14層 蛇のような形状のどデカいフォルムに雷を出す最強(当社比)のモンスター
半分程で水没した階段をそのまま降りて、水中階層の14層へ到達した。配信も水中装備に切り替えて継続中。
入ってすぐに少し先にモンスターが漂っているのが見えた。蛇のような細長いフォルムに、水流を表現するように蠢くひげ。その巨体は美しく、絵画にでも出てきそうな怪物――その名を龍。
じゃなくてうなぎだ。巨大ウナギ。でかくて活きもいいので美味しそうである。
「おいおい、こんだけでかけりゃウナギの値段がぶっ壊れんじゃねぇの?」
このまま可食部がドロップすればの話だが。
俺がウナギの美しい曲線を眺めていると、深淵をなんちゃらしてるときナンチャラカンチャラも言わんばかりにこちらに気が付いた。
……瞬間、周囲一帯が青白い雷に包まれた。
「がっ……ビリビリしてっ…………なんか気持ちいいかも。これ電気ショック風呂的なあれか。うん? カメラとスマホが――――貴様ウナギぃ! 俺のショピングの集大成を!! もう許さん! 敵討ちじゃああああ!!」
電気によってスマホとカメラが小さく爆発したのを確認して、俺は枕から“塵舞”を抜き放つ。そしてスイッチをオン!
水中で若干の抵抗のある剣が、それをものともしない勢いでジェットで吹き飛ぶ。
「マッサージのお礼だ! 受け取れ!!」
そのままウナギを切り裂――――けず、ヌルッと攻撃を逸らされた。
「は?」
そして間抜けな声が漏れた後、勢いが止まらず天井に激突、追い討ちとばかりに電気が振りまかれ、俺の体を駆け巡って更なる快感をもたらしてくれた。
「痛みと快楽の反復横跳びとか……俺にそんな趣味はねぇ!!」
あくまでノーマルを主張する俺の猛攻を、ウナギ野郎は屁でもないようにヌルヌルなボディで受け流す。
「……おいお前」
「シュー」
どうやらウナギ野郎も同じことを思ったらしい。
――これ、決着つかないやつだ、と。
「なんてなバァァーカ! 使いたくはないがテメェを仕留めるくらいはできらぁ!」
俺は剣を投げる、瞬間にウナギ野郎の脳天に座標を指定して転移させた。インチキではあるが作戦は成功、ヤツの頭の中から刃が突立ち、数瞬後、頭部が貫かれた。
「ハハハ! 俺の勝ち! 何で負けたか、明日まで考えといてください。そしたら何かが見えてくるはずです。ほな、いただきます」
消える前に生でウナギ野郎にかぶりついた。
…………味しねぇ。
「うなぎ丼とかってやっぱりタレが九割なのでは? あと生ってのもあれだよなぁ……はあ、俺の新品スマホとカメラ……くそ、お前ら絶対正攻法で倒すから待ってろよ……」
そうなると罠を調達する必要がある。
どうにかして罠にはめてあいつらの仇を討つ、そう心に決めて俺は10層のボス部屋に転移してスライムを数体飲んで帰った。
キュアポーションが落ちたので売ろーっと考えながら退出手続きへ。
「あ、新人さん。昨日ぶりっすね」
「あっ、水着の人――ま、また水着!? えと、しょ、少々お待ちください!! 先輩!! タオル、タオルを――」
慌てた様子で奥の部屋へ走っていった。
俺はそれを見て自身の失敗に気付いた。
「! サングラスするの忘れてた!」
俺も慌てて枕からサングラスを取り出してちゃんとかけ、プレイボーイを装った。
少しすると新人さんがタオルを持って戻ってきた。そして俺を見て困惑している。
「えぇ……」
「……ありがとうございます」
急にカッコつけたと思われただろうか。くそ、誤魔化せなかったか。タオルを受け取って軽く身体を拭く。
そして前髪をかきあげ、カッコつけてタオルを返した。
「次こそは、ちゃんと(海の男感出したイケた水着)するんで」
「は、はい! ちゃんと(した服で)、お願いします!」
そして俺はシャワールームへ向かった。
ガチムチマッチョメンが居ないシャワー、最高でした。その後、アイテムを売る時に司條さんに軽く怒られたのはご愛嬌。無茶なんてしてないし、電気ショックはマッサージだったし話半分で受け流した。ウナギのように!
明日こそは学校へ行ってウナギ対策を考えようと、巨大うなぎ丼を夢見て帰宅したのだった。




