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魔法に怪我は付き物

次の日。朝御飯を食べた後城の庭で修行をすることになり二人だけで外に出ることになった。この世界の外は初めてのレイトだったが、拍子抜けするほど元の世界と同じで、魔力があふれている実感すらなかった。


「今日から修行をするわけですがまず一点。誰かに修行の事を聞かれたら勘を取り戻す為と言って下さい。」


「あぁ、記憶喪失って設定ですもんね。」


「そういうことです。ではまず始めに魔力を全身に巡らせる修行をしましょう。昨日の魔力の感覚は覚えていますね?それを継続させる感じです。」


「はーい。」


「巡らせる感覚は人それぞれなんです。血管の中を通すイメージの人もいれば、臍から爆発するようなイメージをする人もいます。ちなみに私は臍から円のように広がっていくイメージでやりました。」


「へーー。色々試してみよ。」


「一度魔力を巡らすことが出来ればその後はイメージ無しでも出来るようになります。少なくとも私はそうでした。」


「大体どれくらいで出来るようになるんですかね?」


「この世界に生きる人は当たり前にできることですからね。物心ついたら出来ると思ってもらっていいです。まあ、あなたでも一週間もあればできるようになると思いますよ。」


「すげえな。」


レイトはあの感覚を思い出した。全身に冷たい水が流れたような感覚。臍から水が広がっていくイメージ。


「・・・・・・。」


臍から冷たい感じが広がっていく。頭の天辺から爪先まで冷たくなる。


「・・・出来たみたいですね。」


「・・・わかります?」


「ええまあ。センスがいいようです。大したものですね。」


「直球で誉められると結構照れますね。」


「・・・それに一番相性がいいというのもあながち間違いじゃないみたいですし。」


「?というと?」


「あなたはまだ自分で魔力を精製できないんです。今あなたが使っている魔力は私の魔力ということ。自分以外の魔力でここまで習得が早いということは、私との相性がいいって証拠なんです。」


「へぇー。やっぱりあいつと似てるのが関係あるのかな。」


「・・・そういえば、あなたの亡くなった友達はどんな人だったのですか?」


「どんなって、背格好はマスターとほぼ同じ感じでクールって言葉が似合うやつでしたね。優しくて、良いやつでした。」


「そう・・・。」


「やっぱり気になります?」


「まあ、私とあなたを繋げた人とも言えますから。それに・・・まあ、いいです。さあ、修行を続けますよ。」


「?わかりました。」


「次にするのは魔力による身体強化。先程の魔力を全身に巡らせた状態で足に魔力を集中さ

せるイメージ。足に力をこめる感じでいいかと。」


「はーい。」


「嘗めてるの?」


「すいません。」


集中して今度は足に魔力をためるレイト。身体中の魔力が足にいった感覚になり、さらに魔力が集中するとその部分がもっと冷たくなった。


「出来たと思います。」


「・・・本当に早いですね。じゃあそのままで目を開けて、あの岩を見てください。」


ゆっくりと目を開け、サリヤが指を刺した少し遠くにある岩を見る。


「その足であそこまで走ってみて。普通より早く、そして疲れずに行けるはずです。ちなみに」


急にサリヤが消えて岩の前に現れた。レイトの目には瞬間移動したようにしか見えなかった。


「これくらいの早さが出れば私の使い魔として合格ですかね。」


「今走ってました?」


「ええ、本来はもっと早いですけどね。」


「早すぎでしょ!もはや飛んでるじゃん。」


「とりあえずやってみてください。」


足に魔力を集中させたまま走る構えに入ったレイト。スタートダッシュをしようと足に力を入れた瞬間、


ドガァ!!


という音、そして頭の痛みとともに意識が消えた。



目を覚ますとレイトはベッドに寝かされていた。動こうとすると頭にズキンと鈍い痛みがはしり動けない。


「おお。起きたんでゲスね。」


寝ているレイトの目の前に栗色の髪を持った少女が現れる。覗き込まれたようだ。彼女の頭には兎の耳がついている。バニーガールみたいな耳ではなく、丸い兎のような耳。


「ど、どうも・・・。」


「はい、おはようございます。」


満面の笑みを浮かべて挨拶をする少女。


「ここは、何処ですか?なんで俺はここに?」


「それを聞きますかいダンナ。その物語は涙無しには語れないでゲス。」


レイトはこのやり取りで悟った。こいつは面倒なやつだと。


「・・・出来れば短めでお願いします。」


「仕方ないでゲスねぇ。レイト様はサリヤ様に連れてこられたんですよぉ。サリヤ様にというかバザルさんにですけど。サリヤ様いわく勘を取り戻す修行中に身体強化魔法を使おうとして岩に突っ込んじゃったらしいでゲス。サリヤ様が氷で衝撃を緩和しなかったら今頃たんこぶまみれだったでしょうねえ。」


レイトは知らなかったが身体強化魔法は急に発動する。なので走るぞ!と思った瞬間に発動し、足の魔力が活性化して飛んだように走ったのだろう。


「えっ、と」


「あっ、自己紹介が遅れました!私はミールと申しますでゲス。この喋り方になった理由を聞きたいならニンジンを持って部屋にくるでゲス!三日三晩じゃ終わらせないでゲスよ!」


「は、はぁ。」


「あっ、ちなみにバザルさんっていうのは腕が4本あるオークオブオークのお方でゲス。」


なんか違う気がする。


「あの、マスターはどうしたんですか?」


「サリヤ様ならメイガス様のところに行ったでゲス。直ぐに戻ると言っていたので多分そろそろ・・・」


と言ったところでサリヤが部屋に入ってきた。


「おはようございます、レイト。良い夢は見れました?」


「ま、まあ見れました。」


レイトはサリヤを見て怯えていた。これは怒っている、と


「ミール、ちょっと外してください。」


「はい!わかりましたでゲス。」


ミールはレイトに手をふって部屋を出ていった。サリヤは少し不機嫌そうに


「私の使い魔なのだからしっかりしてちょうだい。」


「はい、すいませんでした。」


「最初に覚える事は全身の強化ね。いちいち気絶されていては修行にならないし。」


「あっ、マスターに助けてもらったんですよね。ありがとうございました。」


「・・・はぁ、お礼なら頭を下げて言って。とりあえず最初に習得するべきは全身の硬化魔法よ。まあ同じ身体強化魔法だから先に習得することは出来るでしょう。明日から始めるからね。」


「えっ?そんな直ぐに起きれる感じしないんですけど。」


「ミールの治療薬の技術は一流だから。・・・喋り方はあれだけど・・・。」


「そ、そうですね・・・。」


「明日から修行を再開します。今日はここで寝なさい。」


「はーい。っていうか動けないんですけどね。」


「・・・あと、」


「はい?」


「・・・いえ、なんでもないです。おやすみなさい。」


「おやすみなさーい。」


その後、レイトはミールにご飯を食べさせて貰って眠りについた。


「レイト様は暗黒茸とお米が好物と聞きましたので暗黒茸のリゾットを用意しましたでゲス。」


(・・・絶対こいつわかってやってるな。そろそろ気絶じゃなくて普通に寝たい・・・。)


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