ep501 示唆(Cost effectiveness)
なんでだろう?前epは、アニバーサリー的な丁度“500”話であったにも拘わらず、何故あんな変態小噺になってしまったのか……。解せぬ。
げふん。さて、気を取り直して物語の続きと洒落込もう――
「やっと見付けましたよ、タカミヤ」
ユーベントロイヤーがユーベントロイヤーとして運用を続けていくには、大気の魔力を吸収するだけでは足りなかった。その場合、費用対効果でマイナス運用となり、蓄えていた貯蓄を食い潰す事になる。
因って費用対効果を考えるならば換装合体を解き、グランドデストロイヤーと、魔力製素体に別れる必要があった。
しかしそうするとなると、グランドデストロイヤーの運用に問題が生じる事になる――
魔力製素体の身体でユーベンブロイが運転し、セレスティア大陸を走り回れば「おかみ」やアメリアに見付かり、連れ戻される心配はないだろう。
……が、何分と魔力製素体の身体は、ユーベンブロイのサイズで調整してしまっていた事に端を発する問題だった。
そうユーベンブロイはショタサイズの為、免許を持っていないのだ……ではなく、身長的に視界が遮られている事になる。そればかりか、ステアリングに抱き付くようなカッコで運転する姿勢となりアクセルワークもままならない事になるのである。
※自動車を運転する際は免許が必ず必要です。無免許運転はやめましょう。また、運転時の視界は重要です。ちゃんと確保しましょう。更に、自動車の立ち乗りは大変危険です。座って運転する事が推奨されています。危険行為はやめましょう
ちなみにグランドデストロイヤーは自動運転制御機能があるが、これはユーベンブロイがランデスだったからこそ成立していた機能だ。中身を失い抜け殻になったグランドデストロイヤーでは、運転手の操作無しに自動運転制御機能は使えない。
結論として、ユーベンブロイはユーベントロイヤーである事を選択せざるを得なかった。
しかしそうなると、費用対効果を考える必要がある。拠って、効率良く収入を得る為にセレスティア大陸の外に出る選択をしたのである――
「ツクヨミ様、敵の首魁は見付かったのですか?」
「その前に、よくもこんな所にまで来ましたね? ――それで、その身体の調子はどうです?」
ツクヨミがユーベントロイヤーを発見した場所、それはセレスティア大陸から海を挟んだ東方の大陸である。
この大陸にも「人間」達の町があり、国がある。だがユーベントロイヤーはその町に寄り付かず収入を得る為に「獣」狩りをして日々を過ごしていた。
※大陸間移動は全て飛行魔術によって行った為、その道中で「空獣」の襲撃を受けに受け、受けまくったがそれらも全て返り討ちにした上で収入としている
「ここに至るまでの道中と、この地に来てから散々魔力を集めましたので、魔法もどきを数発は撃てると思います。もっとも、魔力を練って編み上げるには多少時間が掛かりますが……」
「そうですか。まぁ私としては、その蓄えが無駄になる事を祈っています。それで、「異界の神」の場所は特定出来ていますが、今から向かいますか?」
ランデラーノの時とユーベントロイヤーの時で、それぞれ「古龍種」に「魔法もどき」を放っているが、ユーベントロイヤーの時の方が「詠唱に時間が掛かっている」と言いたいのだろう。まぁ、それは偏に“二馬力”か“一馬力”かの違いが大きいという事だ。
ランデラーノはユーベンブロイとウラノという、二人分の魂を持っており、ユーベントロイヤーはユーベンブロイ一人分の魂しか存在しない。よって処理速度の違いが詠唱時間に影響しているという事になる。
「ツクヨミ様、行く前に相手の情報などを頂いても?それと、アルカディア達は無事でしたか?」
ユーベンブロイはツクヨミが急いていると感じたようだ。
実際にランデスが家出をしてから一週間程度の日数が経過している。ユーベンブロイとしては急ぎたい気持ちが少なからずあるだろうが、「急いては事を仕損じる」という諺もあるくらいだ。
相手が相手なだけに「敗北=死」のリスクを犯してまで急ぐ必要はないだろう。
「かなり急を要する事態になっている事だけは事実ですね。それも非常に逼迫していると言えるでしょう」
エレの話しに依れば、アルカディアを媒介にして「異界の神」を呼び寄せ、ソイツを懲らしめる的な感じだったとユーベンブロイは認識している。
その内容の限りに於いて「急を要する」のであれば、もう既に「異界の神」vs「異界の神」の戦いが巻き起こっている可能性が示唆される事になる。
ただでさえ、「異界の神」と真っ向から戦える存在は、「箱庭」に存在していない。それなのにそんなバトルが勃発してしまえば、それを止める事は誰にも出来ないだろう。
それこそ動く天災では済まず、さざめく災禍、いや、空虚な災厄級の破壊が繰り広げられる事になり兼ねない。
本当に命の軽い世界であるとしか言えないだろう。実際にその通りなのだが――




