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召喚された異世界で『(知らない奴が)魔神』を退治したら日本に送り返されたんだけど!? ~『帰還勇者(しょうにん)』はダンジョン大国日本で成り上がれるか?~  作者: あかむらさき
解けない呪いと『輝夜(かぐや)姫』

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第15話 働けど働けど……。

 手元にある現金のほぼすべて――1,050万円を使い、一型魔石を『7万個』購入。


「とんでもなく思い切ったお買い物ですね……」


 俺が先月どれだけ稼いだのか把握している中務さん。

 『個人でそれほどの魔石を何に使うのですか?』と聞いてくることは無かったが、いきなりの散財に、


「やはり私がちゃんとお財布を管理しておかないと。

 結婚式、新居へ引っ越し、なにより出産、育児のための費用が……」


 真剣な顔をして、小さな声でブツブツとつぶやき始める。


 いや、これは無駄遣いじゃなくて、ちゃんと目的がある投資だからね?

 そんな彼女の車に魔石を積み込……むふりをしながらインベントリにしまいこみ。

 最近の帰宅コースである、派手なネオンのホテル街を経由しながらボロアパートに無事帰宅。

 階段を駆け上がり、メルクリウスを呼び出す。


「お待ちかね、さっそく冒険者ギルドを取引先に追加っ!

 ……する前に、荷車を売ってるっていう車屋を確認しにいこう」


 今日だけでお財布がほとんどからになっちゃったからな。

 購入できる商品数の上限が増やせるなら増やしておかないと、もしもの時に身動きがとれなくなってしまう。


 まぁ増えたら増えたでまた魔石を買っちゃうと思うけどさ。

 何その自転車操業……。


「どうもはじめましてー。

 雑貨屋のお姉さんの紹介で、車を見に来ましたー」


『おう、いらっしゃい!

 ははっ、マリアさんの紹介なら代金を吹っ掛けるわけにもいかねぇな!

 うちは足回りの頑丈さに定評があってよ。

 小さいのからでけぇのまで色々揃えてるから好きなのを見てってくれや!』


 なんとなくドワーフ味のあるオヤジと二言三言挨拶を交わし。


「ていうか雑貨屋もそうだったけど、この車屋も取引先登録してないのに売買が可能なのはどうしてなんだ?」


『あなたにしてはとてもいい質問ですね』


 ……あいかわらず上から目線のメルちゃんの説明によれば、


『こちらの世界に商品を持ち出せない店は登録の必要がない』


 とのこと。

 言われてみれば確かに、雑貨屋で普通に売ってそうな品物でも商品リストには並んでなかったな。


 と、話が少し逸れたが。この車屋で買える品物は、



【小型の台車】

 魔石容量:10,000 / 購入可能:1

 毎月の購入量「+20」


【小型の荷車】

 魔石容量:20,000 / 購入可能:1

 毎月の購入量「+35」


【大型の荷車】

 魔石容量:40,000 / 購入可能:1

 毎月の購入量「+50」


※街中で使う人力の車。一台のみ購入可。



【小型の幌馬車】

 魔石容量:100,000 / 購入可能:5

 毎月の購入量「+100」


【中型の荷馬車】

 魔石容量:300,000 / 購入可能:5

 毎月の購入量「+150」


【大型の貨物馬車】

 魔石容量:500,000 / 購入可能:5

 毎月の購入量「+200」


※街の外にも出られる行商用の馬車。牽くための馬が必要。



 雑貨屋で売ってた背負子の値段から、薄々そうだろうとは思ってたけど――車、クソ高ぇな!!

 日本円換算で、台車一台『150万』とか正気の沙汰じゃねぇだろ!?

 あまりの暴利に意識を飛ばしそうになるも、説明不足なところを教えてもらおうと。


「……メルちゃん、メルちゃん」


『ディスカウントは出来ませんよ?』


 メルクリウスを呼び出す。

 ていうか、値段の交渉だったら店のオヤジとするだろ……。


「えっと、今から荷車を買おうかと思ってるんだけど、この人力の車ってさ。

 後々馬車に買い替えたら、その分の容量はリセットされちゃう感じなのかな?」


『いいえ。手持ち・人力車・馬車で別アイテムとして扱われますので。

 それぞれで加算される容量はちゃんと合算されますよ』


 なるほど、人力車なら人力車、馬車なら馬車で買い替えない限り無駄になることは無いのか。

 さすがに馬車の10万と50万ほどに値段の差が大きいならともかく、人力の1万と4万なら最初から一番大きいのを買う以外の選択肢は無いな。


「てことでオヤジさん!

 さっそくだけど大型の荷車で!

 もちろん支払いは現金一括な!」


『そもそもうちはツケ払いなんてやってねぇよ!

 おう! じゃあ裏に回って、気に入ったヤツ一台選んで持ってけや!』


 ――などと言われたが、もちろん画面が裏手に切り替わることはなく。

 ただ『大型の荷車を入手しました』の一文だけが表示された。


「てかこれ、一瞬で六百万が溶けたってことなんだよな?

 こっちだったら荷車じゃなくて、国産のそこそこ良い車が買える値段なんだけど?」


 今の俺の気持ちを表現するなら『ソシャゲで超高額アイテムを勢いでポチった瞬間』だろうか?

 形の見えないものに大金を使うのって、結構な気合と心の強さが必要だって知ったわ……。


 あとさ、物凄く今更感のある話になっちゃうけど。

 他のやつらが貰った祝福って、


『持ってるだけで効果絶大!

 他の人にはないチートな能力で無双できちゃうよ!』


 みたいな感じだったじゃん?

 それなのに俺のは、


『えっ? 私に力を貸してほしいの?

 ならそれなりの誠意を見せてもらわないと……ねぇ?』


 延々と貢ぎ続けないとご褒美を貰いないタイプっていうか――


「……あれ?

 もしかしてメルちゃんって、質の悪いキャバ嬢だったりする?」


『誰がキャバ嬢ですか……』


 ま、まあ? ……これも先行投資! そう、先行投資なのだ!

 うん、余計なことを考えてないで、とっとと冒険者ギルドに向かうとしよう。

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