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いざ遺跡へ

「ではこの封印を解くかのう!」


夢から覚めた朝、俺達は件の遺跡の入り口にやってきた。とても大きな扉で前に入った遺跡よりも大きな扉だ。俺が起きたときにクロア君やラセツさんがお礼を言ってきて皆が無事に起きれたことを聞いた。俺が寝ている間にセイスさんは俺達の目的を聞いたようで遺跡の扉を開ける事を快諾してくれたようだ。ラセツさんは宴をしようと提案していたが


『先に遺跡の中を見せてもらえないでしょうか。』


とサリヤが言ったことでみんなで遺跡にやってきたのだ。


「そんなに直ぐに遺跡の中を見たかったのか?宴の後でもよかったんじゃあ?」


トライルさんがもっともな意見を言っている。


「宴をしてもその最中に遺跡の中が気になってしまいますから。」


「・・・じゃあ見終わったら、宴だね。」


ニーナさんも宴を凄く楽しみにしているようだ。


「でも大丈夫ですかね?その侵入者がまた来るかも。」


水を差すように侵入者の不安を口にしてしまう。


「その可能性はあるかものう。侵入防止の結界は張ってあるがミナがひそかに入ってきた方法は分かっておらぬ。じゃがその方法を解析し封じるのにはかなりの時間がかかってしまう。サリヤちゃんは急ぎたいのであろう?」


「はい。」


「では急ごう。ラセツ。皆と共にこの入口の警護を任せても良いかの?」


「無論だ!任されよう!」


二人はがっしりとハグをしてセイスさんは遺跡の入り口に向かった。


「行きましょう。」


「あ、はい。」


「そうだ。あなたはまだ文字を思い出していませんでしたよね?古き魔物や三魔神の読み方を教えておきましょう。」


手を前に出して氷を作ろうとしているサリヤ。


「大丈夫ですよ。昨日アイリスさんに教えてもらいましたから。」


「・・・そうですか。」


少し不満げに手をおろしてしまった。ちらっとアイリスさんを見た気がするが俺が彼女に目を向けると、


ぱたぱた


と小さく手を振ってくるだけだった。手を振り返して二人を追う。


「よし。開けるぞ。」


セイスさんが扉に手をかけ、ほんの少し時間が経つと扉全体に水色の光が走り


ゴゴゴゴゴ


と大きな音を立てて扉が開いた。


「よし、行こうかの。」


少しだけ開いた扉にセイスさんが向かい、俺達も続いた。中はドームのようだったが光る石のおかげで大きな壁画がよく見える。一枚絵の下にこの世界の言葉で説明が書いてあるようだった。


「儂もこの中に入るのは久しぶりじゃ。何処に何の魔物の事が書いてあるかは覚えておらぬ。それぞれ手分けして目的の三魔神の事を探していこうかの。古い壁画ばかりじゃから内容が欠けているかもしれぬ。儂はそういう文章を読むのが得意じゃから直ぐに読んでくれ。」


「はい!」


「そうですね。」


それぞれ別れて壁画を見ていく。思っていた以上に中は広く、また壁画の数も多かった。その下に書いてある分も長く三魔神の単語を探すだけで一苦労だ。


(こんなに長い文章が書いてあるなら三魔神の弱点も書いてあるかもな。)


なんて考えながら壁画を見て回っていく。何枚か見たもののそれらしき単語は見当たらない。目や首が疲れてきたと思いつつ次の壁画を見た。


「あれ?」


上に描いてある壁画にエンシェントラフレシアのような花が描いてあったのだ。


「これがエンシェントラフレシアなら。・・・あった!」


下の文の中にエキドナの文字を見つけた。


「マスター!セイスさん!エキドナの壁画がありました!」


大声で二人を呼ぶと直ぐに駆けつけてくれた。


「ふむ、確かにエキドナの壁画のようじゃな。レイトよ良くやったの。」


セイスさんがまた頭を撫でてきた。


「この壁画に描いてある魔物がエキドナ・・・。」


壁画にはエンシェントラフレシアの他に大きなモグラのような魔物が描かれていた。細かい部分は描かれていないが背中の特徴を見るにハリモグラのような魔物だ。


「どれどれ。かけている部分もあるし儂が読もうかの。」


セイスさんが文章に近づき内容を読み込む。


「特徴は分かりやすいですけど、古い壁画だから細部までは分からないですね。」


「そうですね。ですが私達の敵の姿はわかりました。」


「それが分かっただけでも一歩前進ですね!」


「はい。・・・ん?」


サリヤが横の壁画に目をやって、疑問符を出しながら歩いていく。壁画の下の文章を読んでいるようだ。


「どうしたんですか?」


彼女を追っていき壁画を見ると牛が二足歩行をしている絵が描いてあった。


「デメテル。」


「え?」


「この壁画はデメテルについて描かれています。」


「ええ!」


まさか三魔神の内の二体が隣に描かれているとは思わなかった。


「損傷が少ない。私はこの文章を読みますのであなたはメドゥーサについて描かれている壁画を探してください。」


「わかりました。」


サリヤが読み始めたのを見て更に横の壁画に目を向ける。


「まさか、全部が直ぐ近くに描かれてるわけないよな。」


そこには上半身が女性で下半身が蛇。そして蛇の髪を持つ魔物が描かれている。


「・・・まさか。」


半信半疑で下の文章を読んでみるとメドゥーサの文字があった。


「ええ。そんなことある?」


二人に三魔神の壁画が直ぐ横に描かれていることを伝え文章を読んでもらう。読み終えた後に二人でそれぞれが読んだ情報の交換をしながら説明してくれた。


「壁画にはそれぞれこいつらが生きていた時の目的、更にどうやって死んだかが書かれておったの。」


「はい。まずエキドナは自身がこの世界の王になる野望があったようですね。しかしエキドナには現実で王になれるほどの強さが無かった。だから全ての生物を夢に落とす事を模索していたと。しかしエキドナに賛同する魔物はおらず、最後は他の古き魔物に狩られたと。」


