お前の荷物か?早く欲しけりゃくれてやる。取りに来い!まだここにお前の荷物がある!
タイトルはワ〇〇ースのあれをイメージしただけです。
悪ふざけが過ぎましたね。
ピンポーン
「荷物っすー」
何気ない日に、何気ない時間帯に荷物を届ける。
これに当たるとしたら、半年に1回くらいである。
ガチャ
「テメェ!!この荷物、朝から待ってたんだよ!!今、昼だぞ!これからこの荷物持って出かけるんだぞ!俺!!どーしてくれんだテメェよ!!会社の取引に間に合わねぇじゃねぇか!!」
「あ、ごめんなさいね」
今日はそんなお話。
◇ ◇
平日の夕方の配送センター。
ちょっとゆっくり3分程度のご休憩。
昼飯片手に愚痴を言う配達員共。
「いやー、まいったヨ。朝から荷物待ってたとかで怒られてサ」
「3月、4月、……あと12月はそーいうの多いからな。伊礼さん」
「どーしようもないのにネェ。出した側も午前中に届くようにしたって怒るしサ。いや、それなら時間指定しくれヨ。本日中の配達の荷物にしてるのにサ」
「本来は午前中にするべき料金をもらってるけどな」
「けどけど、そーいうのしてたら無理っショ。山口」
「本日中に届けるのが最低ラインだからな。今はそれが限界だ」
「受け取る側が言うならともかく、差し出し側が午前中に届けてくれっテのを信用できるカ!末端には細かい指示も来てないしサ。高い料金出してヨ!時間指定デ!!」
荷物の配達はちゃんと配達ルートに沿って、荷物を並べてから配送に向かうのが基本である。
しかし、それを反するようなのが。時間指定と再配達の荷物である。
それに準ずるのが本日配達の荷物……。
会社によっては違う名前で呼ばれていたりするものだ。こーいうのには大抵、追跡の番号が割り振られている。これでどこに荷物があるかを受け取り側と差し出し側が把握できるのだ。
これがちょーっと厄介という、お話なのである。
「こーいう系多すぎるヨ!!最近もうこれ、一日で6000件を超えてるヨ!!人減ってるのにこれ増えるから困るヨ!!60人程度でこの仕事回しても、1人100件は回る計算ヨ!!バカじゃないカ!!」
「地域によって格差があるし……それ以外も当然あるから、1人100件は最低回るよな。同じ家に複数あったりするがよ」
時期によって異なりますが……最近はホントに異常と思えます。
荷物の大きさ、重さ、取り扱う手段も異なったりするので、ヤバイですね。
そんなお話はまた今度で
「今日の午前に欲しいなら、前日に会社に連絡入れておけヨ!!差出人とのやり取りだけで済ますなヨ!!配達員も集荷担当も、そんな事情知らないヨ!!」
本当にその場合。できるなら、追跡込みで時間指定の取り扱いを行ってください。もしくは当日の朝までに荷物の配達業者に直接、ご連絡してくださると助かります。ちゃんと時間帯を記してくれると、配達員は意図を汲み取ってくれます。書かれていない場合はほぼほぼ、通常の取り扱いをします。早くは絶対に来ません。これに対応できるメリットも余裕もないので。
ちなみに自分の会社とは違いますが、指定されたお荷物だけを最速でお届けする専門の会社もあるそうですよ。お値段は確かに高いですが、本当にお急ぎならそちらの方が確実です。配達地域で彼等を見かけますが、カッコいいですよ。台風なのにあんなスピードで後ろからバイクでぴゅーんっと抜いてくれるの、カッコ良すぎます。運転技術の違いが明らかで、カッコイイ。
話逸れましたが、そもそも。
「普通そーいうのは2日前か、遅くとも前日に受け取れるようにするよな?」
「なにが荷物を持って出かけるダーー!!お前、朝から家にいるなら取りに来い!!その車はなんだこの野郎ゥゥ!!まるで自分がバスに乗り遅れた分際で、次のバスの運転手に向かって騒ぎ出すクズ野郎カ!タクシー使え、金払え!!始発乗って来い!それでも間に合わなきゃ、昨日の終電で来いクズ野郎!!毎日働く社畜を、社会を回すことをナメンナッ!!その程度もできねぇで文句タレんなぁっ!クソガァ!!」
「落ち着け落ち着け。熱くなんな、握り飯落としてるぞ……」
そんなクレームを喰らった午後の休憩時間はこのように吠えます。
めっちゃ吠えます。
熱くなりすぎると別のところでミスをするので、クールになりましょう。元気だけではダメなんだ。
山口はそーいう配達員の怒りを聞きつつ、落ち着かせる。現状、そんなことを続けるとどーなるか。現実を観るのも、大切なこと。
「……そーだな。伊礼さん。あんたの配達方法に間違いはねぇよ」
「ダロォ?」
