Opening ーhave one's own wayー
とある世界、ここは魔力を持つ者が存在し、彼らはその力故に永き時を生きていた。
そこに、その強大な魔力故『伝説』と呼ばれる裏魔術師がいた。
彼女の名はラジア・ゼルダ。
朱き長髪を靡かせ、黒き夜色の瞳を持ち、その名を裏社会のみならず知らしめる彼女は、二つ名に違わず最強に等しかった。
孤高の彼女はいつしか、とあるきっかけにより少年を拾う。
彼の名は、リザ・レストル。
朱き月の如き彼女の色に反して、彼は優しく輝く月の如き銀色の髪と、深い海の如き蒼の瞳を持っていた。
そうして時は流れ、いつまでも若さを失わない彼女を追い越すように、少年は青年へと成長した。
その歳、二十四歳。
彼女の外見年齢は、出会った頃の二十二歳程度から変わらぬままで。
そうしていつしか、彼は願うようになっていた。
──いつまでも傍に。
そうしていつしか、彼女は願うようになっていた。
──どうかしあわせに。
彼女は言う、いつまでも変わらぬその姿で。
「あたしは夢を叶えない。貴方がそれを望んでも」
『have one's own way(ハブ ワンス オウン ウェイ)』
(和訳)好き勝手に生きる
(転じて)それぞれの道
……みたいな意味合いでのタイトル。
ほぼ造語みたいな訳し方をしています。