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夢の終わり
「レイト サン」
彼女の体が力なく崩れ落ちる。自分の腹にも竹刀が刺さっていて、何とか支えるも俺も膝から崩れてしまった。
「由佳莉さん・・・。」
「レイトサン ユメカラ サメマショウ」
竹刀から手を放しこちらにゆっくりと手を伸ばしてくる。手を取りしっかりと目を見る。泣いている彼女の目を。
「そうですね。今寝れば夢から覚めれますよ。」
「ヨカッタ ココハ コワクテ」
どんどんか細くなっていく声。
「はい。由佳莉さんには嫌な夢でしたね。」
「ウン レイトサンモ」
「俺も夢から覚めます。だから今はゆっくり寝てください。」
「ウン ウン ワカッタ 」
子守唄をうたう。誰もが聞いたことのある子守唄を。
「オトウサン、オカアサン。」
目をつぶる由佳莉さん。
「 クン。」
誰かの名前を呟いて
「 」
声が聞こえなくなった。




