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メタバースマルチバース 〜ユニバースディ〜  作者: 硝酸塩硫化水素
神々の戯れ

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ep87 疑惑(Fairy tale)

「げッ……」


 その場にいる()()()同じ音を口から漏らしていた――


_____



「取り敢えず、アマテラが権能で見たモノは他言無用さね。絶対に忘れんじゃないよ!」


 「おかみ」のこの一言で二人は夜営業の仕込みに戻る事になった。更に、リソグラフィカ討伐が決まった事で明日出来ない()()()()()()の仕込みまで追加された二人は、渋々とブツブツと声を大にしてこそ言わず、()()()()()厨房へ消えた。


「まったくもって厄介な……。だが、アマテラが言ったコト、それが本当ならアルカディアの強さにも納得がいく。しっかしまぁ、ディアの子共に続いてアルカディアも()()()とはねぇ……。ディアの子共は死んじまったらしいが……。ここ百年足らずで二人目の転生者。「異界の神」とやらがどこまで本気なのかは知らないが……。それに超人種(パラミシア)なんて大層な依り代まで……アマテラを信じないワケじゃあないが「異界の神」が絡んでいるなら、ディアと同じでヒト種から強制的に変質させた可能性もある……か」


 何やら「おかみ」は情報過多で混同しがちな現況を、処理落ちしないように整理しているように思える。だからこそ二人がその間に絡んで来ないように仕事量を増やしたと言えるだろう。


 ――アルカディアと同じ転生者と呼べる存在であるディアの子共(ユーベンブロイ)はヒト種として産まれた。母親であるディア(アメリア)種馬(エドワード)がヒト種なので、ヒト種から種族のみ突然変異(ミューテーション)する事はあり得ない。

 「転生者」は扱い的には高位高次元生命体()と同じようなモノとも言える。……が、高位高次元生命体()のように依り代のチェンジは()かない。それはアルカディアも同じ事――


 ――次に「アルカディアがヒト種の肉体を変質させた、超人種(パラミシア)の依り代を使っている転生者」ならば、それは「ヒト種の肉体を変質させた」という()()()()()()()()()()()()()という事であり、後者の部分に同一の項目は一切無い。

 そもそもディアは転生者ではない。「()()()時間旅行者(タイムリーパー)?」だ。更に「異界の神」の力によって肉体はヒト種から「ディアブロ」という、他に類を見ない種族になっている。これは超人種(パラミシア)という認知されている種族のアルカディアとは大きな特異点だ。

 だが逆を返せば超人種(パラミシア)に変質させたヒト種ではなく、「()()()超人種(パラミシア)?」に「異界の神」が転生者を()()()()()()という可能性も捨てるワケにはいかない。

 よってディアとアルカディアの共通項は、「「異界の神」が絡んでいる可能性がある」という事に尽きる――


 ――最後にアルカディアが何故、()()()であるという事が判明したかと言うと、アマテラがアルカディアの中にある魂を、「()()()()」だったと証言したコトに由来している。

 肉体が希少中の希少(レア中のレア)でほぼ全ての惑星(世界)()()()超人種(パラミシア)だったコトで不審に思い、魂まで確認した結果だとアマテラは話していたが、これは転生者でなければあり得ない話しだ。何故なら人間は星間移動(ワールドトラベル)が出来ない。そんな芸当は高位高次元生命体()か「異界の神」だからこそ許されている。

 拠って「アルカディアが転生者である」という結論に帰結する――


 「頭脳(頭の中)は「おっさん」、身体は「女性(パラミシア)」。その名もアルカディア!!」みたいな違和感バリバリの違和感でしかなく、これを多様性を極めた結果の()()()()()()()()()みたいな言葉で纏められるワケがない。見た目こそ見目麗しい女性だが中身は()()()()。そして身体の性能だけ()見れば、ヒト種の依り代では絶対に勝てない。

 イシュとアマテラからすれば、それは即ち恐怖でしかないだろう……。悪寒が止まないのも納得がいくというモノである。


_____



「なんでアンタがここに来るんだ?」


「この馬車はギルドの所有物。破損も汚損も棄損も許されないからだが?リソグラフィカ討伐の邪魔はせん。リソグラフィカに馬車が襲われないように馬車を護衛するだけだ。――あぁそうだ、アホウ。道中はお前が御者をやれ」


「いや、それなら俺が」


 当日の早朝、夜営業が終わった足で駆け付けたイシュとアマテラの前に待っていたのはアコウパーティだけだった。その場に約束の馬車は無い。

 二人がアコウパーティに合流し数分後、ガタガタガタという音と共に一台の馬車が近付いて来たが、御者台にはアルカディアの姿があった。


 来るハズがないと思っていたギルマス(アルカディア)の姿を見た途端、この場にいる全員から同一の音が漏れたコトは、()()()()()()()()()アルカディアに未遂を含むナニかをされた可能性を示唆しているのだろう。

 が、そんなコトを気にするアルカディアではなく、一方的に御者役をアコウを名指ししたのだが、腰を折ったのは大盾使い(タンク)のギンだった。


「それなら二人で御者台に座ってろ」


「なッ?!」


 二人がけの御者台にアコウが座るなら……と、そのポジションを密かに狙っていたセルンとエリスは、ギンが名乗り出た事で争いにならずホッとしたのも束の間、この場にいる()()()()()の二人を車外へと追いやったアルカディアの言い分に身体を震えさせていたのだった――

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