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第38話 捜索 その2

 外は既に雨が降り出していた。だが、夏月は傘を差すのを煩わしいと感じ、そのまま雨に打たれながら走り続ける。


 目指すのは、昔から何度も遊びに行った冬也の自宅。春葉がいる可能性が最も高い場所だと直感したからだ。


 学園のある丘を駆け降り、国道沿いの道を抜け、住宅街へと足を向ける。


 雨が服に染み込み、肌に冷たさが伝わる。それでも夏月は足を止めることなく前を見据えた。


 春葉が冬也と添い遂げる覚悟を決めたのだとしたら、まず彼と合流するはずだ。そして、意気消沈している冬也が向かう場所といえば、自宅以外には考えられない。


 一軒家が立ち並ぶ住宅団地に入り込み、冬也の家へとたどり着く。だが、家の中は暗く、明かりが点いていない。


 ガスメーターと電気メーターを確認するが、ほとんど動いておらず、無人である可能性が高い。


 夏月は立ち尽くし、雨粒が髪や顔を冷たく打つ中、拳を握りしめた。迷っている時間はない。考えがまとまるより先に、庭に回り込むと拳大の石を拾い上げ、ガラス戸に叩きつけた。


 ガシャーン、と乾いた音が響く。


 自分の行動が無茶であることはわかっている。犯罪だと承知の上だ。だが、冬也と春葉を取り戻すためならば、それくらいのリスクは厭わない。


 割れたガラス戸から手を差し込み、鍵を外して中へと入り込む。薄暗い室内に足を踏み入れ、夏月は記憶を頼りに家の中を隅々まで探し回った。


 何度も遊びに来ていた家だ。間取りは覚えている。しかし、冬也も春葉もどこにもいない。


 代わりに、濡れて床に置かれた制服と下着が目に入る。春葉のものに違いない。二人は一緒にここを出たのだろう。それは間違いなかった。


 では、どこへ行ったのか?


 商店街か、繁華街か。それとも港南中央駅か。


 夏月は思考を巡らせながら冬也の家を後にする。


 雨脚はますます強くなり、視界を遮るほどだった。それでも、夏月は立ち止まらない。


 二人を見つけるまでは。

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