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メタバースマルチバース 〜ユニバースディ〜  作者: 硝酸塩硫化水素
おわり

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ep503 うさぎ(Super positive)

 「好奇心は猫を殺す」と言うが、「忙しさは「おかみ」を殺す」のだろう。普段の「おかみ」であれば、店に入って来た途端に()()()()()()()()だろうが、厨房内で忙殺されている時はそんな余裕すら無かったようだ。

 よって、なんの警戒もしていないうちに「魔の酒場亭」への侵入を許した事になる――



「ちょっと、宜しくて?」


「あ、はーい。ご注文ですかぁ?それではどうぞぉ〜」


 奥のテーブル席へと案内された「ヘンな客」が、ディアを呼び、注文をしたのは暫く経ってからだった。


 「魔の酒場亭」は指名制などではない。だからこそ、ディアが固定で注文に来る必要性はない。しかし、この店の売り上げNo1(イシュ)No2(ウルスラグ)を目当てに来ているバカなオトコ達は、スキあらば二人に声を掛ける為、奥のテーブルに二人が来る事はない。そんな余裕は一切無い。

 よって、必然的にディアが注文を聞きに来る事になるのは当然のコトだった。


「ここにエレシュキガルがいるのなら、呼んでもらっても宜しくて?」


「エレシュキガルさんですかぁ?そんな方は従業員にはいらっしゃいませんよぉ。それで、ご注文は何にしますかぁ?」


 接客したのが「おかみ」やエレだったならば、少なからず顔に出る名前だった事は間違いがないだろう。その名前を知っているのは、「魔の酒場亭」の面子(メンツ)を除けば残すところは「異界の神」しかいないからだ。


 ただ、ディアは「魔の酒場亭」の面子(メンツ)ではあるが、“養殖系天然娘”でもある。そして、興味が無い事に対しては余りに記憶力が悪くなるし、他者との関わりを持ちたがらない性質も相俟って、「魔の酒場亭」の中で話題に挙がった事のある名前であっても覚えているハズもなかった。

 ※ディアと関わりのあった“ツクヨ”の名すら忘れていたのだから、会ったことの無い“エレシュキガル”の名前なぞ、覚えている道理がないという事に繋がる


 「接客業がソレで本当にいいのか?」……という諸兄の疑問は非常によく分かるが、「ディアだから」の一言で全てが丸く収まってしまうのもまた、事実の一つだろう。


「逃げたのではなくって?」


「いえいえ、最初からそんな名前の方はいらっしゃいませんよぉ。それで、ご注文は何にしますかぁ?うさぎですかぁ?」


 何故に「うさぎ」なのかは不明である。まぁ、()()()()()なのだろう。だから、それはそれ。これはこれ。

 しかし「うさぎ」のインパクトは少なからず、このヘンな客にはあったようで、「うさッ?!」などと良く分からない事を呟いた挙句に、「エール」と一言だけ言い放ったのだった――



「おかみさぁん、ヘンなお客さんから注文頂きましたぁ〜。エールが一つですぅ」


「あいよぉ!こっちも上がったから二番テーブルに持ってっとくれ!」


 斯くして大忙しな「魔の酒場亭」の夜営業(居酒屋)は、大盛況のまま夜が更けていくのである――



「あのぉ、お客さん。お客さん。起きて下さい!起きて下さいってばぁ!」


「ふえぇ?わらしは酔ってなんかなくってよ?まだまだ飲めるんらから、ありったけをじゃんじゃん持ってこぉぉぉぉぉぐおぉぉぉぉぉぉごおぉぉぉぉぉ」


 今は“蛍の光”が鳴り響いていそうな閉店間際である。

 イシュやウルスラグ目当ての野郎共は、今日も例外なく全員が全員共に盛大にフラレたようだ。

 よって店を後にする者達の中には足取りが重いモノ。hshsした様相で身体をクネらせつつ足取りが異常に軽いモノ。またはスーパーポジティブシンキングで明日以降の作戦を練っているモノなど、様々な変態達が再び明日以降の夢を見ながら店を後にしていったワケだ。

 そんな中で、最後まで残ったのは、例のヘンな客だった。


 そんな例のヘンな客は、最初に注文したエールが大層気に入ったようで、大学生の新歓コンパも真っ青な飲みっぷりだったのである。

 しかし、新歓コンパと違うのは、()()()()()()という事であり、更に周囲にいたエロ客は誰一人として興味を示さなかったというところにある。


 このヘンな客は見た目()()は男ウケしそうなカッコであり、バカな男共が酔って絡んだりする事は容易に想像がつく出来事と言える。

 しかし、イシュやウルスラグに夢中な野郎共は浮気をしない性質らしい。まぁ、他の女性にウザ絡みなんかして、本命達(イシュとウルスラグ)からの心象を悪くすれば足繁く通った意味が失われるというモノ。

 ※実際にはそんな(心象が悪くなる)コトは起こらないだろうし、家庭を持っている男共も少なからずいるのに、()()()()()()と言うのは可怪しい気もするが……


 そればかりか、この店に女性客が来るハズがないとタカを括っている可能性も否めないが、そのお陰もあってこのヘンな客は、次々にジョッキを空け盛大に()()()()になったのである。

 終いには席で夢の世界へと旅立ち、閉店時間を迎えるに至る……が、ディアに起こされても尚、目覚めた直後に高イビキを掻いて再度寝る始末。

 もしもこんな姿を色ボケ男性諸君が見れば、百年の恋も冷めるコト間違い無し……な様相だったと付け加えておこう――

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