一日目「ラブコメ回と磔刑」9②
暗い洞窟内で二人は密着していた。
貼りつくを通り越してアバターが貫通しそうな距離でエイトの真後ろにアンが続いて歩きながら、二人は話している。
「苦手なら別に諦めてもいいと思うけどなぁ……」
怯えたアンを気遣いながらエイトがそう言うと、アンは静かに首を振る。
「どうしてアンはそんなに頑張るの?」
「…………楽しいから」
「楽しい?」
言われて少し後ろを気にするが、エイトには俯いているらしいアンは全く『楽し』そうには見えない。
「……挑戦ってね。楽しいの」
「挑戦?」
「うん……。あたしがイベントキャストを始めたのもね、挑戦だったんだよ。今はお客さんがたっくさん来てくれて、少しは人気になったかなって感じだけど」
「いやいや、少しどころか大人気でしょ。SNSでイベントの事検索したらアンの話題ばっかりだったよ」
「あは、ありがと。……でもあたしだって最初は全然だったんだ」
そうアンは当時を懐かしみながら語りだした。
「せっかく応募して来てくれたお客さんとうまく話せなくて困らせちゃった事もあるし、練習いっぱいしたのにちゃんと踊れなくてイベントが盛り上がらなかった時もあるし。もう、ほんっっっとに後悔の連続って感じだったんだから」
「……そういうのって不安じゃない?」
「うまくできないかも、って? そりゃ思うよ、毎日。なんなら今でも思うし。もしお客さんが全然入らなかったら、もしトークが滑っちゃったら、もし――って。考えたら切りがなくて嫌になっちゃう」
「なんていうか、意外……」
エイトの素直な感想に苦笑しながらもアンは「でも」と続ける。
「新しい事を始めるのってね。ドキドキして、ワクワクして。すっっっっっっごく楽しいんだ。確かに不安な事もあるし、怖い事もたまにはあるけど。でも最後には挑戦してよかったって思えるから。だからあたしは挑戦するのを諦めたくないんだ」
背中越しに怯えているはずのアンがなぜか、エイトにはとても頼もしく思えた。
「アンは強いね……」
「そうかな? でも、だからかな。エイト君の挑戦も応援したいんだよね」
「僕の挑戦? ……あー、≪100日チャレンジ≫か。この歳で始めるのなんて無謀って感じだけど。はは……」
「ふふっ。いーじゃんいーじゃん。無謀上等! 挑戦するのに年齢とか関係ないし!」
「だからアンは苦手なゲームも挑戦するんだ」
「うん」
「今楽しい?」
「少し……いややっぱりまだ怖いかも……ちょっぴり……」
エイトには普段の調子が戻ってきたように見えたが、それでもやっぱり怖い物は怖いらしい。エイトが水を差したせいで興奮していたアンが冷静になってしまい、やる気が出ていた彼女が再び背中の後ろに小さく引っ込んでしまう。
「ねえ、エイト君も何か話して。そしたら少しは気が紛れると思うから」
「何かって言われても……うーん……。アンと違って僕はそんなにトークデッキないよー」
「お願い。何でもいいから」
背中に頭をぶつけられた気がしたエイトは困りながらも改めて最近あった事を思い返し、さっきまでしていた『お悩み相談懺悔室』と絡めて。ふと書いていた小説の事が頭によぎったのだった。
昨日はやる気がなかったのでワイルズしてました!
ごめんなさい!
ガンランスたのしいです!
それではまた次の話でお会いしましょう!
あでゅ~~~~!!!!!!




