表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
メタバースマルチバース 〜ユニバースディ〜  作者: 硝酸塩硫化水素
はじまり

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/534

ep18 命(The fool)

「助けてくれッ!……ひぃッ」


「助けてくれと言いながら、人様の顔を見て悲鳴を上げるなんざ、なんて失礼なヤツだい!」


 「おかみ」の言い分には一理ある……が、鬱々とした表情の「おかみ」を見れば、それこそ死神すらも裸足で逃げようというもの。そんな顔で接客をする方が悪いと言えばその通りだが、そんな事は口が裂けても言えない。


「すまねぇ!それよりも、仲間達を助けてくれッ!」


「どっかで見た顔だと思ったら、冒険者やってる()()()じゃないか。確かパーティはアンタがリーダーだったハズ。リーダーが救援頼みに来るなんて、末期だねぇ」


「俺は()()()じゃない!()()()だッ!ここにエラい強い姐さんいただろ?助けてくれ!早く行かないと仲間達が、仲間達がッ!」


 突如現れたのは冒険者であり、一見さん(ハジメマシテ)ではない。過去に何回か救援でこの「魔の酒場亭」を使っている。まぁ、毎回毎回、命の危険のあるような依頼をギルドから貰う方が「どうにかしてる」と「おかみ」は思っている。だからこそ、()()()と名前を覚えていた。


「それで、今回はどこだい?ところで、アンタはどうやってここまで来た?それ次第じゃ、仲間達はもう()()()()()んじゃないかい?」


「場所はクルサ平原だ。ここには仲間の神官(プリースト)が転移魔術を使ってくれたんだ」


「意外と近いね。そしてアンタのパーティにいる神官(プリースト)がねぇ……。へぇ……あの娘そんな芸当も出来たんだねぇ。だが、アンタが所望するエレは今、所用(おつかい)に出てるから、暫く帰って来ない。残念だったね」


「そんな……それじゃあ、仲間達は救えないってのかよッ!」


 アホ……もとい、アコウは激昂した。仲間を救えない苛立ちと、リーダーでありながら自分だけがおめおめと逃げ戻ったような不甲斐無さに……である。しかし毎回の事ながら、そのような(達成出来ない)依頼を受けた自分達の未熟さについては一切合切不問にしているのだろう。


「まぁ、手が無いワケじゃない。銀貨七枚で請け負うけど、どうするね?」


「ぐッ……足元見やがって……それじゃ依頼料がほとんど残らないじゃねぇかッ!」


「それなら他をあたりな!銀貨二〜三枚出せば受けてくれる命知らずはいるかもしんないよ?」


「無理だ……今、仲間達は数百の群れに襲われてる。銀貨二〜三枚じゃ……」


「はぁ……アンタねぇ……そんな依頼、本来なら銀貨七枚でも少ないじゃないのさッ!アンタ達はやっぱりアホウだよッ!命をもっと大切にしなッ!」


 この世界は命が軽い。そして売れていない冒険者達の命は安い。だからこそこんなアンバランスな依頼が発生する……と思いがちだが、今回は実は違う。

 数百の群れ自体がイレギュラーなのだ。これは何者かによって仕組まれ、集められた獣達による疑似大暴走(スタンピード)とも言えるハプニングに、「()()()()()しまった哀れなパーティ」というのが本質だった。

 ()()()()()としか表現出来ない程の凶運とも言える。日頃の行いが悪いから……と言われれば本人達は、ぐうの音も出ないかも知れない。

 しかし……だ。不運極まった上に「おかみ」からお説教されるのだから、可哀想に尽きると言えばそれもまた、その通りだろう。



 そんな可哀想な男、アコウはパーティの救出と引き換えに銀貨七枚の条件を飲んだ。その結果、初めて見る“ランデス”の姿に打ち震えていた。

 だが、この話しはそれだけで終わらない。その話とは、今回は「おかみ」が久方振りにディアに仕事の内容を伝えるべく倉庫区画に降りたワケだが、その区画の状態が以前よりも随分と様変わりしていた事で、打ち震えていた人間がもう一人いたという事だ。

 ……要は「おかみ」も打ち震えていたという事になる。それはもう、全身をガクガクとブルブルと……である。

 それが何を意味するかは、ご想像にお任せする。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