1【父さんからの電話】
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夏休み。
誰もが思ったことがあるだろう。
“夏”の“休み”と書いて“夏休み”。
なのに、宿題は極当たり前のように私達の目の前に現れ、休みという概念をぶち壊していく。
ある人はこう言う。
夏休みというのは、将来のために新しいことを見つけ、挑んでいくための期間のなのだ。
だから、夏休みに宿題をだすのは間違っている。
それに対して、学生のほとんどの人は「その通りだ!」「夏休みに宿題を出されては何も出来ないじゃないか!」と言うだろう。
では、そう言っている学生達に聞こう。
じゃあ、お前達はもし夏休みに宿題が出なければ、新しいことを見つけるための努力を本当にするのか?
自分の時間を削り行動するか?
そう聞いたら学生達はみな口篭るだろう。
それに、本当に自分の将来のことを考えてるやつは宿題が出ようが関係なく新しいことを見つけるための努力をする。
まあ、こんなに偉そうに言ったところで俺も将来のために新しいことを見つけるための努力をしているかと聞かれると、していないと答えるしかないだろう。
しかし、夏休みの宿題に関してはしっかりとやっている。
何故なら夏休みの宿題は新しいことを見つけることは出来ないかもしれない。
だが、夏休みの宿題をし、少しでも学力を付けることは必ず自分の将来に繋がるからだ。
夏休みが始まり10日ほど経ったある日、俺こと五花零は、そんなことを考えながらリビングにあるソファーに寝転がりながら夏休みの宿題の必要性について語っているテレビ番組を見ていた。
何故、こんなくだらないテレビ番組を見ながら真昼間からグダグダしてるのかと言えば、今日はバイトも無く、宿題もあらかた終わったのでやることがないからである。
「暇だなぁー。
誰か遊びでも誘ってみるかな」
Prrrrrrr!
そんなことを考えていると机の上に置いていたスマホが鳴った。
「お、誰かからの遊びのお誘いかな?」
そう思いスマホを手に取る。
しかし画面には、親父と表示されていた。
「はいはい、あなたの愛しの息子の零ですよ」
俺は寝転がったままの姿勢で電話を取る。
〈おう、零よ。
貴様にいい知らせがある〉
「ん?
いい知らせってなんだ?
プラスで仕送りでもしてくれるのか?」
自分の息子に貴様とか使うか普通。
親父の名前は五花優樹という。
親父は今年の春から海外転勤でアメリカにおり、母さんもその付き添いで一緒に行っているため俺は3LDKのマンションに一人暮らしである。
元々は国内転勤の予定だったのだが、突然、親父の会社の都合で海外転勤に変わた。
俺は、学校のことがあるので日本に残ることにしたのだが、家事の全くできない親父の付き添いで母さんも一緒にアメリカに行くことになり一人暮らしが確定した。
ちなみに俺は家事は結構できる。
一人暮らしの家が3LDKのマンションなのは、国内転勤から海外転勤に変わる前にもうこのマンションを借りてしまっていて解約してまたほかの所をかりるとなるとお金や時間が結構かかる。そして正月やお盆の時に両親が日本に帰ってきた時に住む場所に困るということでそのまま借りておくことになった。
〈いいか、聞いて驚け!
お前に妹が出来ることになりました!〉
「何?
妹モノのエロゲを買ってくれるって話しか?」
〈違う違う、ものほんの妹!
五花家に新たに家族ができるんだよ!〉
「おい、親父。
海外で母さんと二人きりだからってハッスルし過ぎだろ。
で、いつ産まれてくるんだ?」
クソっ!
俺はまだ童貞だっていうのに両親は海外でヤリまくりかよ!
〈いや、俺が母さんを孕ませたんじゃない。
お前に義理の妹が出来るんだよ!〉
「もう、意味わからん。
そこに母さんもいるなら変わってくれ」
もう、この親父と話してても意味が無い気がするので、まともな母さんに話しを聞いてみることにした。
〈おう、少し待ってろ〉
〈はいはい、零、久しぶりね。
元気してた?〉
母さんの名前は五花琴音という。
先程言ったように今は父さんの付き添いでアメリカに行っている。
「ああ、元気だよ母さん。
それでなんか、親父の頭が前以上におかしくなったみたいなんだが、病院に連れて行ってくれないか?」
〈義理の妹が出来たって話しなら本当のことよ〉
「え?
マジなの?」
〈そうマジの中のマジ〉
「ちょっと待ってくれ。
頭の整理がつかん」
〈アメリカに来てからお父さんが仕事先で凄くお世話になった先輩がいたらしいのよ。
で、その先輩夫妻がこの前、車の交通事故で亡くなってしまってね。
事情はよくわからないんだけど、その娘には身寄りが無いみたいでね。
お父さん、初めての海外転勤で困っているところを先輩に助けてもらったらしくて、凄く恩を感じててね。
その上、その先輩と飲みに行った時に俺に何かあったら娘を頼むって言われてたらしくてね。
それでウチは子供が零だけだからそれなりに経済面も余裕あるしその娘を引き取ることになったんだよ〉
頭を抱えている俺をよそに、母さんはどんどん話しを進めていく。
初めてあってからだいたい三ヶ月ぐらいなのはずに娘を頼まれるぐらい信用されてたのかよ親父。
それは普通に凄いな。
「うん、事情は把握した。
で、その子はアメリカで母さん達と住むんだろ?」
〈それがね。
その娘は私達と同じで四月に日本からアメリカに来たばかりらしいのよ。
だから日本の方が安心出来ると思うからあんたと二人暮ししてもらおうと思ってるんだけど〉
「まあ、理由はわるが、男女の二人暮しはどうかと思うんだが。
相手も嫌だろ?
いくら新しいの家族だからといって男と二人で暮らすのは」
〈椎名ちゃん、おっと、椎名ちゃんは、そのあなたの妹になる娘の名前なんだけどね。
そのことはしっかりと椎名ちゃんも話して了承してもらったから大丈夫よ。
椎名ちゃんもやっぱり慣れた日本の方がいいみたい〉
「まあ、本人がいいならいいけど」
〈あんた、襲ったりしちゃダメよ。
同意の上ならいいけど〉
「よくねえだろ!?
いや、同意の上ならいいのか?」
本当の妹なら合意の上でも法律的にアウトだが、義理の妹なら血の繋がりはないわけだから合意の上なら法律的にセーフだから大丈夫なのか?
〈そんなことより三日後の朝10時に空港に着く便で日本に向かってもらうからちゃんと迎えに行きなさいよ。
あと、悪いけど当分バイトどうにか休ませてもらって。
学校への手続きとか買い物とか椎名ちゃんに付き合って欲しいし、心の傷とかも絶対あると思うの。
そういう時は誰かが傍にいてあげることが大切でしょ?〉
「わかった。
バイトはどうにかしてもらうよ」
〈じゃあ、後で椎名ちゃんのある程度の情報とこれからの予定をメールで送るからちゃんと見てね〉
「わかった」
〈じゃあ、バイバイ〉
そう言って母さんは電話をきった。
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