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現実の妹なんてろくなもんじゃない

作者:

「妹よ、ついに念願のプーハート2DXプラス初回限定盤を手に入れたぞ!!」


静かな朝に突然興奮した様子で話し始めたのは兄である。


「にぃ・・・いきなり死亡フラグ・・・アイスソード手に入れるとき<殺してでも奪う>選ばずにはいられない」


平坦な声で怖いことを言っているのが妹である。


「兄ちゃんは、ちゃんと説得して手に入れたぞ・・・妹よ」


ゲームのプレイスタイルには非常にはっきりと性格が出るのかもしれない


「プーハート2ってもうPS2でもPCでも持ってなかったっけ?ほとんど内容変わんなかった気が・・・」


もっともな指摘だが兄にも買わなければならない深い事情があった


「新キャラが追加されたんだ・・・」


切実に語る


「・・・そう」


パンをかじりながら気のない返事をする


「それだけじゃないんだ!!新キャラのルートの追加は勿論今までプーだった主人公がニートになるおまけシナリオが・・・(中略)それに作品はこの1作で終わりではないのだよ、考えても見ろ俺たちがソフトを買った金で葉っぱ的メーカーも後10年は戦える。・・・これはいいものだ」


満足気な表情で熱く語る


「にぃ・・・それ敗戦フラグ、2ヶ月で終わるね」


二枚目のパンをかじりながらボソリとつぶやく


「妹よ?そのパンはもしかしなくても俺のではないですか?しかも最後のパンでしたよね?」


話に夢中になっていた兄が気づいた頃には最後の一口が口にほおりこまれた


「・・・冷蔵庫に明太子あるよ!」


モグモグしながら取り出す


「パンは?そのまま食べろと?」


朝食が食べられないという危機から兄は少し荒ぶる


「・・・パンが無いならケーキを食べればいいじゃない」


満面の笑みを浮かべて食器を片付け始める


「無いから!革命起こすぞこのやろう!!」


フランス革命を起こした民衆の気持ちにシンクロしながら叫ぶ


「にぃのは反乱・・・成功しないから」


カバンを持って靴を履きながら言う


「妹よ・・・」


最近妹の皮肉なセリフが胸に刺さるなぁと思いながら時計に目をやる


「にぃ時間!勝利の栄光を君に」


時計を指差してセリフ調に言う


「謀ったなぁ~!妹よ!!!」


某公国の坊やの如く叫ぶ


「君は良い兄妹だったが、空腹が悪いのだよ」


某彗星の声真似をして言った。あんまり似ていなかったが・・・


「妹よ待ってくれ~俺も行く!!」


そのまま3倍のスピードで学校に向かっている妹に空腹の腹を抑えながら追いついていく


「にぃ・・・」


静かに諭すように語りかける


「なんだ・・・兄ちゃん・・・息が・・・はぁはぁ」


もう息がきれぎれの状態で妹の声に耳を傾ける


「ご飯食べれば良かったのに・・・」


「・・・ハァ~?あるならあるって言ってくれよ!!」


「明太子出した」


「ご飯先に出せよ!!」


「炊飯器にぃの方が近かった」


「パンが無いならケーキって・・・」


「例え話に決まってる」


「妹よ・・・」


 冷静に腹を立てずに妹の話を聞いていればご飯があったことに気がつき不毛な争いで時間を浪費することもなく朝食を食べることが出来たのかもしれない。

 しかし人間の視野はそこまで広くはないこと争わずにはいられない生き物であることは歴史が証明していると言えるだろう。

 だがそれでもせめて妹とぐらいは争わなくていいようになれればいいなぁと柄にもないことを考えながら学校に向かうのだった。

「・・・妹よご飯があるのを知っていたなら俺のパンに手を出す前にご飯を食べるべきだったんじゃないのか?」


「う~ん?今日はパンの気分?」


「・・・妹よ」

「現実の妹なんてろくなもんじゃねぇ~!!」





きっと周りから見ればめっちゃ仲のいい兄妹に見えると思いますがきっとこの作品の兄は本気で「現実の妹なんてろくなもんじゃない」って思うんだろうなぁ

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