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覚醒

始まりは唐突に来た。

終わりは緩やかに来た。

死は如何なる時もすぐ傍に居る。

運命からは逃げられない・・・・・・。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


カタカタカタカタ・・・・・


午前2時13分46秒


「あー、眠い、今すぐ寝たーい」

隣の男が何か言っている。独り言ならもっと静かに・・・

「なーなー聞いてっかー?なーってば」

右肩を掴まれ前後に揺すられる

「あ、俺に話してたのか・・・ごめん、レポートに集中してた」

肩部分にできた服のシワを直しながら俺は愛想の欠片もない返答をした。

隣のさっきから話しかけてくる男は五十嵐 遼。西東京科学大学の二年生。俺もこいつと同じ大学の同じ精神心理学科の生徒だ。

今は二人で教授から出された『精神憑依とその理論』についてのレポートをまとめているところだ。いや、正しくは俺は終わっている。

「なー、葵ー。手伝ってくれないか?」

全くもって嫌である。なぜ手伝わなければならないのか・・・

「明日学食奢るからさー、お願い!いや、お願いします!!」

パソコン机に額をくっつけて懇願してくる。

「・・・コーラ」

「へっ?」

素っ頓狂な声で聞き返してくる。

「今からコンビニに行ってコーラを買って来るなら良いだろう。」

「お・・・おおおっ!やったぜ!んじゃ、行ってくるからよ!」

先程までの気だるげな態度は何処に行ったのか、遼は玄関まで一目散に駆けていくとそのまま飛び出して行った。

「全く、世話のかかる男だ。」

俺ー、いや、私はあの馬鹿と二人で学生アパートに住んでいる。もちろん、恋人でも兄弟でもない。只の同級生だ。

しかし、男女が同室で良いのかと思うだろう。ある日突然、眩暈で倒れたのだが目が覚めたら身体が男になっていた。理由は分からない。最初は戸惑うこともあったが今では何不自由なく生活できるし、男として暮らすのにも慣れた。だからあの馬鹿と二人だがこの安いアパートに住むことができたのだが・・・。

「さてと、帰って来るまでに終わらせとくか。」


午前2時21分32秒


そして私は目を閉じた。深い闇が訪れる。何もない水底に沈んだ感覚になる。そこから一気に身体を反発させる。静と動の相反する力を高める。そして私は目を開けた。


「あー、眠い、今すぐ寝たーい」

隣の男が何か言っている。独り言ならもっと静かに・・・。


目の前にはパソコンがある。壁に掛けられた時計を見た。


午前2時13分46秒・・・・・。


私は過去に戻った。

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