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その女 危険にて

「え」


この世界では珍しい黒い目が玲斗を見つめている。この場にいる誰もが声を聞くまで全く気が付かなかった。


「元気そうね。」


その圧力からか、痛みからか玲斗は動けない。


「ランシュウ!!」


「はいはい!!」


分かれていた二人が動いた。一人は大剣で斬りかかり、一人は矢を放つ。だがその攻撃が届く前に周囲が変わった。


ボォォォォォン!!!


アイアンメイデンと氷に覆われていた女が大爆発を起こしたのだ。


「うぉ!!!」


「わぁ!!!」


飛び掛かった二人は遠くの壁まで吹き飛ばされてしまう。そして周囲は煙に満たされた。


「まさかこの魔像を壊すなんて。はぁ、デメテルのお気に入りだったのに。」


だが女は何もなかったかのように話し続ける。


「お前は、」


「お前?日本人ってのは律儀なんじゃなかったの?デメテルのノートも当てにならないもんね。」


「!!なんで俺が日本人だって。」


「ノートに書いてあった特徴にそっくりだもの。それに」


ちらっと竹刀を見て


「ユカリが言ってたからね。」


笑いながら女は言った。


「・・・」


玲斗はその笑顔を見て少しの間固まっていたが、


「お前!!」


ドシュ!!


痛みで動かせないはずの腕が動き、詠唱無しで氷の槍が女に飛んで行ったが。


「危ないなぁ。」


軽く避けられ彼女の後ろの煙が晴れる。


「あなたが来て驚いたけど、同時に助かってもいるの。ユカリが死んじゃってデメテルを繋ぎ止めておけないと思ったけど、あなたがいたおかげで何とかなりそうだもの。まあ、前の世界への思いは薄そうだけど大丈夫でしょう。」


頬に手を当てられるが玲斗は動くことが出来なかった。顔を覗き込まれ笑顔を向けられている。


「・・・ぇ。」


サリヤはその光景を見ていたが一歩も動けていなかった。驚きの表情を浮かべている。


「・・・。今日は帰るけど、あなたとはまた会うことになる。」


その視線に気づいたのか女も少し止まったが、レイトに言葉をかけると


「じゃあね。」


ふっ、と消えてしまった。

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