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第27話 交戦の日々 その3

 さらに翌日、男女合同のプール授業があった。


 俺たちは室内プールに整列し、順番に点呼を受けていた。ちなみに水着は自由で、ほとんどが学園指定のスクール水着だったが、男子の中には自前の短パンを持参している者もいた。


 そんな中、プールサイドに遅れて夏月が現れた。


「遅れました。すみません」

「いや、今始まったばかりだから……」


 言いかけた教師の言葉が、夏月を見た瞬間に止まった。そこに立っていたのは、真っ白な競泳水着をまとった夏月だった。


 クラス全員が息を呑み、視線は一斉に彼女へと向けられる。俺も思わず「え?」という声が漏れる。モデルのように立つ夏月の姿――それは、普段の制服姿からは想像もつかないほど艶やかだった。


 競泳水着に押しつけられながらも形を際立たせる見事な美乳と、スラリと伸びた脚。その生々しいまでの曲線美に目が釘付けになる。クールな黒髪美少女がこんな姿を見せるなんて――脳内は完全にパニックだった。


 そんな俺の視線に気づいたのか、夏月は目を合わせてきた。そして、満足そうに口端を釣り上げ、にやりと笑う。


 次の瞬間、夏月は春葉の方へ向き直り、わざとらしい口調で言い放った。


「あらあら、山名春葉さん。そんな野暮ったい水着で意中の殿方を満足させることなんてできませんわよ。殿方を喜ばせられない女に、妻になる価値はないんじゃなくて?」


 普段とは異なる挑発的な態度に、春葉が即座に反応する。


「昨日、『令和の時代に』とか言ってたじゃない!」

「そんな過去のこと、覚えていませんよ。うふふふふ」

「過激な水着で手っ取り早く気を引こうなんて、嫌らしい女だって思うけど!」


 春葉の声色は怒りに震えていた。もはや、優等生の仮面を保つ余裕などなさそうだった。


 一方、夏月は余裕たっぷりだ。口元に手を添え、優雅な仕草を見せながら続ける。


「時代を超えても、殿方は異性の美しさに惹かれるものよ。好きなお相手に喜んでもらいたいという覚悟が足りないんじゃなくて? おほほほ」

「痴女っ!」

「ええ、そうね。痴女かもしれないわ。でも、だからこそ『殿方』の視線は私に釘付け。それに……この水泳授業を思い出して、放課後の二人きりの時間がもっと熱くなるかもね。どう? 羨ましい?」


 夏月の挑発に、春葉は悔しそうに顔を赤らめて怒りをにじませた。


「キーッ!!」


 俺が二人の間で言葉を失っていると、夏月は俺に向かって明確に言葉を投げかけてきた。


「さあ、殿方さん。カッコ約一名、個人名は言わないけど。私を見て喜んで、そして一緒にプールを楽しみましょうね」


 そう言い残し、夏月は軽やかにプールへと飛び込み、優雅に泳ぎ始めた。


 その姿にクラス中が言葉を失い、場にはしばし静寂が訪れた。

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