいんじゃ。


 そしてその世界での調査に役立つスキルを君達に与える」


 ここで一呼吸置いて老人は次の言葉を紡ぐ。


「さあ、選べ。


 お主は、調査に置いてモンスターとのバトルなどの戦闘に重きをおくか?


 それとも、遺跡探索などの探索に重きをおくかの?


 またまた、それぞれの世界のストーリーに重きをおくかの?」


 その老人の言葉に従って目の前に3つの選択肢が現れる。


 どうやらこのゲームの進め方によってもらえるスキルに違いがあるらしい。


 戦闘重視か探索重視かストーリー重視か。まあ知を追い求めるこの僕にあうのはこれだな。


「ふむ。探索重視か。ならば、


 お主は、金銀財宝の宝を追い求めるか?


 または、世界の生態系の謎を追い求めるか?


 それとも、世界の真理を追い求めるか?」


 また選択肢が現れた。正直ゲーム内なのだから宝を得たところで無意味だろう。生態系の謎というのも気になるがそれよりもこちらの方が気になる。


「ほう。世界の真実に向き合う覚悟を持つか。ならばお主にはこの3つのスキルから一つ選ばせよう。


 この世界の真実を記録する力、『レコード』。


 この世界のあらゆるものを解析する力、『アナライズ』。


 あらゆる生き物から情報を得ることのできる、『ハイコミュニケーション』。


 さあ、どれを選ぶ?」


 その3つならば答えは1つだ。


「ふむ。『アナライズ』か。ならばその力でこの世ら真理を見極めるが良い。さあ、世界へと旅立つ前に自らのステータスを確認したまえ」


 ポッと目の前に四角い画面が現れる。僕のステータス画面とやつだろう。



名前:めガね

LV:1

HP:30

MP:10


STR:15

ATK:15

VIT:15

DEF:15

INT:15

DEX:15

AGL:15

LUK:15


スキル

・アナライズ(解析)



 おそらく全プレイヤー固定なのであろうHPとMP以外は全部同じ数値だ。うん、心地が良い。


「ステータスの確認はできたかのう?  よし、ならば進む世界を選ぶが良い。


 江戸の街を舞台にした人と妖怪の世界、ジャローシーか?


 未来都市を舞台にした機械と亜人の世界、パレッセか?


 中世のヨーロッパ舞台にした神と獣の世界、アロガンスか?」


 世界観が全く違うんだな。うーん、どうするか。これは迷うな。江戸を舞台にしたというのはなかなか興味深いし、神というのにあってみたい気持ちもある。だが、やはりこのゲームの製作者が想像する未来というのを見てみたい。よし、パレッセにしよう。


「うむ。どうやら決まったようじゃな。それでは武運を祈る。新調査員、めガねよ」


 白い光が俺を包み込み、周りの景色が変わろうとする。いよいよゲーム開始だ。


 あ。その前にスキルを試しに使ってみよう。えっと頭の中で唱えるだけで良いんだっけ。『アナライズ』。とりあえずあの老人を解析、と。


 ......ん?


 周囲の景色が切り替わり、僕は機械と亜人の世界、パレッセへと降り立った。














 






 






 

名前:シン・ギルティ

HP:♾

MP:♾


STR:♾

ATK:♾

VIT:♾

DEF:♾

INT:♾

DEX:♾

AGL:♾

LUK:♾


スキル

・創造主


備考:マッドサイエンティスト。その一言に尽きる。

 







 

 










 

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