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メタバースマルチバース 〜ユニバースディ〜  作者: 硝酸塩硫化水素
おわり

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ep494 再開(Magic hour)

「ランデス……さっきの話しだが、()()()()?」


 報告が終わったエレは「おかみ」から報酬を受け取ると、どこかへと消えた。内偵の対象がいなくなってしまった以上、これ以上の経費を掛けるのを、「おかみ」が善しとしないのは明白だったからだ。

 これは偏に、「余計な仕事を振られる前にトンズラしよう作戦」である。


「そうですね。ボクが昨夜感じた魔力は途轍もなく大きいモノでした。そりゃあもう、断ち切るのが精一杯で、発信元を探る事までは出来ませんでした。だから、「異界の神」が絡んでる可能性はあると思います」


 「おかみ」としてはランデスなら()()()……と思っていたようだが、その希望は打ち砕かれる事になった。


「それじゃあ、打つ手はナシってコトかい?」


「完全にナシってワケじゃあないんですけど……」


 ランデスは話しを濁そうとしている。まぁ、実際にアルカディアが消えたところで、「魔の酒場亭」は疎か、アーレは元よりギルドにとっても痛手にすらなっていない。それにむしろ、「魔の酒場亭」に対して“ドローン”を使って探りを入れていたアルカディアがいなくなったのであれば、危険は去ったとも言い換えられる。

 巻き添えを食った可能性があるミレイアだけは、可哀想と言えば可哀想だが、この世界線の誰しもが「ミレイアと関わりがあったか?」と問われればノーと答えるだろう。それならば尚更、これ以上の()()()()こちらのリスクになる可能性しか見えて来ない。


「それじゃあ、アルカディア(ギルマス)の件は、これで終わりでいいのさね?謎は残るばっかりだが、打つ手が無いならどうしようもない。あたしゃ、儲けにならない仕事はまっぴらごめんだよ」


 ランデスの中に、割り切れないナニカが残り、渦巻いていた。「仕方がない」、「どうしようもない」そんな便利な言葉では到底割り切れないナニカだった。

 しかし、「異界の神」が関わっているのであれば、圧倒的戦力不足なのは否めない。もしも戦いになって、アメリア(ディア)が傷付く事にでもなったら、目も当てられない。


 かつての世界線で見た、ガレキの町なんて見たくもなかった――


_____



「久し振りですね、タカミヤ。いえ、今はユーベンブロイ……でもなくて、ランデスでしたか?」


「――ッ?! ツクヨ……ミ様?」


 「おかみ」の決定に拠って、アルカディアの捜索は打ち切りになった。従って、それが覆るとすれば、再びアルカディアが何かしらのアクションを「魔の酒場亭」に対して起こしたら……となる。


 ランデスは元の世界線の記憶を()()()持っている事もあり、アルカディアとミレイアを見捨てたくはなかった。しかしその一方で、アメリア(ディア)に対して危険が及ぶ可能性のある選択肢を取る事も出来なかった。


 しかしながらそれは、飽くまでも可能性の話しだ。ランデス(ユーベンブロイ)は「神族(ガディア)」ではない。だからこそ、多元宇宙(マルチバース)の枝葉を見る事は出来ない。従って完全精度による危険予知や未来予測など出来ようハズもない。

 ※全ての「神族(ガディア)」が出来るワケではない


 その一方でランデス(ユーベンブロイ)は、「第四(マルチバース的思考)の天才」である事に変わりはない。依って、“1ミリ”でも可能性がある場合、その可能性を排除する選択肢を常に選んで来たのもまた、事実だ。


「私は貴方に可能性を感じていた。だからこそ、貴方の可能性が失われる事を望まなかった。しかし、私はこの「箱庭(ジオラマ)」に対しては“善”ではいられなかった。それ故に、同胞を売った事に良心の呵責が痛まなかった事はない。 ――拠って、貴方の可能性に賭け、利用する事で「神々の遊び」を終わらせようとしたのです。それが同胞に対する償いだと考えたのかもしれません」


「あの時、ツクヨミ様はボクに言いましたよね?愛を知りなさい……と。確かにボクが求められたのは、魔術回路を優秀な次代に継ぐコトだけだった。ボクの親が、先祖が代々行ってきたコトを、ボクは求められていました。しかし、それ以外は何も求められてはいなかった。だからボクは魔術を使う者の悲願を達成させる事で、次代への禍根を断ち切ったのです」


 二人は今、「魔の酒場亭」があるアーレの城下町に聳える、高い塔の上で話しをしている。何故、このような場所で話しをしているのか、理由は定かではないが、「感傷に浸りたい気分だったのかもしれない」……と、いう事にしておこう――



 この塔の上から見下ろしていると、「見ろ!人がゴミのようだ」……げふん。違う、そうじゃない。

 ※不適切な表現がありました。深くお詫び申し上げます。(ぺこり)


 ☛☛☛やり直し☛☛☛


 この塔の上から見下ろしていると、人々の生活がアリアリと見える。アーレは「ヒト種至上主義」を掲げる、(いびつ)な国家であるコトに違いはないし、町に生きる人々の命がとても軽い。

 だけれども、そんな中で人々は必死に生きている。


 そんなアーレを再び、亡国へと堕とすキッカケを作りたくなどない。だからこそ、ランデス(ユーベンブロイ)は西の空を染めるマジックアワーに視線を移すと静かに立ち上がったのである――

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