夢を叶えた次は
《ダースロス》
蔓の猛攻を掻い潜りエキドナの頭に到達したドルファスの手から放たれた十字の闇はエキドナを貫通した!
⦅痛ったぁいぃ!!⦆
頭の半分が消えても動くエキドナ。痛がっているが恐怖している様子は無い。
「お父様の魔法が貫通しても殺せない・・・。」
「っつはぁっつはぁ。しかも、回復速度も、上がっていませんか?」
その様子に驚いているサリヤと、所々を血に染めながら肩で息をしているウォルト。
⦅ふふふふふふ!!!もう諦めたらぁ??⦆
エキドナの体はシルビアのオネイロスを管で吸い取り、直ぐに元に戻ってしまう。シルビアのオネイロスは少し小さくなったが、またゆっくりと大きくなっていく。
「我々の隊員やアルムン国の龍達もだいぶ少なくなってしまいました・・・。」
周囲を見ると大小様々な大きさのオネイロスが転がっている。それらはエキドナの放ったオネイロスに捕らわれた兵士なのだ。
「あのシルビアさんが作り出したオネイロス・・・。あれが大きくなっていくうちはエキドナは無敵・・・。」
「しかし、あれを壊す術は・・・。」
今も龍達がオネイロスを壊そうと魔法や牙を繰り出しているが全く歯が立っていない。
⦅もうお遊びもここまでねぇ!貴方達もあいつらもワタクシに敵わないと思い知ったでしょぉ!!⦆
「あいつら?」
⦅終わらせてあげるわぁ!!⦆
エキドナは更にオネイロスを吸い取り、その巨体を大きくしていく。オネイロスが龍ほどの大きさになってエキドナは吸い取ることを止めた。エキドナの体はサリヤが今まで見たことないほどに大きくなっている。
「こんなの、どうやって倒せば・・・。」
「・・・・・・。」
ウォルトが弱音を吐いてしまう。周囲の兵士達も戦意が無くなってしまっている。
⦅この国を滅ぼして、ワタクシが世界の王になるのよぉ!!!⦆
バキィ!!!
エキドナが高らかに声を上げた瞬間、後ろにあるシルビアのオネイロスが音を立てた。
「なに?」
バキバキ!!
サリヤを筆頭に全員の視線が集まる中、オネイロスにひびが入っていく。
「こわれて、いる?」
バキバキバキバキ!!!!
⦅え?⦆
バキィン!!
オネイロスが壊れて中から何かが上空に飛び出した。それは
「やったぁ!!」
他の龍にはない水色の鱗を持つ龍。そして
「うぉあ!!」
背中に乗るレイトだった。
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「龍に、なりたいです。」
オネイロスの中。シルビアはレイトの目を見て言った。
「おかしいですよね。龍人族が龍になるのが夢なんて。しかもお母様を殺してしまった元凶になりたいなんて。でも、本当は、私も、龍になって、空を、飛びたいんです・・・。」
「おかしくなんてないです。」
声が小さくなっていくシルビアを心配するように手を強く握り目を見るレイト。
「一緒に叶えましょう。」
「・・・うん。」
泣きながらだが笑顔を見せたシルビア。
「でも龍になるの二回目で、うまくできるかな?」
「それなら大丈夫ですよ!この空間はシルビアの夢の空間です。ここならシルビアが願えば何でも出来るはずです!」
「や、やってみます。」
手を放し少し離れて両手を握りこみ、自らの体内に魔力をめぐらす。
「・・・・・・ん。」
体に鱗が生えて全身を覆おうとした時シルビアの手が震え、魔力の流れが止まった。
「大丈夫です。」
すかさずシルビアの手を握りこむレイト。
「一緒に叶えましょう。」
「はい。」
シルビアの震えが止まり龍へと変身していく。レイトの手から離れたその姿は
「おおぉ。」
今までレイトが見てきた龍とは違い、全身を水色の鱗に包まれた龍だった。
「で、出来ました!」
その迫力も凄まじく、会話だけでレイトが吹き飛ばされてしまいそうになるほどだ。
「凄いです!さすがシルビアさん!!」
「えへへ。」
龍の顔でも照れているのが分かる。
「じゃあ次は空を飛びましょう!」
「つ、つぎ?」
「はい!だって夢を叶えてもそこで終わらせる必要なんてないですよ!夢を叶えたら次の夢を叶えるために突き進む!それが生きていくってことですよ!!」
「そう、そうですね!」
嬉しそうな声を出したシルビアはその翼を広げた。
バッサァ
そして白い空間を飛び始める。レイトの周りを数周して直ぐに降りてきてしまう。
「レイトさん!一緒に外に出ましょう!」
「え?」
「飛ぶなら空の下でっていうのが夢なんです!こんなところじゃ夢を叶えたことになりません!!」
「いいですね!あっ、でも今外はちょっと大変な事になっていて危険なんです。」
「大丈夫!!レイトさんと一緒なら解決できます!!」
ぐいぐいと顔を近づけるシルビア。その笑顔に次第にレイトも笑顔に変わっていった。
「ですね。一緒に敵をやっつけましょう!」
「はい!乗ってください!」
レイトを背中に乗せたシルビアは上に向かって飛び出した!
「どうやって出るんですか?」
「さっき飛んだ時にこの空間の壁を見つけられたんです!それを壊しましょう!」
「わかりました!」
レイトは左手をシルビアの背に凍らせて落ちないようにして、右手に氷の槍を持った。
「行きますよ!!」
ドォン!
何もない空間にシルビアが体当たりをすると虚空にひびが入る。
「おお!」
「まだまだ!!」
ドォォォン!!
二度目の体当たりでひびは大きくなり
ドォォォォォォォン!!!
三度目の体当たりで壊れそうになる。
「夢を見るのは、終わりです!!」
シルビアが自らを鼓舞して体当たりをすると
バキィン!!!
白い空間が壊れた。
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「空だ!!」
その水色の龍、シルビアは嬉しそうに空に向かって飛び始める。
「入る前よりボロボロになってる。ん?」
背に乗るレイトは周囲を見渡し、エキドナを見つけた。そしてそれと対峙するサリヤも。
「シルビアさん。シルビアさん!!」
「あっ、はい!」
「多分あいつがこの国を攻めている親玉です!!」
槍の切っ先をエキドナに向けた。
「分かりました!一緒に倒しましょう!」
空へ飛ぶのを止めたシルビアはエキドナに対峙するように滞空している。
⦅な、何をしてくれたのぉぉぉぉぉぉぉ!!??⦆
エキドナの絶叫が国中に響いた。
⦅なんでワタクシのオネイロスから龍が出てくるのぉ!?しかも勝手に入っていった使い魔までぇ!!!!⦆
その声には先ほどまでの余裕は一切なく、レイト達への怒りが込められていた。
「やっぱりこいつが親玉か。」
「やってやりましょう!!」
シルビアは自らを大きく見せるように飛び始める。
⦅お前、まさかあの子供ってことぉ!?龍に変身なんか出来ない筈じゃ無かったのぉ!?⦆
「夢を叶えたんです!!」
エキドナを睨みつけるシルビア。
⦅まだ、まだよぉ!!オネイロスの力が残っている内にもう一度オネイロスに閉じ込めちゃえばぁ!!!⦆
エキドナも絶叫と共に背中の蔦を伸ばし始める。その姿は癇癪を起こしている様だった。
⦅ワタクシの夢を、邪魔させないわぁぁぁ!!!!⦆
「夢を願うのは自由だけど、俺達を巻き込むんじゃねえよ!!」
「ヤァァァァ!!!!」
三者三様の雄たけびと共に戦いが始まる!!




