一日目「ラブコメ回と磔刑」4②
100日毎日小説チャレンジ、2日目です。
ちょっと調子に乗って書いてたらこんなお時間。ねむみ。
「お、いたいた。しっかりやってんなー」
「こんばんわーですわー」
「こんな見つかりにくい所で……探すのに苦労したでゲスよ」
「それだけエイト殿も本気という事であろう」
しばらくして。ひっそりと設けた作業スペースで「あーでもない」「こーでもない」とエイトが独り言を呟きながら頭を掻きむしっている所に、彼のよく知る四人の来客が現れる。
「よーエイト。こーんな所でコソコソやりやがって」
「……ジョー達か。何の用だ?」
エイトは、キーワードが並べられただけの白紙に近い原稿と睨めっこを続けながら、いつものロリ声だけで悪友だと判断して目を向けずに答えた。
「くくくっ。そんなん言わなくても分かってんだろー?」
「くっくっく~。言わずもがなでげす」
「……カキランさんはちゃんと止めておいた方がいいっていいましたからね~?」
「ムゥ……締め切り前の作家にアレを聞きに行くとは……相変わらずの鬼畜よ……」
「そりゃあ定番イベントだからなー外せねーよ」
「アレ……?」
何の事だとエイトがようやく目を向けると、ジョーがにやつきながら尋ねてくる。
「おお。そりゃ聞くっつったらコレよ。進捗、どうですかー?」
「…………、……………………」
エイトは十秒程度無言で彼を睨んで、それから何も言わずに作業へと戻った。
「何だよー。無視すんなよー。寂しくなるだろーが」
「まあ当然の反応ですわね~」
「もしもーーし、聞こえてんだろー? あ゛あ゛~~~~~~~~!?」
「ジョー氏、ジョー氏。聞くまでもないでゲス。どうみても駄目でゲスよ」
「ムゥ……相当苦戦されてるようだな、エイト殿……」
「ほら見るでゲス」
後ろに回り込んでエイトの作業画面を覗き見る彼らは、
「全然小説書いてないでゲスよ」
「あー? うわマジで真っ白じゃねーか。おいおいこんなんで間に合うのかよ。えーっと今何時だ?」
「フム。六時三十分を過ぎた所だな」
「ということは残り五時間半ぐらいでゲス」
「こりゃ《100日チャレンジ》は初日から失敗だな(笑)」
「でゲス(笑)」
「この人達は相変わらずですわね~……」
段々と眉間にしわが寄っていくエイト本人の意思を他所に、周りで好き勝手に騒ぎ出すジョーとゲスに、呆れるカキラン。
ノブはマナーの悪い仲間を止めようと和服を翻しながら小声を荒げるのだが、
「こら二人とも……! エイト殿も頑張っておられるのだ、その辺にして――」
「よーし祝いだ祝い! 今夜はこいつを肴に飲むぞ!」
「名案でゲス!」
「今日のおビールちゃんは何かな~~~~♪」
「ツマミも忘れちゃダメでゲスよ~?」
「おっと忘れてた。砂肝ちゃんいらっしゃ~~い」
「豪勢で羨ましいでゲスな。おではイカそうめんでゲス」
「全く、本当にお前達は……」
「カス共ですわ……」
話を聞かずに自由に酒宴を始めてしまう二人。
あまりの失態にノブは片手で顔を覆い、温厚なカキランも悪態を付く始末。
そして五月蠅すぎる彼らに、どうしても集中したいエイトにいい加減我慢の限界がくる。作業の手はとっくに止まっていて、代わりに怒りで震えていた。
「あっ、エイトさん……」
「いかん。高級耳栓用意だ」
「ですわ」
エイトは両手を振り下ろし、現実で本気の台パン。更には立ち上がって二人にこう叫んだ。
「うるさ~~~~~~~~~~~~~~~い!!!!!!!!!!!!!!!」
一瞬森が静まり返り、これで彼らも大人しくなるかと思われた。
「なぁ~にぃ~~!? うるさいのはお前もじゃーーーーーーーーい!!!!」
「そーでゲス! 騒いで何が悪いでゲス!」
「つーか文句があんならさっさと投稿しろー! 投稿だよ、早く!!」
「そーでゲス! とーうーこう! とーうーこう!」
「二人とも、もうやめておけ。普通にワールドの皆に迷惑だぞ……」
「「とー・うー・こう!! とー・うー・こう!! とー・うー・こう!!」」
まったく収まる気配を見せないカス達は、エイトの小説を読みたい癖に騒ぎ続けて妨害するという意味不明なブーイングを繰り返した。
ノブとカキランだけでなく、エイトも二人の馬鹿さ加減に一周回って冷静になり、思わず溜息が出てしまう。
そして彼なりに導き出した結論を告げたのだ。
「ジョー、ゲス。今日の定例会は中止ね」
エイトの一言にはジョーもゲスも揃って愕然と膝を突く。
「……そ、そんな……土曜日なんだぞ! 絶好の開催日和じゃねーか!」
「あんまりでゲス! ひどいでゲス! おで、昨日だけじゃ飲み足りないでゲス!」
「このまま放っておくとワールドの皆に迷惑かけそうだし。当然かなって」
「いやだ……やりたい……」
「もう諦めろ。自業自得だろ?」
「だってよぉ……!!! エイト……!!! 俺の宴が!!!」
ドン!――と机を叩いたような声がジョーのアバターから聞こえる。
「ハァ……我慢するか、一晩くらい……悔しいが妥当だな……」
「こんなみっともない大人になってまで騒ぎたくないですわね……」
「うー……! うーうー……!」
カキランは二人に哀れみの目を向けて一転、エイトにはノブと共に微笑みかける。
「この粗大ゴミは私達で処理しておきますので、エイトさんは静かなホームワールドに戻って頑張ってくださいですわ~」
「そうだな……大変だろうが後悔のないよう頑張るのだぞ」
「カキランちゃんにノブ、ありがと~~……! 行ってくるね~~!」
まともな二人の眩しい応援は地面を悔し涙で濡らす二人とは対照的で、エイトは二人の善性に感謝しながらその場を後にするのだった。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
ひとまず休みの間に日付後更新に戻せてよかったです。
ゲスはもう「ゲス」って言わせてればいいやって思って書いてるんですけど、「ノブ」は分かりやすいキャラ付けが薄くて苦戦しました。一応モデルはいるんですけど口調違うし。
ではまた明日。




