夢の中へ
時は少しさかのぼりエキドナが爆発を起こした時、レイト達は城下町で式神を倒していた。式神を相手にしながらもその爆発は皆の目を引いた。
「王宮が爆発したぞ!!」「ゼール王はご無事なのか!?」
天井が崩れていくさまが遠くからでもよく見える。
「レイト様!!」
「ひとまず目の前の残りの式神を倒しましょう!」
「「「はっ!!」」」
レイトの言葉で龍人族達が戦闘に戻った。彼らが龍となり式神の体勢を崩し、レイトがとどめを刺していく。この戦法で幾匹もの式神を倒して戦えない龍人族を救ってきたのだ。
「ここはもう大丈夫そうですね。王宮に行きましょう。」
「はっ!行くぞ!!」
「「はっ!!」」
レイトを先頭に龍人族達が走りだした。龍に変身して飛んで行った方が早いのだが、急な敵に遭遇した時の事を考えての人型だった。遠くの方では何体もの龍が空を飛び地上に攻撃を仕掛けているのが見えている。
(サリヤ・・・。)
「見ろ!!」
王宮の屋根があった部分から幾本もの蔦が生えだした。
「あれって」
「蛇人族の蔦!?何故また現れたのだ!?」
この場にいる全員がつい最近見たことがある蔦だった。全員がその蔦に気を取られていた時
「ガァァァァァ!!」
横から式神が襲ってきた!
「私が!」
《フレイムスマッシャー!》
近くにいた龍人族が対応しようと腕に炎を纏わせ殴りかかった。が
ドゴォ!
大きな音と共に龍人族の方が吹き飛ばされてしまった!
「はぁ!?」
「なんなのだ!!」
一同の動きが止まり式神に向き直った。
「はぁぁ!!」
ドゴ!
龍に変身して式神を上から抑え込む。しかし
「グルァァァ!!」
潰されることなく寧ろ押し返してくる式神。
「なんて力だ!先ほどまでの敵と本当に同じか!?」
《ダースレイ!!》
動きが止まったところを見逃さずにレイトが闇魔法を胴体に叩き込んだ!
「ギャオオオ!!ォォォ・・・。」
だが直ぐには魔法は貫通せずに何秒か当て続けることでようやく腹を貫通し動かなくなった。
「式神の強さが急に跳ね上がった・・・。」
「あの蔦と何か関係があるのでしょうか。」
「分かりません。ひとまず直ぐに王宮に、」
レイトは王宮の方を向いて言葉を失った。闇魔法を放った痛みでではない。王宮の壁からゆっくりと白い球体が浮かんで出てきたのを見たからだ。
「あれはなんだ?」
周囲の龍人族達は得体のしれない物に不思議がっているがレイトは違う物を見ていた。
「白い夢だ・・・。」
「夢?」
「はい。ロンナ国に現れたやつです。正直原理は分かりませんし、式神が強くなった事との関係性も分かりません。」
「そうですか・・・。」
「ですが。」
落ち込む龍人族にレイトは言葉をつなげた。
「その時あの夢に入って内側から壊すことが出来ました。」
「おお!では今回も?」
「多分。中に夢の主がいるはずです。そいつを倒せればあの夢は消えるはず。」
「そうと分かれば!」
ずっとレイトのそばにいた龍人族が龍の姿に変身して、レイトが背中に乗れるように翼を下ろした。
「どうぞ!私がレイト様をあの球体までお連れします!」
「でも、俺がいたほうが式神を倒せるんじゃ・・・。」
「式神は我らにお任せを!」
レイトが後ろを向くと龍人族達が並んで彼を見ている。
「レイト様があの球体を破壊するまでなら我々で式神に対処できます!レイト様はあれの破壊に全力を尽くしてください!」
「・・・分かりました。」
彼らの力強い目に覚悟を決めたレイトは龍の背中に乗った。
「あの白い夢までお願いします!」
「はっ!」
飛び上がる龍に乗るのが初めてのレイトは不思議な感覚に驚きつつも、龍がゆっくりと飛んでくれているので何とか乗れている。
「乗り心地については申し訳ございません。何分人間を乗せて飛ぶのは初めてで。」
「いえ、大丈夫、です。」
余裕が無いレイトが上空を見ると先にたどり着いた龍達が球体に向かって攻撃を仕掛けている。が、魔法も牙も爪も全く歯が立たずにいた。
「この球体には物理攻撃が通じないようですね。」
「はい。ロンナ国の鬼の攻撃も効かなかったみたいなので。」
「なんと・・・。」
オネイロスに十分近づき、レイトが立ち上がり触れて目を閉じる。ロンナ国での経験を思い出し中に入ろうとするが、
「・・・なんか違う?」
「違う?」
「はい。前に入った夢とは違う。鍵を閉められているような感覚が・・・。」
ふとレイトの腰が震えた。目をやると腰に刺した竹刀が震えている。
「・・・まさか。」
半信半疑で竹刀を手に取り構え、オネイロスに当てる。その瞬間彼の視界は真っ白になった。
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目を開けたレイトの目の前に広がっていたのは前回のような白い空間ではなく
「え?」
毒々しい沼が広がっていた。




