対等な共闘
「ぎゃぼぼぉぉぉぉ!!!」
それは今まで見た魔族や魔獣とは比べ物にならないほど異形で、恐怖に満ちていた。昨日まで戦っていた巨大化した蛇人族達より大きく、それでいて上半身しかなく長い腕から生えている茨でバランスをとっている。
「な!なにこれ!!」
「散りなさい!!」
俺の疑問に誰かが答える前にマスターの怒号が響いた。
「!!」
その声で横っ飛び出来たのは今までの鍛錬の賜物だと思う。俺達がいたところにはあの蛇人族が吐いたゲロが広がって何やら異臭を放っている。
「誰でゲスか!!」
「おそらくー、蛇人族の王ですねー。」
「王?こ、こんなのが!?」
「はいー。今まで影も形も掴めなかったんですけどー、ここにきて他の蛇人族と一緒にー、襲撃してくるとわー。」
「こんなに形が整ってないのは驚きでゲスね!」
「っていうか、」
ゲロでテントの残骸を溶かしつくした異形の顔は
「こっち向いてません?」
「ぎゃぼぉぉぉ!!!」
こちらを向き、突進してきた!
《アイスシールド!!》
氷の盾を出してその突進を止めるが、
「ごばぁ!!」
口からゲロを出してすぐに盾を溶かされてしまう!そして
「うぉ!」
腕の振り下ろしで目の前の地面が砕かれてしまう!
《アイスホールド》
巨体の後ろから氷が伸びてきたと思った瞬間巨体全てが氷に覆われ動きが完全に止まった。
「まさか蛇人族の王がこんな姿になっているとは。」
その氷を作ったであろうマスターが横に瞬間的に移動してきた。
「これもやっぱりあの花が原因?」
「おそらくは。我々にその花のことを探られたくないのでしょう。しかし今の彼に知能があるようには見えません。裏で何者かが暗躍しているのかもしれませんね。」
「暗躍ってそんなドラマみたいな・・・。」
「ミールとトーラスさんはメイガスとウォルトの元へ行って保護してもらって。あれは我々で無力化します。」
「はい!お二人ともご武運を!」
「ご武運をー。」
巨体を迂回して向けていく二人。
「無力化ってもう出来ているのでは?」
「まさか。」
蛇人族の王はゆっくりとだが氷を壊して動こうとしている。
「え!」
「やはりこれくらいでは止まりませんね。」
「こんなのを止められるんですか!?」
「ええ。あなたと私ならできます。」
周囲の戦いなど無いかのように俺の目を見てくるマスター。
「期待してます。」
「・・・はい!」
マスターからの共闘の言葉は戦いへの恐怖を無くしてくれた。




