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2話

さて、状況を整理しましょう。


私、『院瀬見舞衣(いせみまい)』。

院瀬見グループの長女で齢6歳。

転生前(?)の記憶あり、前世はバリキャリで働いていた。

一条家が潰れると傘下である院瀬見グループも巻き添えを食らうので、なんとしても没落を阻止するのが人生最大の目標!

それと、作中には出てこなかったけど、どうやら2つ下の弟がいるみたい。


そしてこの一条家が没落する原因となったポンコツ令嬢『一条飛鳥(いちじょうあすか)

一条家とはそもそも明治時代には公爵家であったらしく、歴史も品格もある大変高貴な一族である。

そんな一条家を没落に追いやるほどのポンコツって一体、なにをやらかしたんだ飛鳥様…


飛鳥様も私と同じく6歳。

来年から2人とも一緒の学校に入学するみたい。

名前は確か、『黎明(れいめい)学園』


とりあえず、飛鳥様のポンコツ具合を学園に行くまでに隠せるようにしないと。

飛鳥様、マナーは大丈夫ですか?あぁ、引く足が逆です、スカートにシワが寄っています。

あ、転んじゃった。

ほら、お嬢様が人前で泣かないで。


…これ入学、大丈夫かな。





翌年、私たちは黎明学園初等部に入学した。

入学式当日、あまりの緊張に目が逝ってるポンコツ…もとい、飛鳥様の小さな手を引きながら学園へ向かう。


「飛鳥様、学園につきましたよ。しっかりしてくださいませ。」


「…ハッ!失礼いたしましたわ。ありがとう、舞衣ちゃん。もう少しで宇宙の外側までトリップするところで…」


「なにを訳の分からないこと言ってるんですか。それと、ここでは舞衣ちゃんとお呼びするのはお控えください。」


飛鳥様は目を伏せながら頷いた。


「わかりましたわ、舞衣さん…」


いよいよ黎明学園の門を通る。

門前には桜並木が広がっており、正面玄関は煉瓦造りの厳かな雰囲気が漂っている。

良家の子女が多く通う日本屈指の学園なので、周りの子より精神年齢が何倍も上の私でも流石に緊張してしまう。

だって元バリキャリだったと言っても、生まれは普通の一般家庭だったんだから!


入学生たちは桜並木を優雅に歩き、手を引くお母様方は謎の皮(?)のバッグや真珠のアクセサリーを身に付けている。

一体いくらするんですかそれ。


その中でもやはり飛鳥様は別格だ。

流石あの一条家のご令嬢、立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花ということわざを齢6歳で体現させる本物中の本物。


という風に周りからは見えているはず。

この半年間の私の苦労が実を結んだのだ…!


入学までの飛鳥様の教育は本当に大変だった。

飛鳥様と同じ6歳の、しかも一条家よりも家格の低い院瀬見の私が飛鳥様に教育を施しているなど周りに知れたら大騒動になってしまうので、お母様方には一条家に遊びに行く!と無邪気な笑顔を見せて2日に1回のペースで一条家に入り浸り、飛鳥様にスパルタ教育を施していた。


飛鳥様、立ってる時にフラフラしないでくださいませ!まるで鳩のようですわ!

座る際に不要な音は鳴らしません!タップダンサーじゃないんですから!

歩く時は大きく手を振らないでください!自衛隊のレンジャー部隊ですか!

こんな日々を送るにつれ、飛鳥様はまさに立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花という令嬢達の鏡のような外面を身につけていき、私は例えツッコミが上手くなった。

いらないよ、こんな特技。


しかし飛鳥様もピーピー喚きながらもこのスパルタ教育をよく乗り越えてくれた。

腐っても名家の直系血筋、ポテンシャルは人並み以上に高いのだ。


ある時、

「見ててね舞衣ちゃん、これなら無駄な音を鳴らさず静かに走れるわ!」

と、江戸走りを披露された時は、思わず引っぱたきそうになったがグッとこらえて精一杯の微笑みを浮かべながら注意をしたが。

飛鳥様はなにかとんでもなく恐ろしいものをみたような顔をしていた。

私は優しく注意したつもりなのに…


はあ、ポンコツ嬢の尻拭いは始まったばかりだ。


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