表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
メタバースマルチバース 〜ユニバースディ〜  作者: 硝酸塩硫化水素
神々の戯れ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

69/534

ep68 森人種(Tombolo phenomenon)

「何者だッ!この先は我らが森。許可無く立ち入る事は許さん!」


「って、言ってますけど、ヘスティさんどうします?」


 長い耳に白い肌。質素な様相でありながら優雅にも見える装束を纏い、手には弓。矢を番えランデスに向け引き絞り、臨戦態勢で返答を待っている者。

 ――即ち森人種(エルフ)である。


「困りましたでち。わたくしが会いたいのは、森人種(エルフ)ではなくて、真祖森人種(オリジンエルフィア)なのでち。森人種(エルフ)に用はないのでちが、眷属にも匹敵する森人種(エルフ)を傷付ければ真祖森人種(オリジンエルフィア)も良い顔はしないのでち……」


「えっと、お差し支えなければ……なんですが、その真祖森人種(オリジンエルフィア)の方とのアポイントはあるんですか?あるなら、それを話せば……」


「ないのでち。わたくしの()()()()交渉の為に会いにいくのでち」


 ランデスを駆るのがディアではなく、エレならこの一言で全てを察しただろう。だが、今ここにいるのはディアである。断言しよう、「()()()()()()()」と。

 ではどうするか?――決まっている。「拳で語るのみ!」……と、これはイシュの考え方だろう。よってディアは採用しない。


 相手は森人種(エルフ)とは言えど人間。ディアが戦えば勝てる見込みはある。だが、何を隠そう依り代こそ真祖種(オリジンバレンティア)であるものの、ヘスティは一切の戦闘が出来ない。

 ちなみに真祖種(オリジンバレンティア)の身体能力は非常に高く性能は折り紙付きだが、ヘスティが使用している以上、()()()()()()というヤツである。


 更に悪い事にランデスのセンサーは、前方にいるのが()()()()()()と告げている。よって、ディアが単身で外に出れば集団で取り囲み、戦えないヘスティが人質にされる恐れすらある。

 それは乗客(ヘスティ)の身の安全を最優先としなければならないティアが取れる戦略ではない――


「直ちに立ち去れ!立ち去らなければ射るッ!」


「あわわ、どうしましょう?」


 一触即発の危機である。「手を出す事は適わず、だがこの先に行きたい」そんな条件を満たせる可能性はゼロだった。だがヘスティも諦めるワケはない。何故ならば、ランデスに()()()()()()()()()()()を見せてないからである。


「こうなったら、わたくしが道を切り拓きますでちッ!ランデスくんさまの御尊顔の御前でお見せ出来ないのが残念でちが……。道を切り拓いたら、全力で走り抜けて下さいでち!いいでちて?」


「あ……はいッ!いつでも行けますッ!」


「――わたくしが望む形へ(タクシ・カイ)万能なる秩序よ宿れ(・エピシミア)――」


 車内でヘスティが自身の権能を使った。ディアは以前、「魔の酒場亭」でヘスティの権能行使を見た事はあるが、それは二人の首輪を外す為だけに行使されたモノであり、エフェクト的なナニカ()が少量発光し「わぁ、キレイだなー」くらいの簡素な感想しか持たなかった。

 が、今回は違う。ランデスの前方、森人種(エルフ)が潜んでいるであろうエリアの木々達が一斉に「ざざざッ」と動き、一本の道が出来たのである。()()()()()()感動に打ち震えるか、神業(カミワザ)的な偉業に畏敬の念を覚える場面であろう――


 木々が突然動き出し、木の枝や茂みに潜んでいるハズの森人種(エルフ)達は泡を喰らっただろうが、ディア達が視認する事はなかった。木を蹴っ飛ばした時に落ちてくる昆虫のように、木から森人種(エルフ)達が落ちてくる事はなかった事から、恐らく不可視化(インビジブル)系の魔術の効果かも知れない。

 「猿も木から落ちる」ように、「森人種(エルフ)も木から落ちる」といったシュールな姿が見れなかった事は残念だが、そもそもそれはそれ。これはこれ。


「ディアさま、今でちッ!!」


――ぎゅおんッ

 ぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃッ

  ぶろろぉぉぉぉぉぉぉんッ――


 ヘスティからのGoサインが出た直後、ディアは言葉(「かしこまりました」)を発するよりも早く爪先に力を込めていた。それは、エフェクト的なナニカよりも感動的な光景ではあったものの、そんな感動に悠長に浸っていられる状況ではないのだから、当然と言えば当然だ。

 いくらK(完全に)K(空気が)Y(読めない女)D(ディア)とは言えども、一分一秒を争う時に空気が読めない行動をする程、愚かではないらしい。


 斯くしてディアの爪先から伝わる小さな圧力は動力機関へと伝達され、動力機関は魔力を媒介に莫大な回転エネルギーをタイヤへと供給する。その速さは決して緩慢などではなく迅速であり、タイムラグなど殆ど生じさせない。

 よって、0-100km/h加速を5.98secで達成し、爆速を持って大森林への侵入を果たしたのである――


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