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はじめまして、おじさん

その男が現れて少したってもどちらも無言のままだった。その男は一目見ただけでは普通の人間の男に見えた。しかしよく見てみると、耳がとがっている。


(あれは・・・。エルフ族だっけ?エルフ族の人をメイガスさんしか知らないから確信が持てない。)


マスターは俺の袖から手を放し、ずっと男を睨み続けている。


「・・・。」

「・・・。」


睨み合いの末、沈黙を破ったのは、


「あのー、皇女様?答えていただかないと私、もの凄い恥ずかしいんですけども・・・。」


相手の男だった。屈強な体格に見合わず申し訳なさそうに言ってきた。なんかおじさんキャラみたいな人だな。それでもマスターは答えなかったので。


「は、初めまして。」


「おお、初めまして!応答してくれておじさん嬉しいよ。」


よよよと涙を拭う仕草をする男。全くおじさんには見えない。


「おじさん?」


つい疑問が声にでる。


「んー?そうだよー?え?若く見える?嬉しいねぇ。」


涙を拭う仕草をやめ、にへらと笑う男。


「おじさんエルフだからねぇ。やっぱり他の魔族からは若く見えるんだねぇ。さっきのオーク君達からも若く見られたしねぇ。まあ、それでもオーク君達は価値観の違いでやっちゃったんだけどねぇ。君は?なんの魔族なのかな?王女様と同じ見た目だけど、魔人族の子かな?」


さらっと言ったけどオーク達を殺したのはこのエルフなのか?


「いや俺は、」


「あなたは何者なんです?」


今まで黙っていたマスターがいきなり割って入ってきた。


「オーク達を殺したのはあなたではないはずです。何故嘘をついて私達の前に現れたのですか?」


「え?オーク達をやっちゃったって言ってたけど。」


「彼らの体についていた傷は切り傷でした。おそらく大剣での傷。矢での傷は一つもありませんでした。彼では無いのは明らかです。」


「自分の魔具を出すとは考えないのですか?王女様?」


「あなたの魔具はその弓と矢でしょう?あの威力はそれ以外ありえない。」


「まあ、そりゃそう見えますよねぇー。」


「魔具?」


「前に見せた私の槍があるでしょう?あれです。」


「ああ、あのどこからともなく出てきたやつ。あれってマスターだけの魔法じゃ無かったんですね。」


「・・・そうです。」


マスターの顔が少し暗くなる。


「・・・。」


エルフの男の方を見ると俺を見ながら難しいことを考えているような顔をしていた。そして俺を指さして、


「君。なんか変だね。」


「・・・俺っすか?」


「なんの魔族かわからないし、魔具の事全くわかってないみたいだし。何者だい?あ、ちなみに僕はエルフ族のランシュウだよ。よろしくね。」


「俺は、」


ドゴォ!!


自己紹介をしようとしたらいきなりマスターが何本もの氷の槍を作り出してランシュウさんに向かわせた!槍は木の枝だけでなくその幹も破壊した。


「あらら。」


木は倒れたがランシュウさんは軽やかによけて、別の木の枝に乗る。


「マ、マスター!?どうしたんですか!?」


「ほんとだよ。どうしたの?皇女様。」


マスターの顔はいつもと変わっていない。・・・だからこそなんか怖い。


「あなたは何かを隠している。」


「・・・まあ、初対面ですしー。」


「それは私達にとって何か害になるもの。」


「それはー、」


「その隠し事はうちの牢屋の中で聞きます。」


そういうといつの間にか周りに浮かしていた氷の槍をランシュウさんに放った!


ランシュウ 

175cm 

赤髪黒髪のメッシュ短髪赤目 

筋肉質でいつも弓と矢筒を持っている

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