「そうじゃの。エキドナが思い描く夢はエキドナのみが思い描いた夢じゃったようじゃからの。味方なんぞつくれまい。次にデメテルじゃが、彼女は自ら生み出した魔物と共に理想郷に住むことを夢見ていたようじゃ。元々好戦的では無かったが、生み出した魔物達が迫害を受けて戦いに立ち上がったと。しかし魔界ではその夢が果たせず格下と見下していた人間界に向かったが、最後は人間に討たれたと。」


「魔界で負けたエキドナは人間界でも負けた、と。見下していた人間に負けたなら彼女は人間に怨念を持っているかもしれませんね。」


「かもしれぬの。最後にメドゥーサじゃが何やら純血以外の生物を絶滅させようとしていたようじゃな。」


「純血?」


「うむ。何をもって純血かは書いてなかったが、その血以外の生物に対して並々ならぬ敵意を持っていたようじゃ。しかし死んだ詳しい状況は書いておらぬ。何者かと戦い爆発して死んだとしか書かれていない。」


「三魔神の目的は分かりました。生き返ったという事は、生きていた時の無念を晴らすためでしょう。目的や姿形が分かっただけでも進展です。」


「そうじゃな。これらの情報は皆で共有しよう。この国だけでなく同盟国でそれぞれ探せばこやつらの痕跡を探せるじゃろうからな。」


「ありがとうございます。・・・お母様の事も分かるといいのですが。」


「そうじゃな。お主もミナに会ったら言いたいことが山ほどあるじゃろうが、儂も山ほどある!やつをとっつかまえねばな!!」


ガハハと豪快に笑うセイスさん。



「のお、ミナよ。」



笑顔のままセイスさんが訳の分からないことを言った。


「??」


唐突すぎて俺の頭にはてなが浮かぶ。


「・・・。」


サリヤも訳が分かっていなさそうだが周囲を見渡している。


「サリヤよ、周りを見てもお主の母はおらぬ。出てこいミナ。ここには我ら以外おらぬ。」


『なんでわかったのぉ?』


俺の頭から白い球が出てきて声が聞こえ始めた。その声は何度か聞いたあの女の、サリヤのお母さんのものだ。


「あの白い夢の中でレイトの頭に触れた時、お主の魔力を感じたのじゃ。」


『へぇ。あの夢の中で私の魔力を探知するなんて、流石セイス。』


「思ってもいないことを。あの夢の中では何もできなかったからの、先ほどレイトの頭に触れた時に外と分断する結界を張った。お主がそこに居れる時間はそう多くない筈じゃ。」


『その通りねぇ。本当はずっと頭の中にいて転移の目印にしたかったんだけど、しょうがないか。』


「お母さん。」


サリヤがその球体に話しかけた。無表情だったが緊張している面持ちだ。


『久しぶりね、サリヤ。』


「・・・本当にお母さんなの?」


『本物よぉ。貴方の無くなった右腕にあったほくろの数でも言えば信じる?』


「・・・なんで。」


『何で生きているのか?何で三魔神の側にいるのか?何で』


その球がこっちを見て笑った気がした


『レイトを異世界から連れてきたか?』


「やっぱりお母さんが・・・。」


『何でもかんでも答えると思わないでほしいわね。私はあなたの敵なんだから。』


「ほぅ。我らの敵とな。昔に戻ったようじゃの。」


『戻ってなんかいないわ。ただ知っただけ。』


「知った?」


セイスさんの笑顔は不敵なものに変わっている。


『そう、知ったの、全てを。人間界、魔界。醜い物は腐る程見てきた。そして全てを無くす力を知った。だからそれを執行する為に今は動いている。』


「・・・。」


重い空気が立ち込めている。


「それは、敵でないと、出来ない事なんですか?」


『え?』


「マスターの、娘の敵にならないと出来ない事なんですか?親が死んで、それが生き返ったなんてありえないくらい驚くことで、ありえないくらい嬉しい事です。でもそんな母親が敵として娘の前に出てくるなんて、マスターの心情を考えていないんですか!!」


「・・・レイト。」


『・・・はっ。この世の全てを無くす為に動いているのよ?そんな一魔族の心情なんて知ったことじゃないわ。』


「・・・そうですか。今の言葉とレイトの言葉で私も吹っ切れました。」


サリヤが俺の手を握ってきた。


「あなたは私の敵です。」


その手を握り返す。


「前からですけど俺の敵でもありますね。」


『・・・そう。』


白い球は少し動いて揺らぎ始めた。


『じゃあね、私の敵達。』


白い球は消えてしまった。

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