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メタバースマルチバース 〜ユニバースディ〜  作者: 硝酸塩硫化水素
はじまり

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ep29 アメリア(Unsatisfied lust)

――新たな獲物を探した男は、とある貧村に辿り着いた――


「キミはこの村の住人かい?」


 次の獲物として標的と(ロックオン)したのは、先の女(ソフィア)よりも更に若々しい肉体を持つ女。だがソフィア(廃棄した性奴)以上に洗練されたその肢体と美貌に、エドワードの視線は釘付けになっていた。

 本来(恋愛対象と見る)ならば年齢的に釣り合いは取れないだろう。それこそ貴族が妾として召喚し、娼館で遊ぶが如くに気の済むまで愉しむか、後継者不在解消の為に後妻か側室として迎え、健康な男子を産むまでの子袋とするか……でしか成立しない年齢差だと言える。

 しかし、エドワード(公爵家)と村娘で後者はあり得ない。


「はい、旅のお方。ですが……このような貧村では、貴方様のような方を歓待する事は叶いません。もしも道に迷ってしまったのでしたら、町に向かう道と方角くらいはご案内出来ますが……」


「(――ッ?!何故バレた?いや、見た目には気をつけている筈なのだが……)私を貴族か何かだと勘違いしているのかい?私はただの旅人さ。もし良ければ、一晩この村に泊めさせてもらえないだろうか?」


 こうしてエドワードは、名も無き貧村に滞在する事にした。普段なら女と関係を持った途端に噂が広がるような事を防ぐ為、()()()()()ある程度の人口がある町を求めていたのだが……エドワードはこの大陸にある、町という町、比較的広い村々でもう手を付けた後だった。なにせこの時点で、その毒牙に掛け赤子諸共に害した女は20人近く。飽きるまで貪っても孕む事が無かった女を含めれば100人近い。だからこそそんなエドワード自身も40歳目前になっていた……。


 だが、エドワードの誤算は、この貧村に逗留する事を選んだ事から始まる。エドワードは「アメリア」と言う名の少女を獲物(ターゲット)とした。年齢は15歳。髪はエメラルドグリーンで光沢があり、二つに分けられ高い位置で結われている。瞳はブルーサファイアを彷彿とさせる輝きを発しており、この大陸では比較的珍しい神秘的な色合いを魅せている。肌が露出している箇所は陽光により多少焼けているが、隠れている場所の肌は白く艶があり、キメの細かさを容易に想像させた――



「何故だッ!何故堕ちないッ!今までの女達は二日もすれば自ら足を開き、三日もすれば涎を垂らしながら擦り寄って来たというのにッ‼」


 エドワードはもうこの時既に、並の女では歯牙にも掛けない程にまで味を知り過ぎていた(グルメになっていた)。だからこそ、今度見付けた極上のご馳走(アメリア)に対して、早々に()()()()()()()()()()()。だが、そのアメリアからエドワードは、()()()()()()()()()()()()()()のである。


 溜まる性欲、満たされない色欲。アメリアの哭く声で、気持ち良く(さえず)る喘ぎで、悦びヨガる本能への欲求で、愉悦に浸りたいという欲望。それら全てを早く満たしたい。一刻も早く手中に収めたい。身体を(ほとばし)る情欲で、身の内から溢れて滾る精力で、極上のご馳走(アメリア)平らげ(屈服させ恭順させ)征服(従順で淫乱な性奴に)したい。

 しかし、貧村に逗留して一週間が過ぎても尚、聡明な男の策は実らず、エドワードは日々悶々としていた――


_____



「サカりの付いた、欲望に群がるサル共めッ!生きながらにして喰われ、死しても尚、悠久の時を苦しめッ!――さぁ、行けッ!オマエ達ッ!」


「ひゅ〜ッ。サマになってるねぇ!獰猛な野犬あがりの飼い犬にはピッタリだよ。今後はそのキャラで売っていけば?ソフィアちゃんもその方が喜ぶんじゃない?」


「うっせぇわ!バカな飼い主の代わりに連れて来た群れを指揮してやってんだろがい‼それこそ、あたしに感謝しなッ!それに、いちいち依り代(ソフィア)の名前を出すなッ!あの娘はもう精神すら残っていない!未練無く満足してこの世から逝ったんだ!それでも名前を出されればあの娘がされて来た事が頭にチラつく。吐き気が込み上げ、憤怒が身体を駆け巡る。あぁそうだ……ここでアンタもいっその事……」


「(ガチのマジギレかよ……依り代(ソフィアちゃん)の名前は今後はタブーだね……)あぁ、怖い怖い。それならここは任せるよ。こんな国、とっとと滅ぼして次の国にさっさと来なよ、飼い犬。そこで仕込みを終えて待ってるからさ。あぁ、クワバラクワバラ……」


 マジギレしたイシュに対しては強気に出ない飼い主(エン)。いくら飼い主(エン)とは言えど、二人が全力でぶつかり合えばお互いにタダでは済まないし、本気になったイシュに対して、全力を使わずに切り抜けるのも至難の業だ。

 故に「三十六計逃げるに如かず」であると言えよう。

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