一日目「ラブコメ回と磔刑」5③
100日毎日小説チャレンジ、6日目です。
( ˘ω˘ )スヤァ……
「こほん、改めまして――エイト君、やっぴー!」
「や、やっぴー」
エイトにも少しずつ分かってきたのだが『やっぴー』はアン・ズーなりの挨拶らしい。
ぎこちなく同じフレーズで返すと、『やっぴー』が徐々に浸透している事にアン・ズーは嬉しそうに頷きながら、
「お昼ぶりだね。どう? 調子は?」
「あ、はい、元気です」
「お。いいね~~。元気が一番。元気があれば何でもできる……――って、ちがーう!!!」
突然の大声に驚いてエイトの肩が跳ねる。
「あたしが知りたいのは小説の方! 書いてるんでしょ!?」
「ああ、そっち……。えっと、なんといいますか……一応進めてはいるんですけど……僕の努力次第といいますか……」
「ふぅん。努力次第…………むーん」
「実は殆ど書けてなくて――」とは言えなくて、エイトは心配を掛けさせないように苦戦しながら言葉を選ぶ。一方でアン・ズーは彼の分かりやす過ぎる反応から色々と察して、小難しそうな顔でこう続けた。
「まー。無理せず程々に頑張んなねー……」
「え、あー……。いや、でも……うーん…………。は、はい……」
自信なさげな了承から、本当に分かってるのかな、と内心苦笑するアン・ズー。
「そ、それよりも。時間は、大丈夫なんですか?」
「時間?」
「今はちょうど、ゴールデンタイムですし……土曜日だし、イベントがあるんじゃ……」
実は《VRCh@》では今ぐらいの時間帯によくイベントが開催されているのだ。普段イベント等には参加しないエイトだったが、それでも友人の話やSNS情報のおかげでその程度の知識はあった。
気にするエイトだったがアン・ズーはあっけらかんと笑って教える。
「いーのいーの! あたし、元々今日は休日なんだから」
「あっ、そうだったんですね」
「そーなのよ。しかも久々。だから思いっきり遊ばないと損じゃん? まー……せっかくの久々のオフなのに友達はやれ仕事が、やれ配信が。新作ゲームが、先約がって誰も時間合わなくて一人ぼっちなんだけどね~~……」
「イベントキャストって、大変なんですね……」
「ほんとそーなのよー……って言っても、いっつも参加するするって手挙げてるあたしが悪いんだけど。でもさ。忙しくても、大変でも、あたしはあの空間が好きだから」
そうアン・ズーは真っすぐな瞳で言う。穏やかな口調なのに火傷しそうな程熱が込められた彼女の話を聞いていると、エイトの中にも沸々とイベントに参加してみたい、そこで彼女と会ってみたいという気持ちが沸き上がってきそうだった。もっとも彼女とイベントの人気を考えると相当な豪運がなければ難しいだろうが。
それからエイトは、この場に慣れてきたからか、もしくはアン・ズーの持つ特有の親近感からか、女性と話すのが苦手な自分の割には思ったよりもちゃんとコミュニケーションが取れている事に一人安堵するのだった。
いつもたくさん読んでいただき、ありがとうございます。
将棋で遊んで中々書き始めないでいたらこんな時間。。。
でも寝落ちが短くてちょっと安心です。
ではまた明日。おやすみなさい。




