一日目「ラブコメ回と磔刑」5①
100日毎日小説チャレンジ、4日目です。
すっかり継続して書けているので、次連続投稿が途切れた時はチャレンジなしで普通に書いていってもいいなと思い始めています。
青だ。
心が洗われるような美しい青空が、見上げるエイトの視界の端から端まで広がっている。
中央には、近づけば掴めそうな程はっきりとした輪郭の入道雲が浮かんでいて、その純白がより広大な青を際立たせていた。
「うお……すっご……」
一方地上では田んぼがどこまでも続いている。
試しにエイトは水路に挟まれた農道を道なりに進む。
歩けども歩けども変わらない。退屈で、でものどかで。初めて来た場所なのに、どこか見た事がある風景。
「ああ、そうか。これが――」
思い当たる言葉が自然と脳裏に浮かぶ。
田舎の原風景、と。
このワールドは正に『田舎の原風景』を再現していたのだ。
成程、そう思えば悪くない、としみじみ思いつつ歩き続けて、
「……ん?」
やがて道は行き止まり。
少し殺風景な、自分のアバターよりも高いコンクリートの壁に突き当たる。
ただ代わりに色褪せて碌に読めなくなっている看板を見つけ、その矢印に従って道沿いに進むと今度は壁の中に階段が現れた。
登って、認識を改めた。
「――海だ」
ざざざ――――という音と共に透き通った波打ち際が寄せては返す白い砂浜。
堤防の上で、空よりも濃い青と海鳥の鳴き声が、バーチャル世界なのにエイトの全身に潮風を感じさせている。
「綺麗だ……」
本当なら一人では味わえない光景だろう。
もし今が夏で、ここが現実なら。
これ程の海を観光客や地元住民が放っておくはずがない。目を閉じるだけでエイトの目には砂浜にパラソルが並んで、そこら中に走り回る子供達の姿が浮かびそうだった。
それを今は彼だけが独占している。
「誰もいない静かな、田舎のプライベートビーチ。それがこのワールドの本当のテーマだったんだな……」
そうエイトがしばらく感慨に耽っていると、ふと海以外に動いているものを見つけた。
堤防から砂浜に降りて確かめれば、渚に棒で落書きをする白いワンピースの少女。
ユーザー名は《Ann・Zu》と表示されていた。
いつもたくさん読んでいただき、ありがとうございます。
今日は私事で気落ちしていましたが、何とか余裕をもって一話作れました。
皆さんのおかげです……と一度言ってみたいですが、勿論プロットのおかげです。
また、再び彼女を登場させることができそうで本当にうれしいです。早く続きを書きたい。
ではまた明日。おやすみなさい。




