一日目「ラブコメ回と磔刑」8③
100日毎日小説チャレンジ、13日目です。
チョロチョロチョロチョロ・・・・・・
十分後。
「助けてくれてありがと……」
「本当に大丈夫?」
「うん。でももうちょっとだけ休ませてー……」
アンはどことなく恥ずかしそうにそう言って両手で見えないマグカップを持ち上げた。現実でつくってきたらしいホットミルクをコクコクと美味しそうに飲んでいる。
「もしかして体を動かすの苦手だった?」
「む……。たしかに元々運動は得意な方じゃないし、ゲーム系のワールドも滅多に行かないけどさー……。でもVRMMO系のアニメだって履修してるし。ゲームだったら何とかなるかなーって」
「うーん」
漫画やアニメの影響で自分でも簡単にできると思ってしまう。
オタクあるあるだ。
そうエイトが思っていると「っていうか」とアンがマサムネの残骸を敵の亡骸に投げ捨てながらゲームに怒る。
「こんなヘボ武器じゃまともに戦えないよー!!! ちっとも攻撃が当たらないし、すぐ壊れるし……!」
エイトにはそれ以前の問題に見えたのだが、
「ねー!? エイト君もそう思うよね!?!? ゲームが悪いよね!?!?!?」
そう睨まれてしまうと首を横に振る事が出来ず。
「エ、エイトもそう思います」
「うんうん。……よし、こうなったらエイト君とあたしでこのふざけたゲームを終わらせようよ!」
「う。うす」
「という訳でエイト君は前衛! あたしは後衛! さあ行くよーー!!!」
「お、おお。了解! …………ん?」
アンの作戦にどこか違和感を覚えつつ松明を拾うエイトへ、アンは制止する。
「あっ。松明はあたしが持ってあげるからね」
「あ、うん」
なぜか一人一本あるはずの松明をアンが独り占めして、それからこう言った。
「頑張って! 頼りにしてるからね!」
その言葉でエイトはアンの思惑をようやく察した。
どうやら彼女は戦うのをすっぱり諦めて戦闘を全部エイトに任せる気でいるようだ、と。
かくして二人の競争はどこへ行ったのか。エイトの後ろ一メートルから動かなくなった荷物持ちのアンを護衛するダンジョン攻略が始まったのだった。
がんばれ~えいとくん~( ˘ω˘ )




