第02話 103のIカップ
さすがに自分がなどというのは冗談だろう
「本当にそう思うのかな? かな?」
……冗談だと思いたいカズラさんからの『提案』。
俺的には中務さんが嫌じゃなければ
「シズカ以外考えられないということね」
「そこはどう考えても私のターンなのに、どうしてあなたがしゃしゃり出てきたのですか!!」
……まぁ明石さんは治療が終わってしまえば俺のことなんて相手にしてくれなくなるかも
「私はあなたが消えてしまえば死ぬわよ?」
「全員で人の思考に乗っかってくるの止めて?」
食事も終わり、中務さんちでお泊りするカズラさんを追い出……帰っていった後はいよいよお楽しみタイム!
「お楽しみ……とうとう二人は重なり合ってぺったんぺったん」
「なんで餅つきみたいになってるんだよ……」
すでに一度は見られてしまってるので、というか自分の部屋に帰ろうとしないので、明石さんの前で異世界商店を呼び出す俺。
これまでの取り引きで200万容量以上の魔石が手に入ったからな!!
まずは最初に、一も二もなく駆け込んだのは馬屋。
「馬車を牽けるお馬さん! 一番いいやつで!」
『勢いのすげぇ兄さんだな!?』
お馬さんパカパカで次に向かうのはもちろん車屋。
「予約してた一番デカい貨物馬車を一両! 大至急で!」
『いや、予約とか受けた覚えはねぇけどな!?』
掛かった金額。馬が50万容量、馬車も50万容量……。
「7500万の馬車って何だよ! フェ○ーリ買えるわ!」
とも思ったが、そもそも馬車の値段なんて聞いたこともないしねぇ?
そして、フェ○ーリを伏せ字にするととてもいかがわしいとおもいました。
「苦節三ヶ月……いよいよディールを旅立つ時が来たか」
「あなたのそれは何度見ても心の病を心配してしまうわね……」
やってる俺自身もそう思ってるからでぇじょうぶだ。
『あなたの商人ランクが【露天商】から【行商人】に上がりました。
このまま馬車を最大の【五両】まで増やして【商隊】を目指しましょう!』
ディール西門の門番に挨拶も終わり、キンドール街道を西へ西へと――
『鉱山都市【ドラヴァン】に到着しました』
「情緒も何もねぇな!?」
『じゃああなたはディールからドラヴァンまでの旅路を体験したいとでも?
移動にはおおよそ二ヶ月掛かりその間は何も出来ませんが。
たまに野盗の襲撃などもありますがよろしいか?』
「ごめんて」
ショートカット最高!!
うん? お前は魔術都市を目指してたんじゃないのかって?
いやほら、ダンジョンに潜るためには大至急装備品が必要じゃないですか?
俺はあんな積年の激臭がこもった防具など着けとうはないなのだ!!
てことで!
さっそく鍛冶屋さんに依頼を出したいところなんだけど。
「店を持ったディールならともかく。
ドラヴァンなんて何度か立ち寄ったくらいの知識しかねぇし」
まったく土地勘がないからマップを見たところで何が何やら一切わからない。
もっとも、土地勘があったディールでさえ行きたいところを探すのに建物を一軒ずつポチポチしていったんだよな。
「ていうか、前にこれをやった時も朝方まで掛かったような記憶が」
まぁこういう地味な作業は嫌いじゃないからやるんだけどさ。
……街自体はディールより狭いんだけど、都市の外までマップが広がってたいたドラヴァン。
「小さな小屋までポチポチしてたら結局二時間以上掛かってしまったという……」
そんなこんなで俺が目をシボシボさせながら見つけた店というか施設。
【鍛冶屋】が数十軒に【鉱山管理所】、【細工師】の他に、郊外には【山賊のアジト】なんてものも。
「てか鍛冶屋! 俺でも知ってるドヴォ・ルザーク親方の工房があるじゃん!
