変化
街の賑わいは前とは少し変わっていた。前は元の世界の駅前のように少しの活気と少しの落ち着きが混在している雰囲気だったが、今は皆ピリピリしており、時折大きなガタイで列を組んでいる龍人族の人が行き来している。おそらく兵士達だろう。そして店の近くまで行ってやっと前とは違う空気感の理由が分かった。
(凄い視線が痛いような・・・。)
前の好奇心の視線とは違う、異物を見るような視線。蛇人族の王と戦う前にマスターが言っていた噂が広まっているのだろう。ここで弁明をしても信じてもらえないだろうから視線を受けつつ歩く。更に少し歩いたら石の店に着いた。街の空気がピリピリしていてもしっかりと営業をしてくれている。
「あのー。」
中に入り奥に向かって声をかける。
「はいよー。ん?あんたシルビア様と一緒に来た人間?」
「は、はい。」
「どうしたんだい?」
「前に掘ってもらった石にひびが入っちゃって、直せないかなって思いまして。」
ネックレスを首から外して店員さんに渡す。
「どれどれ。確かにひびが入ってるね。でも大丈夫、時間をかけて魔力を込めれば元に戻るよ。」
「ほんとですか!」
「ほんとうなら修繕のお金を貰うんだけどシルビア様のお友達だからね、ただでやってあげる。」
「え、そこまでしてもらうわけには。」
と言いつつこちらの世界の持ち合わせがないことに気付き、声がか細くなる。
「ははは、持ち合わせが無いようだね。いいよただで。しかも今大変な目にあっているんだろう?種族が違って大変なのに巻き込まれてかわいそうだからね!」
「ありがとうございます!店員さんも俺の噂を知ってるんですか?」
「ああ、兵士から直接聞いたわけじゃないけどシルビア様やディスブル国のお姫様の使い魔の人間が今回の騒動の首謀者だってね。」
「そんな風に言われているんですね。」
はっきりと聞くと少しへこんでしまう。
「でもまあ私には関係ないね!兵士の話を信じないってわけじゃないけど、前にあんたの目を見て商売をしたからね。私は客を見る目はあるんだよ!」
ははは、と豪快に笑ってくれた店員。そして石を持って奥に行ってしまった。へこんだ気持ちも店員さんの態度で戻ってきた手持無沙汰で外に出ると、
「「「やっほー!人間のお兄さん!」」」
前にシルビアさんに集まっていた龍人族の子供達が声をかけてきた。
「こ、こんにちは。」
人数に圧されてどもってしまった。子供たちは少し不思議な顔をしたがすぐに笑顔に戻った。
「何してるの?」
「このお店で石を直してもらってるんだ。時間がかかるらしいからどうしようかなって思ってて。」
「じゃあ遊ぼ!」「遊ぼ遊ぼ!!」
種族は違うけど子供の無垢さは変わらないみたいだ。
「何して遊ぶの?」
腰を屈めて目線を合わせながら聞く。
「何がいいかな?」「追いかけっこは?」「ぼんぼん合戦は?」「えー、火吹き返しがいい!」「お兄さん出来ないじゃん。」
所々物騒そうな名前が聞こえたが彼らの笑顔を見てると癒される。そんな中一人の子が俺の前にやってきた。
「お兄さんは何がしたい?」
少しもじもじと聞いてきてくれた。
「皆がしたいことでいいよ。」
思わず頭を撫でてしまった。最初は驚いていたが、受け入れてくれたようで撫でられるがままになってくれた。
「・・・・・・。」
子供の笑顔に暫く撫でていた時、
ドォォォォン!!
ドォォォォン!!!
街の外側、その数瞬後城から大きな爆発音が聞こえてきた。




