4話
入学式を終え、飛鳥様に別れの挨拶を済ませ帰宅した。
「お帰りなさいませ、お嬢様」
普段は院瀬見家の長女としてやらなければならないことが詰まっているが、今日は疲労困憊で投げ出すことにした。
7歳はそんなに上手く生きられないらしい。
「まいちゃん、おかえり」
広いソファで項垂れていると、弟が控えめに話しかけてきた。
そう、作中には出てこなかったが私には2つ下の弟がいたらしい。
『院瀬見玲衣』
5歳とは思えないくらい優秀で、間違いなく世の全ての5歳児の中で1番かわいい弟だ。
姉バカ?そんなわけないでしょう。
「ただいま、玲衣。」
「黎明学園はどうだった?綺麗だった?」
「すごく広くて綺麗だったわ。玲衣も再来年から一緒に通うのが楽しみね。」
ニッコリ笑いながら私は言う。
黎明のライトグレーの制服は玲衣に世界一似合うだろう。
なぜなら世界で1番かわいい5歳児なのだから。
え?姉バカ?そんなわけないでしょう。
夕食の時間になり、家族4人で食卓を囲む。
今日は私の入学式ということもあってか結構豪華だ。
「入学式はどうだったかな?舞衣」
「初めてご挨拶する方もいて、とても楽しい1日だったわ」
お父様の質問に、サラダに入っていたパプリカをそれとなく避けながら無難に答える。
「鷹司家の御長男も今年入学したとか」
ギクリ。
まあ、気になるよねえ。
お父様だって、一条家や鷹司家には及ばなくても院瀬見家のご当主様ですものねえ。
どうしよう、お近付きになれとか言われたら、無理だよーー!
「鷹司様は新入生代表挨拶をなさっていたわ。その後飛鳥様が鷹司様に御挨拶しにいったので、私も一緒に御挨拶いたしました。」
マズイ、動揺したせいかパプリカが私のお皿に入り込んでしまった。
このままではパプリカと鷹司のせいでせっかくのご飯が不味くなってしまう。
「そうか、飛鳥さんとは仲良くしているんだね。それはよかった」
私が無難な返答しかしないと思ったのか、お父様はあまり追求してこなかった。
ホッ。
お父様、鷹司家とは関わらない方が院瀬見の為ですよ。
とは口では言えず、念を送っていたらお父様と目が合った。
私の真意が伝わったのかしら!と目をキラキラしていると
「舞衣、家ではいいが学園では好き嫌いはやめなさい」
私の皿に残ったパプリカを見ながらお父様は注意した。
……飛鳥様のことポンコツなんて言ってられませんわね。




