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第05話 夢子ちゃん。

「仁王院! 気をつけろよ!

 そこを踏むと上から岩が転がり落ちてくるぞ!!」


「なにィィィッ!? この仁王院が!!

 まさかダンジョン一層にてそのような小癪な罠に引っかかりかけるとは!?」


「どうして君たちは無駄に元気な小学生男子みたいになってるのさ」


「そもそも坂道すら無いのに、どこから岩が転がってくるのよ……」


「ふふっ、年相応にはしゃいでる夕霧さんも可愛いですね」


「クッ、カズも混ざりたい……」


 ここはダンジョン一層。

 二人に使ったジョブスクロールの効果を確認している最中の我々『柏木夕霧探検隊』。


「それにしても柏木!

 本当に魔力酔いが綺麗さっぱり消えてしまうとは!

 貴様が我に行ったあのイニシエーションは凄まじいものだな!」


「確かに、いきなり目隠しをされた時は僕もちょっとだけビックリしたけど」


「カカッ! 今も我の手に残るあの感触っ!

 長く、柔らかく、それでいて生暖かい。

 柏木夕霧っ! 貴様も罪な男よ!!」


 言わなくとも分かっていると思うが、俺がこいつに持たせたのはただのスクロールである。


「カッカッカッカッ! 良い! 実に良いぞ柏木っ!

 これこそがダンジョンの風! 我は戦場へと帰ってきたのだ!!」


「一層は洞窟だからどこからも風とか吹いてねぇよ……」


 今のところ区画に向かって移動してるだけで戦場ですら無いし。


「まぁ聞け柏木! ここに来て我は……悟ったのだ!

 愛などいらぬと! 女など刹那の幻であると! 

 我に、本当に必要だったモノはただ一つだけ!

 ……貴様という、宿命の強敵とものみよ!!」


「俺は普通に女の子大好きだけどな?

 ていうか仁王院ってその苗字的に貴族なんだろ?

 だったら婚約者くらい、いてもおかしくない歳のはずだよな?」


「フッ……愚問だな! 確かに我が家は子爵家!

 婚約者など――小学校の頃から、当然のように存在しておるわ!!」


「はぁ? ……はぁぁぁぁ!?」


「うむ? なにを驚く必要がある?

 貴様が言った通り、貴族に許嫁がいることなど当たり前のこと。

 むしろ、いない方が異端よ!

 というより同じ学校、同じクラスなのだから貴様も会っているだろうが?」


「……マジで?」


 ちょっと本格的に仁王院が何を言ってるのかわからないんだけど?


「えっと……お前の迷宮科入学理由ってカズラさんの追っかけなんだよな?

 そんな馬鹿げた行動に婚約者さんまで付き合わせたのか?」


「ち、違う! それは間違っているぞ柏木!

 あれは……そのなんだ……そう!

 貴様と同じでカカカズから強者の気配を感じただけなのだ!

 決して、決して色恋の話などではないッッ!!」


 ならどうしてそんな目がキョドって声が裏返ってるんだよ……。


「ていうかまさかのクラスメイトに婚約者……」


「君だって同じクラスに明石さんっていう婚約者がいるのにどうしてそこまで驚いてるのさ……」


 それはそれ、これはこれだろうが!!

 クラスの中にいたメンバーでこいつと釣り合いそうな、『永井豪キャラ(キュー○ィハニー)』を頭の中で検索……駄目だ、まったく記憶にない。


「……その婚約者さんはなんていう名前なんだ?」


「夢子っ!」


 何その仁王院鳳凰と似ても似つかない可愛い名前――


「苗字は豪俵ごうだわら!」


 と思ったらビックリするほどお似合いな名前だった!?

 ……ていうか豪俵夢子?


「もしかしてタケシって名前のお兄ちゃんがいて、ペンネーム『クリスチーヌ』でマンガとか描いてたりする?」


「うむ? 姉はいるが兄弟はおらぬ。

 書画にも興味はあったはずだが、自分で描いているところは見たことがないぞ?」


「ちなみに久堂は仁王院の婚約者さんがどんな人か知ってたりする?」


「知ってるも何も、僕と彼女は席が隣同士だけど?」


「なん……だと?」


 こいつの隣の女子ってたしかスイカラさん……じゃなくて、驚異の胸囲なハイカラさんだったよな?

 つまりあれか? 仁王院の婚約者。

 名前はガキ大将の妹なのに、身体は博打グルイの方の夢子ちゃんなのか!?


 てかこいつ、あんな婚約者がいてカズラさんに惚れたとか……マジ?


「えっと、お兄ちゃんがカズに向けているその目はどういった感情の目なのかな? かな?」


「あと、私の胸に向けられた視線の意味も教えてもらいたいのだけれど?」


 ……もちろん他意はない。無いったら無いのだ。

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