あっちでいた時は俺みたいな一見さんじゃ中に入ることも出来なかったんだよなぁ……まぁ原因の八割は俺の人見知りなんだけど」
だってほら、鍛冶屋の親方って某ラーメン屋レベルで偏屈で排他的。
従業員に給料も払わず、その日の気分でお客にまで噛みついてくるじゃん?
SNSで○みたいな常連客に混ざって初見のお客を叩きまくってたりしてさ。
(※あくまでもイメージです)
「でも、異世界商店なら顔を合わさなくて大丈夫だし?
これもう行くしかないよね?」
さっそくルザーク工房をタップ。
『新規取引先の追加には1万容量必要です』のメッセージに支払いをして店の中に入る。
「大将! 今日のスープの出来はどうかな?」
『おういらっしゃ……うちは鍛冶屋でスープは出してねぇよ……』
「ああ、ゴメンゴメン。ちょっとラーメン屋と間違えて」
『鍛冶屋と食い物屋を間違う奴はさすがにいねえだろ!?
ははっ、なんだかおもしれぇやろうがきちまったな!』
思ったより気さくな雰囲気の親方。
「ってことで、上から下まで2人分!
防具は固くて軽くて動きやすいもの、武器はいい感じに強くて扱いやすいのを見繕って欲しいんだけど」
『いや、そんな「僕の考えたさいきょうのそうび」みたいな注文のされかたしてもどうにもできねぇよ?
もっと具体的に、素材の種類とかどんな武器が使いたいのかねぇのかよ』
「そこはほら、素人が口出しするより、玄人の親方におまかせする方が安心かと思ってさ」
『言ってることは間違ってねぇが丸投げが過ぎるんだよなぁ……。
2人分ってことだけど、予算はどれくらいで見てるんだ?
軽くて扱いやすい鎧なら普通なら革鎧、金があるなら【聖銀】とか【紅金】の合金って手もあるんだが』
えっ? ミスリルの剣とかむっちゃ欲しいんだけど!?
「……ちなみに純ミスリルのロングロードとかレイピアってどれくらいの金額になります?」
『いや、そんなモノ作っても軽すぎてアンデッド以外を相手にするなら使い勝手が悪いだけだと思うぞ?
値段は工賃込みで250万容量ってとこだな』
「高っ!?」
『そもそもどんな場所で、どんな魔物を相手に使うんだ?』
「んー、場所はダンジョンで、そこにいる魔物相手?」
『ざっくりしすぎて何もわからねぇのと同じじゃねぇか……』
このままだと夜が明けても決まりそうにもないので、魔石80万の予算で異世界基準で中堅冒険者が使うランクの装備品――
『いや、中堅の冒険者がそんな金を持ってるわけねぇだろ……。
そうだな、ここは一つ奮発して。
防具は「四腕灰色熊」のハードレザー一式。
武器は素人でも扱いやすいドワーフ鋼のロングソード。
予備と普段遣いに、こっちもドワーフ鋼の鉈でも持ってりゃしばらく困ることはないんじゃねぇか?』
「異議無し!」
『こいつ、勢いだけはいいんだよな……。
そうだな、2人分ってことだから……全部で30万で引き受けるぜ?』
「それでお願いします!」
『いや、少しは値切ろうとするとかねぇのかよ……』
「フッ、親方探して三千里。ここまでやってきて職人の仕事にケチをつけるような値切りなんてしないよ」
だってもう寝落ちしそうだし……。
『ははっ、おもしれぇ奴だな!
いいだろう、ならそれで注文成立だ!』
隣で寝ている明石さんを起こして2人分のサイズを
「少し前に測った時は、上から103のIカップ、57、87だったわね」
いや、びっくりするほどサバを読んでる部位があるよな!?
「……本当に明石さんがそれで良いなら文句はないけど。
結構な金額の物だから、しばらく買い替えることは出来ないからね?
届けられた、胸元がブカブカの鎧を着て悲しい思いをし続けることになってもいいのかな?」
「クッ……77.3のA……AAよっ!!
いいかしら? 77ではなく77.3! ちゃんと覚えておいてねっ!?」
……そこの小数点はそんなに大事なんだ?




