変化
「サリヤさん。お話とは?」
玲斗さん達と別れた後、二人は廊下を歩いていた。
「・・・この辺りでいいでしょう。」
周囲に部屋などない長い廊下の途中で止まるサリヤ。
「シルビアさん。私達と別れてからユカリさんに何か変わったところはありませんか?」
「え?ユカリさんに、ですか?」
「はい。先ほどの戦いで彼女に少し違和感を覚えました。この短期間であそこまでの強さを身に着けていたのもそうですが、彼女の躊躇の無さに違和感が。以前の彼女は戦いに、ひいてはこの世界に恐怖心を抱いていました。そこからあの戦いぶりまで成長するとは何かあったのではないかと思い。」
「躊躇のなさ・・・。た、確かにこの短期間で魔力を生成できるようになって、魔力の扱いも上手くなって、魔獣との戦いに率先して向かうようにはなりましたがこれといって心境の変化につながるような出来事はなかったかと。しいて言うなら綺麗な一輪の花を大事そうに持ち帰ってきて、あの中庭に埋めていたかな?」
頭を唸らせながら思い出すシルビア。
「そうですか。レイトは魔獣との戦いにかなり消極的でしたのでユカリさんもそうかと思いましたが違うだけかもしれませんね。忘れてください。」
(シルビアさんは彼女が情緒不安定になっていることを知らない?ではお父様に来た彼女に対する要望はゼール王から?)
「レイトさんとユカリさんで戦いに対する気持ちが違うのでしょうね。」
「ですね。ありがとうございました。二人のもとに戻りましょう。」
「いえ、サリヤさんの思案をお手伝い出来て光栄です!」
笑顔のシルビアを見て少し空気が軽くなったサリヤは廊下を戻っていく。
「あっ。そういえば、サリヤさんがお帰りになってすぐにユカリさんが夢の話をしてくれたことがありました。」
「夢?」
「はい。元の世界の風景が夢に出てくるようになったと。誰かがユカリさんのことを呼んでいるみたいです。もしかしたらその夢を見始めたから戦いに積極的になったのですかね?」
「・・・かもしれませんね。」




