表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
メタバースマルチバース 〜ユニバースディ〜  作者: 硝酸塩硫化水素
神々の戯れ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

96/455

ep94 お気持ち表明(The letter)

「さぁって、どこに行こうかな〜ッ!そうだッ!前にヘスティさんから聞いたコトがある、「海が無い世界」に行ってみよっと!!」


 斯くしてディアはランデスに乗り、星間移動(ワールドトラベル)を行い目的地へと向かっていった――


――目的地はメルボランチア。箱庭(ジオラマ)の中でも珍しい「海が無い惑星(世界)」であり、そこには様々な多様性溢れる人間種族が住まう。

 海が無い事から海獣(うみけもの)はおらず、陸獣(おかけもの)空獣(そらけもの)は長い年月を経て独自の進化を遂げた結果、()()()()()()()()。逆にディアが今までに出会った、()()()人間種族達(ヒト種や森人種(エルフ)小人種(ハーフリング)など)も存在しており、獣から進化した人間種族と通常の人間種族との間で「ハーフ」が存在していたりもする、本当に箱庭(ジオラマ)の中でも稀有な惑星(世界)と言えるだろう――


 だが、その前に……。


_____



「わたしのワガママで本当にごめんなさい。明日から「ゆうきう?」っていうのを使わせて下さいッ!」


「「「ふぁッ?!」」」


 あれだけ盛大に店を辞める()()()()オーラを出しておきながら、それが全て「おかみ」が発端の()()()()()()事に全員が気付かされたセリフだった。

 平たく言えば、三人が三人共にディアに騙されたと言っても過言ではない。……が、アマテラだけは騙されたと言ってもそこまでの感情移入はしていない。ただ、仕事の効率化を考えていただけだ。

 まぁ、勘違いさせるようなコトを言ったディアが悪いのか、はたまた勝手に勘違いした「おかみ」が悪いのか……。

 それはまるで、誘って来たから誘いに乗ったら、実は誘われてたワケじゃなく、思わせぶりな態度を「気がある」と勘違いして引っ掛かり、大金を貢いだ……が、本当に誘われてたワケじゃない事に気付き、なんの為に大金を貢いだか分からなくなった。()()()()、ある種の特殊な詐欺の様相を側面として持っているかもしれない。ちなみにそんな詐欺に引っ掛かると、詐欺られた方は恥ずかしさの余り、何も言えず公表出来なくなってしまうらしい……。

 よって、特殊な詐欺師にディアは向いているのかもしれないが、それはそれ。これはこれ。


「え……っ?有……給?」


「やっぱりダメですか?わたしが「ゆうきう?」を使うのはまだ早いですか?」


「ディア……アンタ、この「魔の酒場亭」を辞める気だったんじゃ……?」


「ふぇ?エレさん?なんでですかぁ?わたし、ここ(魔の酒場亭)を辞める気なんてありませよ?」


 斯くして、ディアが店を辞める気は無いと言うのが、正式に「お気持ち表明」されたのである。

 まぁ、「おかみ」はエレとディアの会話を聞きながら“プルプル”していたのだが、それが「喜び」から来ているのか、はたまた「怒り」からなのか、それともその前に「恥ずかしさ」がくっ付いているからこそ何も言えなくなっているのかは、「言わずが花」というヤツだろう。

 だからこその、「二葉亭四迷とは言えない十返しの香の気苦労」というのかもしれない……が、それはそれ。これはこれ。げふん。


 結果としてディアは20日間の有給を賜った。本来ならば10日間だが、「魔の酒場亭」一番の稼ぎ頭であるディアに対する()()()()()()()()()()()なのだろう。


「それで、アンタは有給使って何をするんだい?」


「ランデスくんと色々な場所に行ってみたいなって思ったんです。だけど、まだどこに行くかは決めてません」


「そぉかいそぉかい。それなら色々と見て回るといい。他の惑星(世界)に行くなら転移門(ゲート)は自由に使っていいさね」


 転移門(ゲート)をディアは自力で使う事が出来ない――

 だからこそ、「魔の酒場亭」を()()()()()()()()()()()()()というディアの本心を今はまだ「おかみ」は気付いていないが、それを知った時、「おかみ」がなんと言うかは見ものと言えば見ものだろう。


 ちなみに……ディアが三人を招集した事の内、アマテラだけは特に意味が無かったと思われる。これ(「有給を使いたい」)だけの内容ならば、アマテラをわざわざ呼び付ける必要はなかっただろう。だからこそアマテラはネタバレしてから「そんな事の為にわざわざ妾まで?」と勘繰っていたのだが、最後の最後に地獄へと突き落とされる事になったのである。


「アマテラさん、これ……お手紙です」


「妾に?一体誰かr……」

――ぴしッ


 ディアから手紙を受け取ったアマテラは手紙に書かれた文字を見た瞬間、その場に凍り付いていた。


『前略

 アマテラ・スカイウォーカーさま


 貴殿に対し以前処置を施した際、為替レートを計算に入れず、当方に不利益があった事が発覚致しましたでち。

 よって、追加料金分のご負担をお願い致しますでち。


 こちらの不手際もありましたので、期限は特に設けませんが、なるべく早急にご都合付けて頂けると幸いでち。


草々

 不肖、ヘスティ・アーベルンゲンより』


 こうして追加料金として金貨327枚が加算される事になったのである。だが、計算が少し合わない気がするが、それはそれ。これはこれであるとしよう――

これにてこの章は終わりになります。ここまでお読み頂き、ありがとうございました。

次回からは新章突入ですが、初っ端から数話の間は勝手に過去作コラボとして、繰り広げて参ります。


それでは、年末に差し迫り、寒い日々が続きますが、読者の皆々様におかれましては、ご自愛頂き体調を崩されませんよう、お祈り申し上げます。

今後とも宜しくお願い致します。


硝酸塩硫化水素

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