「本当に欲しけりゃ、前日に届くようにしとけだ。これで一番ムカつくのは受け取る側が自分の思い通りの時間に来るとか思って、何もしてねぇ事だもんな。ウチ等から見ればよ。差出人の事情は知らねぇが、受け取る側のほぼ全員がその日に受け取る気持ちがねぇ事だよな。そーいうの。大半、ポストに入ってればいいやとか。受け取れればいいやだし。多くはそれで回っているからな。それも正しい。一々、そんな当たり前の事に文句もないだろうし」
正論をぶつけ合うと、どうしても曖昧な答えになる。
結局は曖昧が答えになるか。
どーして早く届けないの?という声もあるわけだが。
「本日配達はヨォッ。9割……いや、ほぼ全員のご自宅が本日中に受け取る気持ちはねぇーんだヨ!そもそもダ。平日の昼間、いや午前中にヨォッ。家に人いるとか思わねぇーんだヨ!!働く会社優先に配って何が悪イんジャ!!必ずいる家から荷物配って何が悪いんじゃ!!いるかどうか分からない家はネ!!後回しにしたいんダ!!再配達が面倒なんだヨ!!1日に同じ家に2度も3度も訪れる気持ちを分かれヨ!!」
「……言葉が足りてないな。必ずいる家と、必ずいない家をなるたけ先に回るだよな?再配防止のためにな」
「そうそう!!それヨそれ!でも、再配達は別にいいんだヨ!そこは怒ってないんだヨ!」
「例えるとするなら……」
例:
差出人、当日に届けてくれ。なるたけ、早め。大切な書類やから印鑑必須の対面配達ね。
配達員、オッケー。頑張って9時には現地へ向かうぞ。
受取人、子供の見送りが終わったし、買い物済ませて美容院も行きたいし、銀行にもいかなきゃ。9時には家出ないと。午前中は忙しいのよねー。
ガチャッ
ピンポーン
配達員、9時半に着いたぞ。あれ、いない……。不在票か。
受取人、ただいまー。なんだかんだで11時半には戻ってこれたわー。あら、不在票。用事済ませたから夕方で受け取れるわね。夕方で再配~っと。
配達員、え?あの荷物が今日の夕方で再配。早く行った意味ないやん……。
※
「このパターンが相当多いんだヨ!!平日の当日再配ってのはヨォ!!それ、早めに行く意味0ダロ!!12時頃お伺いした方が早いじゃないカァッ!!さらにヨォッ!!これが当日なら良いんだヨ!!翌日の再配達の夜間指定で出てきたら、もはや差出人の早め意味ないヤロ!!というか、受取人が荷物今日届くとか、知らんパターンが多すぎるゾ!!」
「言っちゃいかんやろ」
「宅配BOXでもほぼ同じ!!結局、そのお客様が受け取ってるの深夜じゃないカーー!!早く行けの意味がここのところ、意味ないんジャーーー!」
「それも言っちゃダメ……。いや、本当にそのパターンが多いからな。最近……。普通に考えたら当たり前か」
「さらに言えば、先日入れた荷物が2日も3日も放置されてたら、余計気が参るんだヨーーー!今日もそのお宅に荷物があるんだヨ!!荷物纏めて宅配BOXにぶち込みたいんだヨ!こっちはっ!!当日に配達する意味がまたないだろうガーーー!」
荷物は纏めて届けて欲しいと、受取人が言う。
荷物を纏めて送って欲しいと、配達員も思う。
でも、会社も社会も不器用だから。なかなか全てが上手くいかない。むしろ、上手くいかないのが当たり前なんだろうけど。
後者についてだが……
「土曜日とか日曜日に纏めて配るとかの、やり方が一番上手いんだろうな。中にはその日に欲しかったもあるから、結局、全部に対応するマニュアルってのはできないが」
「臨機応変にとはいかないよナ。荷物が喋れば楽なんだけどヨ」
「そりゃな。再配の時も楽になるヨ」
ひとまず愚痴を出し、こんなトラブルを忘れる。
仕事と向き合うには文句を吐かねば始まらず……。
でも、お客様の前ではしないこと。
月曜日から真面目に働きます。先週はホントに散々でした。
疲れやイライラがミスを誘発する事は理解できていても、防げないのが悔しい限りです。
人は食事をし、睡眠をとるだけでなく。
ストレス発散をしたり、文句を言わなきゃ、仕事と向き合えませんね。忘れる時間も必要ですが。
仕事の時は機械のように働く事を心がけ、趣味の時は人のように心を込めて行う。
さすがに今回のネタはちょっとヤバかったかな、と。
とはいえ、双方ともにレアケースです。悪気ないのは分かるんですけどね。
普段なら山口達が話しているように、受取人様から。あるいは差出人様から、荷物の配達時間の指示が事前に来るものなんですけどね。ないとやっぱり、現状は対応できません。
山口が言うように、配達員の多くは平日の昼間に在宅している方は稀だと認識しています。確実に在宅しているか、在宅していないかが分かるだけでも、配達のスピードって変わるんですよ。不在票を書く時間、その場に待機している時間が全然違います。