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三魔神、そして

「おい、大丈夫か?」


近くに来てくれたインフィさんが心配してくれる。


「な、なんとか。」


「ガァ!!」


その隙をついてか生き残った犬が襲い掛かってきた!


《アイスランス》


インフィさんが構えた瞬間、横から飛んできた複数の氷の槍が犬を残らず打ち抜いた。


「インフィ君!大丈夫ですか!?」


焦った表情のランシュウさんが俺達の下に急いでやってきた。


「おう。何とかな。お前は大丈夫なのか?」


「ええ。お姫様に守ってもらっていましたから。」


インフィさんの無事を確認したらいつもの調子に戻ったランシュウさん。


「レイト君も大丈夫?インフィ君が何か阻喪しなかったかい?」


「はい、守ってもらってました。」


「おお、それはそれは。」


「だがあのデカブツをぶっ倒したのはこいつの魔法だ。」


「あなたの?」


いつの間にか近づいてきていたマスター。


「マスター!大丈夫でした?」


「私は大丈夫です。迷路構造でたどり着くのに時間がかかっただけです。それはそうと、あの巨像をあなたの魔法で倒したの?」


「はい。前にマスターが出してた闇魔法を使って。」


「・・・。」


心底驚いたような顔をするマスター。


「前に出してた?ちょっと待て。お前あの魔法使ったことなかったのか?」


「はい、さっきが初めてです。」


「おお、レイト君は天才だねぇ。」


二人もとても驚いている。


「そういえば魔法を練習せずにうまく使えたの初めてかも。」


今までの魔法を思い返しても何度も練習を重ね、そのうえできちんと使えるようになっていた。ぶっつけ本番で使って成功したのは初めてだ。


「体に違和感はないのかい?」


「腕がすごく痛くて、全く動かせないです。」


「!見せて!」


俺の言葉を聞いたマスターが腕に飛びついてくる。


「いったぁ!」


マスターに触れられたところがとてつもなく痛い。


「・・・・・・。」


それが耳に入っていないかのようにまじまじと腕を見続けている。


「おい、見ろ。」


そこにインフィさんがアイアンメイデンの方を見て呼びかけてきた。俺がそちらを向いたことでマスターの意識もそちらに向けられた。


「ぐぅぅ。」


横たわったアイアンメイデンの開いた胸から中に入っていた女が這いずって出てきた。血だらけで息も絶え絶えだ。


「何故だ!何故だ!何故だ!?デメテル様の力が入った魔像が何故敗れる!!」


「デメテル?」


マスターの顔がまた怪訝に変わる。


「古き魔物の名前だねぇ。インフィ君のご先祖様だよ。」


「はぁ?」


「オークやゴブリンの古き魔物がデメテルなんだよ。彼女は多くの魔物を生み出したと言われていてその魔物の子孫がインフィ君ってこと。」


「そうなのか。」


「でも彼女の魔力は普通の魔物には毒だった。彼女の周りにいるだけで魔物達は暴れてしまったんだって。だから魔物の母でありながら、自分からは魔物に近づかないようにしていたとか。」


「あの人、ここで何かの研究をしているって言ってました。もしかしたら古き魔物の研究かも。」


「詳しい話を聞く必要がありますね。」


そういうとマスターは女に向かって行った。ここで休んでいようと思っていたが、インフィさんが起こしてくれたのでゆっくりとついていく。


「ぐっ!!うっ!!」


「貴方はここでなんの研究をしていたのですか?」


地面に落ちた彼女に問いかけるマスター。


「いずれこの世界は我々が支配する!!その世界に貴様らの居場所はない!そんな者に言うことなどない!」


「我々?」


「こいつさっき三魔神って言ってたからそれだろうな。」


「仮に三魔神が古き魔物の内の三匹のことを指していて、最近の魔獣に関連づけるならエキドナがまず一匹目。そして今回のデメテル。最後は」


マスターがこの空間をグルッと見回した。壁に刻まれている壁画を見ているようだ。


「・・・メドゥーサ、でしょうね。」


「!!!」


「お、その反応。お姫様の予測が当たったようだねぇ。」


「メドゥーサって?」


何とか声をひねり出す。


「血を操る古き魔物です。更には古き魔物の中でも一際魔力の操作に長けていたとか。私の、悪魔族の古き魔物です。」


「そうなんですね。」


「仮にそれらを魔獣の騒動に当てはめると、エキドナがエンシェントラフレシアでエキドナの魔力を魔物に植え付け、メドゥーサが魔力操作の力で体に無理やり馴染ませていた、とかですかね。」


「うぇえ。気持ち悪いねぇ。」


「・・・爆発は?」


マスターがたどり着いた結論があっているかは分からないけど、その説明だと爆発要素がない。


「確かにな。その三匹には爆発の魔法を使うやつがいたのか?」


インフィさんも知らないようでランシュウさんに聞いている。


「いないねぇ。」


「いないですね。」


「ってことは他の古き魔物か?でもそれだと三魔神には入ってないってことだよな。」


「・・・・・・。」


腕の痛みが体中に広がり一歩も動けないが、頭の回転は今までの中で一番早かった。


「爆発には関係ないかもしれないけど、さっきあやつって言ってた相手がいました。三魔神に対しては敬った言い方だったのに、その相手にだけ無作法な言い方だったから、古き魔物じゃないのかも。」


「そういやそんなこと言ってたな。じゃあそいつの事を聞き出せば次につながるな。」


大剣を女の人に向けて威圧するインフィさん。


「ふん!あやつのことなど詳しくは知らぬわ。三魔神様に無作法なだけで腸が煮えくり返る思いだというのに。」


「名前くらいは知っているでしょう?言いなさい。」


いつの間にか出していた魔具で脅しをかけるマスター。


「っく!あのような無礼な人間でも三魔神様の味方!おいそれと言うわけにはいかぬわ!!」


「一応意思は固いようだねぇ。お姫様が拷問が得意でもないと、口を割らせるのは難しいんじゃない?」


「・・・そうですね。ここの調査も必要です。彼女を城に連れ帰り部隊を連れてきましょう。」


「ぐぅ・・・。ぬぅ!!」


女の人は抵抗しそうだったが、マスターの氷の膜で顔以外を覆われ身動き取れないようにされてしまった。


「おっ、ディスブル国の方々が来るならその前に遺跡の中を見て回ろうかね?ねぇインフィ君。」


「・・・そうだな。」


「そうこなくっちゃ!」


インフィさんはちらっと俺を見た後に、数あるうちの一つの通路に向かうランシュウさんについていった。


「・・・まあ、いいでしょう。あなたはここにいてください。私は一応あの魔像を凍らせてきます。」


それを見てため息をついたマスターだったが、諦めてアイアンメイデンに向かって行った。手持無沙汰になり、あの女性と話でもしようかと思いそちらに目を向ける。


「久しぶり。」


目の前に夢で出会った銀髪の女がいるとは夢にも思わなかった。

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