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召喚された異世界で『(知らない奴が)魔神』を退治したら日本に送り返されたんだけど!? ~『帰還勇者(しょうにん)』はダンジョン大国日本で成り上がれるか?~  作者: あかむらさき
異世界勇者(しょうにん)日本に送り返される。

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第10話 異世界商店の新規取引先開拓。 その1

 ドロップアイテム、【スライム・ローション】の下取り価格は1本500円。

 ……(入荷数が少ないという意味で)レアアイテムのはずなのに安くね?

 ヌルヌルする以外にも、美容効果のある入浴剤として使えるらしいけど……俺が押し込まれたボロアパートには風呂なんてハイカラなものは付いてないし。


 なので、19本ぜんぶ買い取ってもらって9,500円の収益。

 そこから手数料と税金の20%が引かれて――本日の手取りは『7,600円』也。

 ダンジョンに潜ってた時間は実質三時間ほど。

 時給換算すれば2,500円だから、なかなかの高給取り……と言えなくもないんだけどさ。


「紛いなりにも命がけだった事を考えれば、かなりショボい金額なんだよなぁ」


 もちろんローションの他に魔石も拾ってるんだけど、こっちは異世界商店で使う予定があるからな?


 てなわけで、スライム討伐を続ければ生活費には困らない――かもしれないと分かり。

 たまの贅沢ってわけでもないけど、晩飯は朝から目を付けていた『百舌鳥バーガー』に決定!


 サイドメニューもドリンクもお高いので、バーガー単品を三個の偏った注文なんだけどな!

 十年ぶりとなるファストフード。

 紙袋片手にルンルン気分で帰っていたのも途中まで。


「なんかこう、路地を一本入ると目に見えて街の明かりが消えていくんだよなぁ」


 もちろん繁華街と住宅街……住宅街? を比べても、意味がないのは分かってるんだよ? でもほら、それでもどんどん寂れていく景色に、なんとも言えない物悲しさが込み上げてくるというかさ。

 もしかして、異世界でいた頃と比べて人間強度が落ちてるのか……?


 当たり前のように誰もいない、真っ暗な部屋の扉に鍵を差し込む。

 相変わらずの古い家の臭い、外と変わらない寒さの室内。


「……中務さんと二人で昼に食べたお好み焼き、美味かったなぁ」


 目をみはるような美女との食事と、一人ぼっちでかぶりつくハンバーガーのギャップに、風邪を引くどころかインフルエンザで寝込みそうな俺である。


「身も心も寒いとはまさしくこのことか……」


 布団以外に暖まれる道具は何も無い古ぼけたアパート。

 それでも、誰に枕探しされるかわからないような木賃宿より随分マシなはずなんだけど……ねぇ?


「コタツ……それともストーブ……明日は朝から晩まで気合い入れて行くか」


 『バチン!!』と両手で力強く頬を叩き、気合を入れ――


「あぐぁががががが!?!?」


 ようとしたら、スライムの体当たりで内出血してた場所に直撃。


「いってぇぇぇえぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?

 ふっ!! うううううううう……ああああああああっ!!」


 激痛で十分ほど畳の上を転がりまわることになるのだった。



「……スライム死すべし。慈悲は無い」


 完全に八つ当たりであるが、相手は無生物なので気にしてはいけない。


「てことで――メルクリウスっ!!」(シュババババババッ!!)


 ポージングを決めながら叫ぶという、謎の縛りがあるせいで、外で呼び出すにはあまりにもハードルが高すぎる異世界商店を呼び出す俺。

 城塞都市・ディールの地図が呼び出されるとともに画面に表示されたのは――


『あら、お早いお帰りですね?

 私以外の女と遊び回る一日は、さぞ楽しかったでしょう?』


 まるでめんどくさい彼女のようなメルクリウスからのコメントだった。


「いや、遊ぶどころか『自転車操業で金策に右往左往する町工場の二代目社長』みたいに、足を棒にして駆けずり回ってたんだけどね?」


『といいますかあなたに精神汚染の兆候が……なんですかあなた!?

 私が知らないと思って、他の「祝福おんな」と何をしてたんですか!?』


「えっ? そんなことまで分かるの!?」


 ていうか、他人様の祝福を他のおんな扱いするのはさすがに失礼だろ。


『まったく、私が面倒を見ないと生きていけないくせに!

 良いゴミぶんですねっ!!』


「確かにその通りだけど言い方っ!」


『……まぁ冗談はこれくらいにして。

 インベントリ内の魔石を異世界商店と共有しますか?』


「あっ、はい」


 画面に表示されていた『魔石容量:0』の表記が『217』と切り替わる。


「もう一度聞くけど……取引先候補の一覧とかは出してもらえないんだよね?」


『甘えないでください』


「ちょくちょく突き放してくるのなんなの?」


 仕方がないのでマップの端から端まで地道にタップ。延々とタップ。腱鞘炎になりそうなほどタップ。

 一時間ほどの作業で、候補になりそうな店舗は大量に見つかったんだけど。


「大半は地元民向けに商売してる店なんだよなぁ」


『ちなみに最初の取引先は無料サービスとなっております。

 二件目の登録からは3000~の魔石容量が必要ですのでご注意を』


「そんなの聞いてなかったんだけど!?」


 まさかの飛び込み営業に金が掛かるのかよ!!

 絶対に何かを売ってる場所。

 それもこちらで売れるもののがありそうな、稼げる可能性が少しでも高い場所……ということでピックアップしたのが、



【ルフレ教会】


 (現地では)言わずと知れたイスカリア最大の宗教勢力。

 教会の売り物なんて免罪符くらいしか無さそうだが、ポーションや聖水の専売で大儲けしていた。



【冒険者ギルド・ディーレ支部】


 近隣に強力な魔物はいないが、それなりに賑わっていた。

 討伐依頼などの仕事は受けられないと思うけど、魔物素材の取り扱いに期待できそう?



【ザック商会】


 パルティア王国の中堅商会。

 調味料から武器まで幅広く扱っているが、俺みたいな流れの人間に質の良い品物が出されることはなく。



 この三件。


「んー、冒険者ギルドが一番手堅い気がするけど……契約するまで取り引きできる商品が見えないのがなんともかんとも。

 教会なら、ほぼ確実にポーション類を取り扱ってるだろうけど、それにしたってあちらの売値とこちらの買値を調べておかないと赤字になる可能性があるしな。

 ザック商会は……あんまり良いイメージが無いから実質上の二つ……」


 結論。明日ポーションの値段を確認するまでは保留!!

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