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救援へ

「周囲に気をつけろ。敵が来るかもしれん。」


「「「ははぁ!!」」」


ウォルトさんの急報を受けてドルファスさんは直ぐに動いた。救援部隊を編成して自ら率いてアルムン国を助けに行くと決めたのだ。先頭を行くのはドルファスさんと俺達、そして


「ドルファス様。救援に向かっていただきありがとうございます。」


「気にするな、それで状況は?」


急報を伝えに来た龍人族のフィリスさんだ。彼女の全身は緑の鱗に覆われ、大きな翼も生えているが所々に傷が目立ち動くのも辛そうだ。それでも一緒に走りながら進んでいる。


「とても悪いです。この間の蛇人族の襲撃の復旧も終わっていないところに畳みかけるような襲撃を受けてしまい・・・。しかも襲撃してきた連中は何やらおかしくて。」


「おかしい?」


サリヤもその話に混ざった。


「死を恐れないのです。狼の見た目なので魔獣かとも思いましたが死んでも爆発しません。」


「それって、あのアイアンメイデンが生み出していたやつじゃあ?」


「かもしれません。やつらは魔獣を増やすだけではなく、無尽蔵の式神軍団を生み出せるようになったのかもしれません。」


「式神!?確かにそれなら納得です。我々の攻撃にも怯む事無く進撃してきましたので。」


「あの時と同じなら式神を生み出している母の様なものがいるはずですが、おかしな形で巨体の敵はいましたか?」


「いえ、そう言った敵の目撃情報はありません。」


「それなら近くの遺跡に隠れているのかもしれません。お父様、幾つかの部隊を周囲の遺跡の捜索に当てるべきです。」


「そうだな。」


ドルファスさんが近くを並走している部隊に声をかけると隊列から離脱して散っていった。


「しかしこちらの国に救援も呼べない程の急襲だったとは、敵は戦略的に攻撃を仕掛けてきているな。」


「・・・いえ。・・・救援は呼べなかったのではなく、呼ばなかったのです。貴国に来たのは私の独断です。」


「何?」


ドルファスさんの顔が怪訝な物に変わった。フィリスさんがチラッと俺の方を見た。


「・・・成程。レイトの事ですか。」


「・・・はい。侵攻を受けた時ゼール王はディスブル国に救援を求めようと言ったのですが、レイト様が来てしまうとさらに混乱をしてしまうのではないかという話が上がってきて・・・。かと言って救援を求めているのにレイト様だけ来ないでくれというのも失礼に当たると。そんなことを話し合っている間に更なる侵攻を受け、その話し合いの場すら持てなくなってしまったのです。」


とても渋い顔でサリヤに答えたフィリスさん。


「あぁ。」


思い当たる節しかない。アルムン国にとっては俺は国を壊滅一歩手前まで追い込んだ人と同じ人間なんだ。


「話には聞いていたが、お前はアルムン国にとっては救援にも来てもらいたくない忌むべき存在なのだな。」


「うっ、はい。」


直球に言われると流石に凹む。


「言わずに救援を求めてしまい大変申し訳ございません。全ては私の責任です。私の事は全てが終わり次第いかに断罪して頂いても結構です。」


「救援が貴様の独断でもアルムン国は同盟国だ。救う以外の選択肢は無い。お前がそこまで気負うな。」


「・・・ありがたき御言葉。」


「だがその状況ならレイトはアルムン国には入れない方が良いかもな。」


「ですよね・・・。」


自分でもそう思う。下手に向こうのトラウマを引き出す必要も無いだろう。


「いえ、お父様。レイトも連れて行くべきです。」


それをサリヤが真っ向から否定した。


「何故だ?」


「彼は以前国を襲っているのと同じ式神の発生源を特定し、それを撃破した経歴があります。その経験は必ず役に立ちます。」


発生源の特定はしてない、と言おうとしたがサリヤの一睨みで言うのを止める。


「相手の国の心情を重んじて尚、か?」


「はい。国が壊滅してしまうかもと言う時にそんな事を言っている場合ではないでしょう?」


「・・・そうだな。フィリスはそれでも良いか?」


「勿論です。」


「レイト。」


「は、はい。」


「お前にはしっかりと活躍してもらうぞ。」


「はい!」


その言葉で気合が入る!


-----


《ダースランス》


城門の手前で戦っている式神の上にドルファスさんが生み出した黒い槍が降り注ぐ!それらは正確に式神の頭を捉え動かなくしていった。


「隊長!」


「フィリス!今まで何処に行って、ドルファス様!?」


「状況は?」


「は、はい!敵は門や城壁が壊れている所から内部に侵入しており、局地で戦闘が発生しております!住民も逃げ遅れており後手後手の状況です!」


「そうか。ゼール殿は?」


「ゼール王は城にて指揮を執っております!しかし先程城の方でも戦闘が発生したようで危険な状態かと思われます!」


「わかった。私達はゼール殿の下へ行く!各隊展開して龍人族を助けよ!!」


「「「「はっ!!!」」」」


号令と共に散開する部隊を見届ける前に俺達は門をくぐった。


-----


中は凄惨の一言だ。前の蛇人族の襲撃よりも建物が破壊されており、襲撃の荒々しさが浮き彫りになっている。


「以前と比べると建物の破壊が多いですね。その分龍人族の被害が少ないと良いのですが。」


「そうだな。急ぎゼール王の下へ直行するぞ。お前達もなるべくついてこい。」


「わかりました。」


「了解です。」


「グラァァァ!!」


王宮に向かって走っていると彼らの前に式神が何体も現れた!


《ダースウェイブ》


しかし数瞬の間もなくドルファスが右手から黒い波を生み出し、目の前の式神達を全て飲み込んでしまう。


「すっげぇ。」


思わずレイトは感嘆の声を出してしまった。が、波が収まった向こうからまた式神が襲い掛かってきた!


「・・・次は私が。」


《アイスジェクション!!》


飛びあがり氷を射出するサリヤ。打ち出された氷の礫は式神とその周囲の地面を砕く!


「おぉ。流石マスター。」


(初めて見る魔法には何度でも凄いと思っちゃうな。これからもこの世界にいる間は驚きの連続なんだろう。)


レイトがそんな事を考えていると


ドゴォ!!


と横から重低音が聞こえ、式神が建物の残骸から飛び出してきた!!


「うぉ!!」


その式神はレイト目掛けて一直線に突っ込んでいった!


《アイスシールド!!》


ガギィィン!!


何とか氷の盾で防いだものの衝撃で吹き飛ばされ、家を何件も突き抜けて飛ばされていった!


「レイト!!」


「待て。」


飛ばされていった方に行こうとしたサリヤを止める声があった。


「王宮に急ぐぞ。」


「レイトを助けないと。」


「優先順位を考えろ。あやつよりもゼール王の元に向かうことが先決だ。何があるか分からないこの状況で戦力は分散させたくない。」


「それは、そうですが。」


「ならば急ぐぞ。あやつは防御をしていた。攻撃をしのぎ切ることくらいはするだろう。」


「・・・はい。」


返事を聞いたドルファスは王宮へ再度走り始める。サリヤは数瞬レイトが吹き飛んでいった方向を見て


「気を付けて。」


と呟き、ドルファスの後を追った。

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