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一日目「ラブコメ回と磔刑」9①

「≪シスター≫アン・ズーの~~……」

『『『お悩み相談懺悔室~~~!!!』』』


 唐突に謎の番組名を唱え始めるアン。

 どこからともなく子供達による元気なタイトルコールが聞こえてきそうだが、実際には「ぉ、お悩み相談懺悔室ぅ…………はは……」とアン一人の力のない声だけがダンジョン内に響いた。

 もしこれが本当に番組なら初回からお蔵入りになりかねない残念さ。もっともアンのキャスト(ぢから)のおかげでエイトの脳裏にはしっかりタイトルロゴまで浮かび上がっていたが。


「んん……? 相談室? 懺悔室?」


 ダンジョン攻略中、突然アンが始めた番組にエイトが、自分は相談と懺悔のどっちを話せばいいんだ、と思っていた所、


「…………ねえ、エイト君……」

「ん? どうしたの?」

「このダンジョンさ……。思ってた以上に怖すぎるんだけど……ど、どうしたらいいと思う……?」


 そもそも≪シスター≫アン・ズーは、話を聞く側ではなく相談する側だったらしい。


「シスターなのに……?」

「ぇ、エイト君……?」

「あ、いや、こっちの話。ええっと、そうだなー……うーん……」


 二重で想定外な展開に混乱させられて暫く回答に困ってしまうエイト。

 確かに『怖すぎる』と自白している通り、アンの声は時々上擦っていて震えていた。最初の戦いでも骸骨戦士に追い詰められて怯えていたが、段々とおどろおどろしくなっていくダンジョン内の雰囲気に耐えられないのだろう。


「でもこんなもんじゃない? 雰囲気とかゲーム性とか、全体的にソウルライクっぽいし。ソウルライクといえば洞窟ダンジョン、洞窟といえばアンデットってくらいド定番だし、しょうがないとじゃあ……?」

「ぅ……そ、それは、そうだけど……」

「というかアン、最初はすごいやる気で自信満々だったのに。どうしたのさ」

「じ、実は…………うわあっ!」


 突如、通路の角を曲がったタイミングで目の前から現れたコウモリにアンは驚き跳ねる。

 縮こまって震えた体を抱きしめながら呼吸を整えて、


「じ、実は……あたし、苦手なの…………ホラゲが……」

「あー。ホラーの方がね」

「なんていうか……心臓がこう……ムギュ、とか、メキメキ……ってなって」

「メキメキはもう死んでない?」

「…………え? このままあたし、死んじゃうの…………?」

「いやいや、死なない死なないって……」

「で、でも、もしびっくりして心臓が口から出ちゃったら」

「ははっ。そんなカエルじゃないんだから」


 どうやらアンは冗談ではなく、本気のつもりらしい。

 恐怖心で冷静さも失ってしまった真っ青な彼女に、エイトは悪いと思いながらも思わず少し笑ってしまう。


「でもそんなに怖いのが苦手なのにアンはどうして誘ってくれたの?」

「だ、だって……! お客さんに教えてもらった時、ソウルライクだよって言われて……あたし、そういうゲーム好きだから……。でもこんなに怖いなんて聞いてないし! っていうかVRで突然すぐ近くに骸骨が出てきたら普通怖いでしょ!」


 そう言われて、既に身をもって体験していたエイトは何度も頷きつつ肯定。しみじみとその時の事を思い出し、


「確かに毛ガニタラバガニ。ヘッドセット被って没入感マシマシだと可愛いも驚きも威力倍増、迫力満点だもんねえ……」

「でしょ!?」

「普通のゲームと違ってゲーム体験が全然違うよねー」

 

 実際エイトはアンに何度か驚かされているので、彼女のいう事は良く分かる。

 つまりアンはこの手のゲーム(ソウルライク)自体には慣れていたが、あのジャンル独特の雰囲気を生で味わう恐ろしさに気付けなかったのだ。結果、ジャンルはソウルライクでも彼女にとっては別ゲー(ホラーゲーム)になってしまったという事だろう。


「あたしも三人称視点(TPS)だったらもっと活躍できたのに……」

「VRの時点で一人称視点の(FPS)ゲーム確定だからねー」


 言いつつエイトがちらりと振り返るが、アンの両肩はまだ震えっぱなしだった。

 どこからともなく反響して聞こえる小さな物音にびくついていて、まだダンジョンに終わりが見えない事から彼女が少し心配になる。


「リタイア、する? ワールドに入り直せばここから脱出できるだろうし」


 エイトは言いながらメニューを開いた。

 これがソウルライクゲームであれば安全地帯にテレポートするにはアイテムが必要なのだが、《VRCh@》ではワールドに入り直すのは自由。ただ≪リジョイン≫するだけだ。それでエイト達はダンジョンから脱出して、また田舎の原風景に戻る事ができる。

 

「…………しない」

「え? でも……」

「だ、だって…………悔しいし」

「うーん。まだダンジョンは続きそうな雰囲気だけど」


 そう言われても、とエイトが困っているとアンはこう提案した。


「……じゃあ、エイト君。お願い。あたしを守って」


 涙目で上目遣いに言われたエイトは、生唾を飲んで「わ、分かった」と武器の柄を強く握った。

『チョロい』のではない。そんな風に頼まれて嬉しくない男の子はいないのだ。

お待たせしました。二日ぶりの投稿です。いかがだったでしょうか?

昨晩中に投稿したかったのですが、寝落ちして投稿できてませんでした。

これにて連続投稿は途絶えてしまったので、ついでに私の100日チャレンジも諦める事にします。

詳細は活動報告をご確認ください。

それではモンハンワイルズしてきます!

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