12層 はじめてのライブ配信(ノンルック)
準備を整え、早速ダンジョンへやったきた。
協会本部の更衣室でオサレなアロハ水着に着替え、オサレにサングラスもしてみた。水中に入る時は四次元枕に収納しておけばいいし。
なかなかきまってるなーと自信満々でダンジョンに入る。途中奇異の目線が四方八方から飛来したが、現在真冬の真っ盛り、絶賛寒波到来中なので仕方ない。
俺は寒くないので、季節の移ろいを肌で感じられないのが悲しいぜ。
「よーし、学校サボりのダンジョン生配信……だ、大丈夫だよな? 先生とかに見つかったりしないよな?」
今どき配信者なんて腐るほどいるし、無名の俺が何をやっても埋もれるはず。どうせあの金持ちストーカーしか見てないだろう。
――そう考えると見てる数がゼロだったら寂しいな。
最初の方は一人も来ないなんてこともありそうだし、しばらく垂れ流し宝箱周回してからコメントを読もう。べ、別に視聴者数が少ないだろう現実を直視したくないんじゃないんだからねっ!
「開始っと」
お風呂場でもスマホを使えるようにする、あのパックみたいなものに入れたスマホと、水中カメラを無線で接続して配信を開始した。カメラは頭に付ける水中用の機材で固定している。テレビとかでジェットコースター乗る芸人さんが付けてるあれだ。今回は外側を移しているけど。
「えー、こちらソロでも勝つるうんたらかんたらの攻略サイトの主です。今から12層へ行っきマース。新調した水着がオサレだったら高評価、登録拡散この世の全ての善行よろしくー」
サングラスを収納して水にダイブ。
折角だしちゃんと実況してみるか。
「体感おそらく冷たいような気がしないでもない水温です。カフェのデカイ氷と同じくらいの冷たさな気がします。そういえば本部ん中のカフェいいですよねー、安いしオサレだし。惜しむらくはガッツリしたものが無い点」
適当に喋り倒しながら12層へ降りた。
ラーメン屋でも近くにできないかなーなんてボヤキながら二度目の海藻階層へ到着。
「お、サメいっぱい湧き直してるな。よしよし、実験しましょかねー」
俺はそう言いながら枕の中から買ったばかりの大きな業務用のバッテリーを取り出した。
そして両端を持って膝を入れてへし折った。
「これぞ電気ショック漁ほ……うぶほぉっ!?」
イメージだとこの水がビリビリになると思ったのだが、どういう訳か俺の目の前で爆発して吹き飛んでしまった。ついでにサメも軽く吹き飛んで追撃が来なかったのは不幸中の幸い。
「天才的な作戦だと思ったのに……は! いや、まあノックバック作戦大成功ってな! ガハハ!」
今は配信とした垂れ流してるんだった。見られないとはいえバカというデジタルタトゥーはごめんである。
仕組みは分からないがとりあえず俺の作戦は大失敗ということで、ノックバック用に残りのバッテリーは四次元枕の中で眠ってもらおう。
「ふんふ〜ん♪」
切り替えて、サメをしばきながら海底宝箱探しを続ける。小一時間ほどしたところでサメのドロップが出た。
ヒレだ。…………ヒレ?
サイズ的に背中のそれだ。サメのヒレ……フカヒレだよな?
高級食材と聞いたことがある。宝箱の代わりにしばらく周回して集めるか。
――そして更に一時間ほど経過した。
サイズや形からして、尾びれ、背びれ、胸びれ。
全三種が落ちました。触った感じ、硬さが違うので食感の違いが楽しみである。
生臭くなるかとも思ったが、どの道びしょ濡れなので枕の中に収納した。これ、容量とか無いのだろうか…………まあ使えるしいっか!
俺は帰ったらフカヒレ料理に挑戦しようとるんるん気分で次の階層へ降りたのだった。




